戦国異伝
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第二百十話 夜の戦その三
「篝火を用意しておくのじゃ」
「篝火ですか」
「それを」
「そしてじゃ」
信長はさらに言った。
「騎馬隊はじゃ」
「はい、その騎馬隊をですか」
「使われるのですな」
家臣達も言うのだった。
「伊達相手に」
「そうされますか」
「そうじゃ、篝火は十万じゃ」
それだけの数を用意しろというのだ。
「よいな」
「はっ、それでは」
「十万の篝火を用意し」
「そのうえで」
「夜に、ですか」
「仕掛ける」
信長の方がというのだ。
「わかったな、では飯を食うぞ」
「たらふくとですな」
「そして力をですな」
「そうじゃ、皆の者たらふく食うのじゃ」
ここでも飯についてはこう言うのだ。
「そうしてな」
「力を備えて」
「夜に、ですな」
「仕掛ける、しかしじゃ」
「はい、猪苗代城にです」
ここで竹中が言って来た。
「伊達は下がることが出来ますので」
「あの城に篭ってじゃな」
「今夜の戦に勝とうとも」
そうしてもというのだ。
「まだ終わらぬかと」
「そうじゃな」
「ですから」
それで、というのだ。
「もう一戦あります」
「そうじゃな、しかしじゃ」
「まずは、ですな」
「渡る」
その日橋川をというのだ。
「そして山もな」
「手に入れますか」
「そのうえで」
「確かに伊達も考えており兵は強い」
信長はこのことはよくわかっていた、それもかなり確かに。そしてもう一つのこともだ、よくわかっているのだった。
「将帥もな」
「片倉に伊達成実」
「そして伊達政宗も」
「強い、しかしわしには御主等がおりじゃ」
そして、というのだ。
「十万の平がおるわ」
「その我等がいるからですか」
「勝たれますか」
「そして、ですね」
「その我等を使って」
「うむ、勝つ」
そうすると言うのだ、そしてだった。
信長はまずは兵達に飯をたらふく食わせた、それを見てだった。
片倉と成実はまずはいぶかしんだ、それで二人で話をした。成実が自分達の本陣において片倉に言っていた。
「夜になるが」
「はい、織田の軍勢はですな」
「来ぬな」
「そうですな、しかし」
「来ると思うな」
「間違いありませぬ」
片倉は鋭い目になり成実に答えた。
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