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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第六幕その八

「そんな気もするんだ」
「そうかしら」
「王子にもずっと公平じゃない」
「お友達としてお付き合いしていて」
「だから王子もよ」
 そのご本人もというのです。
「普通に接していてね」
「先生に親しくしてくれてるんじゃない」
「日本の学生さん達だって同じでしょ」
「他の国からの人達にしても」
「それだったらいいけれどね」
 先生が昔からそうした人ならというのです。
「僕にしても」
「まあ王子は何処かイギリス文化に憧れていたかな」
「そうそう、昔の王子はね」
「今は日本文化にかなり影響受けてて」
「茶道もはじめてるっていうし」
 動物達から見る王子は結構影響を受けやすい人なのです、それで今いる国の文化に親しむ傾向があるのです。
「先生はその王子にイギリスのことを懇切丁寧に教えてあげてたじゃない」
「それもお友達として」
「上から目線じゃなくてね」
「同じ目線だったじゃない」
「だといいけれどね」
 先生はそれならと返すのでした。
「そうした僕だったら」
「というかね、先生ってね」
「そうしたこと特に気にするよね」
「自分が差別をしていないか、いじめたりしていないか」
「そうしたことを」
「自分がされたら嫌だし」
 それにというのです。
「そうしたことをすることは神の教えにも反しているよ」
「人は神様の前に平等で」
「そして汝の隣人を愛せよだね」
「僕は皆にもだよ」 
 先生のお心は人間だけに留まらないのです。
「そう考えているよ」
「公平にだね」
「あらゆる動物にも」
「そしてだね」
「皆で仲良くだね」
「うん、そう考えてるから」
 それでというのです。
「そんなことはしないよ」
「差別とかいじめは」
「そうしたことはしない」
「そういうことだよね」
「先生のお考えは」
「だから気をつけているんだ」
 また言う先生でした。
「そうしたことをしない様にね」
「余計に気をつけているんだ」
「自分自身が嫌っていることを自分自身がしない様に」
「そういうことなんだね」
「自分で自分をなんだ」
「そうだよ、自分がしたくないことは意識してね」
 そうしてというのでした。
「気をつけているんだ」
「そこは先生のいいところね」
 お静さんも先生のお話を聞いてうんうんと頷きつつ述べました。
「そうしたことがわからない人も多いからね」
「そうみたいだね」
「自分がされて嫌なことは絶対に他の人にはしない」
「絶対にね」
「そうしないとね」
 それこそというのです。
「嫌な人になるから」
「自分から進んでそうなりたい人なら別だけれど」
「まあ普通はね」
「人は他の人に好かれたいものだから」
「その方がずっと気持ちがいいからね」
 人から好きになってもらえることは本当に幸せなことです、それは先生にしてもお静さんにしても他の皆にしても同じです。 
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