リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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第百五十四話 ラーメン
前書き
ゲンナイからの依頼をこなすタケル達。
大輔達がホーリーストーンの封印を済ませ、大輔達は学食もいいが、たまには店の物も食べたいということで現在、大輔のお薦めの店でラーメンを食べていた。
ルカ「とても美味しいラーメンですね。箸が止まりませんよ」
スバル「本当だ美味しい!!」
ギンガ「こんなに美味しいのに何でお客さんがいないのかな?」
「坊主に嬢ちゃん、ここは隠れ家的な通が知ってるラーメン屋って感じなんだ」
フェイト「つまり?」
賢「味に拘る人じゃないと来ないと言うことですか」
アリサ「つまり客がいないってことね」
「一言余計だ。そうなんだよなあ…最近の連中は店の見た目で選びやがるからな…」
すずか「なるほど…」
確かに気持ちは分からなくはない。
味はよくても、店の機能や値段で決める人が多い。
アリシア「もしかしておじさん、ラーメン屋、辞めちゃうの?」
「そりゃあ、このまま繁盛しないのならな…」
スバル「それは駄目だよ!!こんなに美味しいのに辞めるなんて勿体ないよう!!」
ルカ「その通りです。これほどのラーメン店を終わらせるなど勿体ないです。大輔さん、何とか出来ませんか?」
大輔「出来なくはないぜ。アリサ、すずか」
アリサ「仕方ないわね」
すずか「任せて下さい」
苦笑しながら立ち上がる2人。
その表情には自信に満ちあふれていた。
その後、アリサとすずかのコネ等を使ってこの店を大繁盛させることになった。
そして大輔達とは完全別行動を取っているタケル達はデジタルワールドの中華街付近の村のデジモン達に食料の配給などをしていた。
伊織「タケルさん。」
タケル「何かな?」
今まで聞くかどうか悩んでいたが、決心がついた伊織はタケルに聞くことにした。
伊織「あの、タケルさんはデビモンとの戦いでパタモンを失ったんですよね?確かにタケルさんの気持ちは分かります。僕だってアルマジモンを失ったらって思うと…でも、全ての闇のデジモンがそうだとはダスクモンを見ていると到底思えません」
実際ダスクモンと大輔達の会話を聞いていると、とてもではないが悪人には見えない。
本人のプライドは山のように高そうではあるが。
タケル「そうだね…今だから言うけど、僕はデビモンとの戦いまで戦いは自分に関係ないことだと思っていたんだ。」
伊織「え?」
タケル「僕はただ、デジタルワールドをパタモンやお兄ちゃん達と一緒に冒険出来ればそれでよかったんだ。」
伊織「そうだったんですか…でもそれは…」
タケル「そう、敵がいる以上、それは許されない。それなのに僕は最後の最後まで勇気を持てなかった。そしてエンジェモンに進化したパタモンは死んだ…そして僕は自分を守るために闇を憎むことにした。無意識に」
伊織「………」
タケル「多分、自分の弱さで死なせてしまった罪から逃げるために闇を憎むことで罪から目を逸らしていたんだ。自分の罪を受け入れるより、憎む方がラクだったから……」
伊織「タケルさん…」
タケル「こんなのでジョグレスなんか出来る訳ないよね。こんな自分の殻にずっと閉じこもっていた奴に」
自嘲の笑みを浮かべるタケルに伊織は何と言えばいいのか分からない。
ヤマト「おい、タケル、伊織。飯だぞ。デジタマモンの店に来い」
それだけ言うと中華街に向かうヤマト。
タケルと伊織もそれに続いた。
太一「お、このラーメン、凄い美味いぜ」
空「特にスープは絶品ね」
ヤマト「デジタマモン、このスープは何で出汁を取ってるんだ?」
デジタマモン[それは教えられません♪]
全員【何で!!?】
デジタマモン[企業秘密ですから。それにしても最近は妙に人間の子供と縁がありますね]
ヒカリ「え?」
デジタマモン[現実世界の聖竜学園と呼ばれる学校に調理員として来ているんですよ。中華専門ですけど]
このデジタマモン、何気に凄い経歴を持つデジモンである。
聖竜学園はデジモンとの繋がり最もある学校である。
羨ましいと思う。
選ばれし子供とデジモンが自由に勉学や交流が出来る学校なんて。
デジタマモン[人数は多くて大変ですが楽しいですよ。美味しいと言ってくれる生徒達の笑顔を見ているとね]
殻でよく分からないが、デジタマモンは多分、笑っているのだろう。
声で何となく分かる。
丈「聖竜学園か…みんなが楽しそうにしてたね」
大輔達に案内された時にチラリと見たが、みんな笑顔で楽しそうに過ごしていた。
タケル「………」
ラーメンを食べ終えるとタケルは箸を置いた。
伊織「とても美味しかったです。」
デジタマモン[いえいえ]
伊織「タケルさん、今のタケルさんは変わろうとしているんですよね?」
タケル「え?うん…一応…」
伊織「だったら大丈夫ですよ。今のタケルさんは前のタケルさんじゃない。自分の過ちに気づけたんですからいつかはジョグレス出来ますよ」
タケル「伊織君…」
慰めではない本心からの言葉にタケルは微笑んだ。
タケル「ありがとう…そうだったら…いいな…」
太一とヤマトは今のタケルと伊織ならいずれはと思い始めていた。
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