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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第六幕その九

「そういうことはしないことだよ」
「その通りよ、私も他の皆に好かれたいわ」
「お静さんもだね」
「そうよ、もっとも今はね」 
「お嬢さんの為にだね」
「進んで一肌も二肌も脱ぐわ」
 意気込みを見せてのお言葉でした。
「だって大好きなお嬢さんの為だから」
「好かれたいとかじゃないね」
「好きだからよ」
 同じ好きでもです、少し意味が違うのです。
「そうするのよ」
「そういうことだね」
「そうよ、それじゃあ」
 また言うお静さんでした、ここで言うこととは。
「学校までの道、気をつけてね」
「車とかにだね」
「日本の道は案外危ないから」
「うん、車の数が多いしね」
「いつも私言ってるの」
 八条町の猫達にというのです。
「くれぐれも車には気をつけろってね」
「絶対にだね」
「そう、車は天敵よ」
 猫にとって、です。
「轢かれたら大変だから」
「そうだよね、猫にとって車はね」
「犬にとっての車よりもね」
 それこそというのです。
「大変な相手よ」
「だからだね」
「いつも言ってるの、皆にね」
 車に気をつけろ、ということをというのです。
「車にはって」
「注意しろだね」
「そう、出来れば車道よりも」
「屋根の上や壁の上だね」
「烏もいるけれどね」
 こちらも猫の天敵なのです、猫も大変です。
「それでもよ」
「車よりはだね」
「まだ安全だから」
 それで、なのです。
「いつも言ってるの」
「車よりはましかな」
「私だと撃退出来るけれど」
 猫又であるお静さんならです、何しろ妖力まであるのです、それで何も出来ない筈がありません。例え天敵相手でも。
「他の子達はね」
「烏は空から来るからね」
「しかも案外大きいでしょ」
「あれでね」
「しかも爪と嘴がね」
 その二つがあるからこそなのです、烏は。
「怖いから」
「うん、人間もね」
 烏に襲われるとです。
「大変だからね」
「それでも車よりましだから」
「車道を歩くよりは」
「そう、屋根とか壁のね」
 そうした場所の上をというのです。
「そこにいろって言ってるのよ」
「そうなのね」
「そう、それでね」
「気をつけてるの」
 そして他の猫にも言っているのです。
「さもないと大変なことになるから」
「お静さんも大変だね」
 こう言って来たのは老馬でした。
「町の猫皆のことも気にかけないといけないから」
「それが頭領の務めよ」
「当然のことなんだ」
「猫又にもなればね」
 猫達を守ることもというのです。 
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