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遊戯王GX 輪廻に囚われし赤

作者:ユキアン
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巨人VS神

 
前書き
工事現場から動けずに幾つかのイベントをスルーしてしまった東雲遊矢。
公欠扱いにならず影でこっそり泣いた 

 
「学園対抗決闘ですか?」

廃寮の工事も終わってようやく学園生活に戻れてから数日後、オレは校長室に呼び出されていた。

「そうです。毎年この時期にノース校との交流の為に代表同士での決闘が行われるのです。昨年は亮が代表を務めて勝利しています。ですが、今年は少しルールを変更して欲しいとノース校から頼まれまして」

「はあ」

「お互い1年生同士の3対3のリレー形式の決闘を行いたいと。シンクロ召還によって急激に力を付けた1年生が多数現れたので、その生徒達の力を試す場を設けたいのだと。学生の間は公式大会に出場する事が出来ませんから」

「なるほど。それで、オレが此所に呼ばれた理由は?」

「実はもう一つ条件がありまして、三人の内の一人に万丈目君が指名されているのです」

「万丈目が?」

「そして万丈目君が残りの二人の内、一人を君に選びました。最後の一人は君が選ぶ様にとも」

「つまり、1年の中から好きに選んでも良いと?」

「そうです。学園対抗決闘は1週間後ですので、それまでにメンバーと順番を決めておいてください。何か質問はありますか?」

「リレー形式ってことは、ライフが無くなった時点で場と墓地はそのままで繋げるんですよね」

「そうです。重要なのはフェイズもそのままで交代します。もし、自分のスタンバイフェイズに何らかの効果ダメージでライフが0になりますと次の選手は手札が5枚でスタンバイフェイズからスタートする形になります。例外としてバトルフェイズでライフが0になった場合のみメイン2に移行します。これは何も出来ずにライフが0になることも考えられるからです」

まあ大嵐未来融合からのオーバーロードでミストボディかハーフシャットで為す術も無く3人が散るからな。合理的だ。

「エグゾディアやウィジャ盤はどうなりますか?」

「それは、う~む、特殊勝利は無しの方向でお願い出来ますか。向こうにも通達しておきますので」

「分かりました。では、失礼します」

校長室から出てPDAで万丈目に電話をかける。

『どうした?』

「学園対抗決闘についてだ。今、校長から話があってな。当日のデッキを聞いておきたい。それに合わせて残りの一人を選ぶ」

『……ローレベル初期型おジャマだ。それにとあるカードをメインとして組み合わせた物だ』

「何!?」

つまりは、おジャマをドロー要素として使うのか?

「……勝てるのか?」

『わからない。だが、これでやらねばならないことがある。オレの全てに賭けてでも』

「分かった。出来る限りのサポートはする。順番はどうする?」

『先鋒で頼む。奴も先鋒で来る』

「幾らでもリカバリーしてやる。全力でそいつを倒す事だけ考えろ。オレ達の方とシナジーも何も考えなくていい」

『すまない、恩に着る』

念のためにオレ一人で三人を倒せる様なデッキを用意しておく必要があるな。残りの一人はどうするか。

ツァンでも良いが、他にも優秀な奴が居てくれるとエクシーズの宣伝がやりやすくもあるからな。使えそうな奴は、ああ、あいつがいたな。アカデミアで最も多くのデッキを扱っている男なら1週間もあればオレが指定するデッキでもなんとか戦えるはずだ。

オレが選んだ最後の相手にPDAで電話をかける。

「周囲の奴を見返したくはないか、神楽坂」






当日、会場は静まり返っていた。対峙するのは本校代表とノース校代表の先鋒同士。その二人は鏡に向かい合う様に同じ顔をしている。一人は鬪気をむき出しに、もう一人は悲しげに向かい合っていた。

「待っていた、この時を!!今日こそはオレの方が上であると知らしめてやるぞ、準!!」

「……」

「何か言えよ!!」

「決闘者なら決闘で語れ、瞬。オレはお前に対する言葉を、思いをこのデッキに込めて来た」

「そうかよ、なら」

「「決闘!!」」

「先行はオレが貰った!!よし、魔法カード、テラ・フォーミングを発動。デッキより死皇帝の陵墓を手札に加えて発動。そしてライフを2000払い、死皇帝の陵墓の効果を使って手札から地縛神 Ccapac Apuを召還だ!!」

万丈目瞬 LP8000→6000
地縛神 Ccapac Apu ATK3000

現れたのは会場内にギリギリ収まる大きさのナスカの地上絵で巨人と呼ばれる物だった。

「どうだ、驚いたか。地縛神は直接攻撃が可能なモンスターだ。恐ろしいだろう?」

「だが、地縛神はフィールド魔法が無ければ破壊されるモンスターだ」

「その通りだ、だからこそ永続魔法フィールドバリアを発動してターンエンドだ」

万丈目瞬 LP6000 手札3枚
場 死皇帝の陵墓
地縛神 Ccapac Apu ATK3000
永続魔法 フィールドバリア

「オレのターン、ドロー。速攻魔法手札断札を発動。お互いに手札を2枚捨てて2枚ドローする。墓地に送った2枚のおジャマジックの効果を発動。デッキよりおジャマ三兄弟を2体ずつ手札に加える。カードを2枚セットし、今度は手札抹殺を発動。お互いに手札を全て捨てて捨てた枚数分ドロー。オレは6枚ドロー」

「オレは3枚だ」

「オレはモンスターをセットしてターンエンドだ」

万丈目準 LP8000 手札5枚
場 
セットモンスター1枚
セットカード2枚

「ふん、壁など役に立つ物か。オレのターン、ドロー。モンスターをセットしてバトルだ。地縛神 Ccapac Apuで直接攻撃!!」

巨人がゆっくりとその拳を準に向かって振り下ろす。

「リバースカードオープン!!永続罠スピリットバリア。オレの場にモンスターが存在する限り、オレは戦闘ダメージを受けない」

準の目の前に透明な膜が現れ、衝撃を全てカットする。

「ちっ、ならばカードを1枚伏せてターンエンドだ」

万丈目瞬 LP6000 手札2枚
場 死皇帝の陵墓
地縛神 Ccapac Apu ATK3000
セットモンスター1枚
永続魔法 フィールドバリア
セットカード1枚

「オレのターン、ドロー。キーメイスを召還、カードを1枚セットしてターンエンド」

万丈目準 LP8000 手札4枚
場 
キーメイス ATK400
セットモンスター1枚
永続罠 スピリットバリア
セットカード2枚

「ふん、そんな雑魚カードで何が出来る。ドロー、これこそがオレの方が優れている証。今引いたのはサイクロンだ。これでスピリットバリアを破壊する!!」

「リバースカードオープン!!永続罠宮廷のしきたり、このカードがフィールドに存在する限りこのカード以外の永続罠を破壊する事は出来ない!!」

「おのれ!!ならば地縛神 Ccapac Apuでキーメイスに攻撃!!」

「更にリバースカードオープン!!永続罠グラヴィティバインド–超重力の網–、このカードがフィールドに存在する限りレベル4以上のモンスターは攻撃出来ない」

超重力で出来た網がフィールドを覆い、地縛神を押さえつける。

「ちぃ、ならばこれでターンエンドだ」

万丈目瞬 LP6000 手札2枚
場 死皇帝の陵墓
地縛神 Ccapac Apu ATK3000
セットモンスター1枚
永続魔法 フィールドバリア
セットカード1枚

「オレのターン、キーメイスを守備表示に変更して、カードを1枚セットしてターンエンド」

万丈目準 LP8000 手札4枚
場 
キーメイス DEF300
セットモンスター1枚
永続罠 スピリットバリア
永続罠 宮廷のしきたり
永続罠 グラヴィティバインド–超重力の網–
セットカード1枚

「オレのターン、良し、地縛神 Ccapac Apuとセットしていた巨大ネズミをリリースして地縛神 Chacu Challhuaをアドバンス召還!!」

地縛神 Chacu Challhua ATK2900

次に現れたのはナスカの地上絵のシャチのモンスターが現れる。

「このカードも直接攻撃可能だが、今は攻撃も出来ない。だが、こいつは1ターンに一度守備力の半分のダメージを相手に与える事が出来る。2400の半分、1200のダメージだ」

「くっ!?」

万丈目準 LP8000→6800

「このままじわじわと殺してくれる。ターンエンドだ」

万丈目瞬 LP6000 手札2枚
場 死皇帝の陵墓
地縛神 Chacu Challhua ATK2900
永続魔法 フィールドバリア
セットカード1枚

「オレのターン、モンスターをセットしてターンエンドだ」

万丈目準 LP6800 手札4枚
場 
キーメイス DEF300
セットモンスター2枚
永続罠 スピリットバリア
永続罠 宮廷のしきたり
永続罠 グラヴィティバインド–超重力の網–
セットカード1枚

「オレのターンだ。流れはオレに来ているようだな!!オレは強欲な壷を発動、2枚ドローする。来たぞ!!2枚目のサイクロンで宮廷のしきたりを破壊、そして大嵐を発動だ!!」

「こちらも2枚目の宮廷のしきたりを発動。これにより破壊されるのは2枚目の宮廷のしきたりとフィールドバリア、それとお互いのセットカードだ」

「ちぃ、まだ粘るか。ならば地縛神 Chacu Challhuaの効果で1200のダメージを与えてターンエンド」

万丈目準 LP6800→5600

万丈目瞬 LP6000 手札2枚
場 死皇帝の陵墓
地縛神 Chacu Challhua ATK2900

「オレのターン、セットしていた闇の仮面とペンギンソルジャーを反転召還。闇の仮面の効果で墓地より宮廷のしきたりを手札に加え、ペンギンソルジャーの効果で自身と地縛神 Chacu Challhuaを手札に戻す」

「おのれ、そんな雑魚で」

「そしてキーメイスを攻撃表示に変更して、闇の仮面とキーメイスで直接攻撃」

キーメイスと闇の仮面が超重力で出来た網の目をくぐり抜けて襲いかかる。

万丈目瞬 LP6000→4700

「モンスターをセット、カードを2枚伏せてターンエンド」

万丈目準 LP5600 手札4枚
場 
キーメイス ATK400
闇の仮面 ATK900
セットモンスター1枚
永続罠 スピリットバリア
永続罠 グラヴィティバインド–超重力の網–
セットカード2枚

「オレのターン、ライフを2000払い、地縛神 Chacu Challhuaを召還」

万丈目瞬 LP4700→2700

「そして効果を」

「リバースカード、ブレイクスルー・スキル。地縛神 Chacu Challhuaの効果をターン終了時まで無効にする」

「またか!!モンスターをセットしてターンエンド!!」

万丈目瞬 LP2700 手札3枚
場 死皇帝の陵墓
地縛神 Chacu Challhua ATK2900
セットモンスター1枚

「オレのターン、ドロー。キーメイスと闇の仮面を守備表示に変更。モンスターをセットしてペンギンソルジャーを反転召還。自身と地縛神 Chacu Challhuaを手札に戻す。ターンエンド」

万丈目準 LP5600 手札5枚
場 
キーメイス DEF300
闇の仮面 DEF400
セットモンスター1枚
永続罠 スピリットバリア
永続罠 グラヴィティバインド–超重力の網–
セットカード2枚

「オレのターン、モンスターをセットしてターンエンドだ」

万丈目瞬 LP2700 手札3枚
場 死皇帝の陵墓
セットモンスター2枚

「オレのターン、ドロー。モンスターをセットしてターンエンド」

万丈目準 LP5600 手札5枚
場 
キーメイス DEF300
闇の仮面 DEF400
セットモンスター2枚
永続罠 スピリットバリア
永続罠 グラヴィティバインド–超重力の網–
セットカード2枚

「オレのターン、ドロー。二体の巨大ネズミをリリース、地縛神 Chacu Challhuaをアドバンス召還。そして効果を発動」

万丈目準 LP5600→4400

「カードをセットしてターンエンドだ」

万丈目瞬 LP2700 手札2枚
場 死皇帝の陵墓
地縛神 Chacu Challhua ATK2900
セットカード1枚

「オレのターン、ドロー。強欲な壷を発動して2枚ドロー。さらに壷の中の魔術書を発動。互いに3枚ドローする。瞬、一つ聞かせろ」

「なんだ、準」

「もう、あの頃の様にはなれないのか」

「あの頃?」

「オレをデュエルモンスターズの世界に誘ってくれた、あの楽しかった頃に」

「貴様が、貴様がそれを言うか!!貴様の所為で、貴様さえ居なかったらオレは!!兄より優れた弟など、いらないんだよ!!」

「それが答えか、兄さん」

「黙れ!!」

「……そうか。ならば全てを終わらせる。兄さんがくれたこのカード達で!!手札から2枚、そして伏せてあった速攻魔法ターンジャンプを発動。これにより9ターンの時が流れる。これにより、オレの場にはオレのターンで数えて10ターン以上表側表示であり続けたレベル1通常モンスターが居る事になる。キーメイスをリリースし、眠れる巨人ズシンを特殊召還!!」

「そ、そいつは!?」

眠れる巨人ズシン ATK?

眠れる巨人ズシンの登場に会場が盛り上がる。ノーマルカードの中でもそこそこの枚数が世に出ているため、ズシンを知らないアカデミア生はほとんどいない。その能力の強さと、そしてデュエルモンスターズの中でも召還の難しさが最高難易度であることもだ。

レベル1の通常モンスターを自分のターンで数えて10ターン以上、つまりは20ターンもの間、フィールドに維持し続けなければならず、ズシンを使う位なら終焉のカウントダウンを使った方が良いとまで言われる様なモンスターをソリッドビジョンで見た者は世界でも極少数であろう。それが今、目の前に居る事に生徒は興奮していた。

「そして大嵐を発動し、おジャマンダラを発動。ライフを1000払い、墓地よりおジャマ三兄弟を特殊召還」

万丈目準 LP4400→3400
おジャマグリーン ATK0
おジャマブラック ATK0
おジャマイエロー ATK0

「おジャマ三兄弟、いや、それよりも大嵐だと?一体何がしたいんだ?」

「言ったはずだ、オレはこのカード達で決着を着けると。おジャマ・デルタサンダーを発動!!おジャマ三兄弟が自分のフィールドに揃っている時に発動出来る。相手の手札とフィールドのカード1枚につき500のダメージを与える」

「何!?」

おジャマ三兄弟が空中でトライアングルを組み、そこから雷が放たれる。

万丈目瞬 LP2700→700

「止めだ!!眠れる巨人ズシンで地縛神 Chacu Challhuaに攻撃!!」

命令されたズシンがゆっくりと地縛神 Chacu Challhuaに向かってパンチを放つ。

「この瞬間、ズシンの効果が発動。ズシンの攻撃力と守備力は攻撃対象となったモンスターの攻撃力プラス1000となる」

眠れる巨人ズシン ATK?→3900

「馬鹿な、このオレがまた(・・)、またおジャマとズシンに負けるのか!?」

「やれ、ズシンよ。ズシンパンチ!!」

地縛神がズシンパンチによって砕かれ、破片が万丈目瞬を押しつぶす。

万丈目瞬 LP700→0

「デュエルモンスターズがどういった物か忘れた者にオレは負けない」

膝を付いて唖然としている瞬に言葉をかけてから次の対戦相手に向かい合う。だが、その相手はズシンに怯えている。その目からズシンを倒す方法が分からないのが手に取る様に分かる。

「落ち着け。例えズシンでも攻略する方法はある。そのための手を与えてやる。だからドローするんだ」

万丈目準に促されてノース校の二人目の選手である女子生徒がデッキから5枚のカードを引く。

「リレー形式の特別ルールによりバトルフェイズは終了しメイン2に移る。魔法カード、エクスチェンジを発動。お互いに手札を公開し、相手の手札を選択して交換する。オレの手札は1枚なので強制的にこれになる。オレは、そうだな、融合を選ばせてもらおう」

互いにカードを選択し終え、カードを投げ合って交換する。

「そのカードを最大限に生かせばズシンを葬り去る事が出来る。オレはカードを伏せてターンエンドだ」

万丈目準 LP3400 手札0枚
場 
眠れる巨人ズシン ATK?
おジャマグリーン ATK0
おジャマブラック ATK0
おジャマイエロー ATK0
セットカード1枚

「一つ、聞かせてください。なぜ、こんなことを?さっきの大嵐にしてもそうです。先にズシンで攻撃した後にデルタサンダーを使えば、問題無かったはずです。そのままズシンで攻撃を続けるだけで良かったはず」

「……君にとってデュエルモンスターズとは一体どんな物だ?」

「えっ?」

「オレにとってデュエルモンスターズは楽しむ物だ。一方的に相手を叩き付ける物じゃない。好きなカードを選び、デッキを作るわくわく感。コンボが綺麗に決まった時の達成感。一進一退の白熱した攻防による興奮。一枚のドローで場がひっくり返る無限の可能性。そして決着が着いた時の爽快感。それら全てが楽しいと思える。それがデュエルモンスターズだと、オレは思い出した。デュエルは楽しめなければならない、とまでは言わない。だが、楽しめる物だとは断言出来る。だから、楽しもう。チャンスは与えた、これ以上は手加減はしない!!」

「……そうですよね。うん、決闘は楽しむ物ですよね。行きます、私のターン、ドロー!!私はE・HERO ブレイズマンを召還。効果を発動してデッキから融合を手札に加えます。そして魔法カード、HERO'Sボンドを発動。場にHEROが存在するとき、手札からレベル4以下のE・HEROを2体特殊召還します。バブルマンとエアーマンを特殊召還。エアーマンの効果でシャドー・ミストを手札に加えます。そしてバトルです。3体のヒーローでおジャマ三兄弟を攻撃」

万丈目準 LP3400→0

「見事だ。やはり決闘は楽しいな」

「はい、ありがとうございました、万丈目さん」

「兄と被るから準で構わん。存分に楽しめ、残りの二人はこのデッキよりも強いぞ」

「頑張ります。それから、私の名前は宮田ゆまです。ゆまって呼んでください」

「そうか。では、頑張れよ、ゆま」

「はい」

万丈目準が本校の控えに下がっていく。

「すまんな遊矢、神楽坂。勝手な事をするばかりで」

「オレは構わんさ。デュエルモンスターズは楽しむ物だとはっきりと言ってくれてシンクロとエクシーズの開発者として嬉しいと思ったからな」

「オレは、ちょっと複雑。どうしても誰かのデッキに似て、陰口ばかりで楽しめた事って少ないから。でも、オレも最初は楽しんでいたはずなんだ。だから、楽しんでみせる。それに融合を残してくれて助かった。まだ融合関連を引けない事が多いから」

苦笑いする神楽坂がデュエルディスクを受け取り、デッキをセットする。

「次はオレの番だ」

神楽坂が5枚ドローして顔を引きつらせる。融合関連のカードを引けなかったようだ。

「はい、よろしくお願いします。それじゃあ、メイン2に移行してブレイズマンをリリースして魔法カード、痛み分けを発動します。相手はモンスターをリリースしなければなりません」

そこまで言って自信なさげにゆまが準の方を見る。

「えっと、これで良いんですよね?」

「ああ、そうだ。分からない者も居る様だから説明しよう。ズシンは魔法、罠、効果モンスターの効果を受け付けない。対象を取る、取らない以前の問題だな。効果を無効にしようにもズシン自身の永続効果によって無効にする事が出来ない。おネストなどのコンバットトリックを使おうとも、処理が終わった後にズシン自身の効果で攻撃力が上昇する。よってズシンがフィールドを離れる状況はただ一つ。コントローラーがリリースする時だけだ。そして痛み分けは相手プレイヤーを対象に取る魔法カードだ。ズシンに効果を及ぼす訳では無いので有効となる。そして、神楽坂のフィールドにはズシンしか存在しないため、ズシンをリリースしなければならない。よって神楽坂がズシンをリリースを宣言する必要がある。無論、チェーンで何かを特殊召還すればズシンをリリースしなくてもすむ。何か有るか?」

「無い。よってズシンをリリースする」

無敵と思われたズシンがただのノーマルカードによって消え去った事に生徒達がまたもや驚く。

「それじゃあ続きですね。融合を発動して、場のバブルマンとエアーマンを融合。E・HERO アブソルートZeroを融合召還。カードを1枚伏せてターンエンドです」

宮田ゆま LP8000 手札1枚

E・HERO アブソルートZero ATK2500
セットカード1枚

「行くぜ、オレの、オレだけの新しいデッキの力を見せてやる」
 
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