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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第六幕その十

「だからね」
「それでいいんだね」
「そう、皆とお嬢さんはね」
 その娘もというのです。
「私が守るわ」
「そこでお嬢さんって言うのがね」
「私らしい?」
「うん、そう思ったよ」
「当たり前よ、私はお嬢さんとずっと一緒だから」
 一緒にいるからだというのです。
「お守りするのは当然よ」
「それに好きだからだね」
「大好きよ」
 にこりとして確かな言葉で言い切りました。
「人間では一番ね」
「本当に好きなんだ」
「そうよ、だからお守りしてるの」
「今回のことも」
「それこそ一肌も二肌もだから」
「お守りしてだね」
「その恋を適えてもらうわ」
 こう言ってでした、そのうえで。
 お静さんは猫の動きで傍の壁の上にひらりと乗ってです、そこから屋根の上までさっと上ってそうしてでした。
 先生達にです、こう言いました。
「じゃあまたね」
「うん、またね」
「お会いしましょう」
「そうしようね」
「じゃあ学校に行って」
 そうしてもとも言うお静さんでした。
「あの子見てね」
「そうさせてもらうよ」
「私が見た限りだとね」
「いい子なんだね」
「そのことは保障するわ」
 こう確かに言うのでした。
「けれどそれでもよね」
「うん、この目で見たいから」
 どういう子かということをです。
「行って来るよ」
「そういうことでね」 
 こうお話してでした、お静さんはお店に戻りました。、そして先生はあらためて動物の皆に対して言うのでした。
「行こうか」
「先生、地図見せて」
 老馬が先生に言って来ました。
「僕も覚えておくから」
「僕が迷わない様に」
「うん、若しもに備えてね」
 こうした時はあまり頼りにならない先生のフォローの為になのです。
「見させて」
「わかったよ、じゃあね」
 こうして老馬も地図を見てなのでした、先生にあらためて言いました。
「覚えたよ」
「しっかりとだね」
「うん、けれどね」
「けれど?」
「先生って地理にも詳しいのに」 
 こちらにも造詣のあるのが先生です。
「それでも街とか歩くには」
「何か道に迷いやすいね」
「どうしてそうなのかな」
「方向音痴もね」
「先生の持って生まれたものなんだね」
「何か僕は本当にね」
 自分で言うのでした。
「世事のことは駄目だね」
「家事は全くだしね」
 ダブダブも言って来ます。
「お料理もお裁縫もお洗濯もお掃除も駄目で」
「食器を洗ってもね」
 それもなのです。 
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