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少年少女の戦極時代・アフター

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After10 斬月・ジンバーメロン!

 貴虎は鍬木というらしいオーバーマインドと対峙し、戦極ドライバーとロックシードを取り出して見せた。

「彼らはアーマードライダーではない。本物のライダーは、私だ」

 ――ウォーターメロンロックシード。かつて紛失したスイカロックシードの代用品として、凌馬が貴虎によこした品だ。
 重装備ではあるが、この硬い装甲のオーバーマインドを相手取るなら、このくらいがちょうどいい。

 そして、さらに。

 コアスロットル。ゲネシスドライバーなしにエナジーロックシードを使えるようにする部品。

 ガレージでの作戦会議の解散後、咲が貴虎を引き留めて渡した品だ。


 “あのプロフェッサーって貴虎お兄さんの昔のトモダチだったんでしょ? だったら貴虎お兄さんに返すのが一番いいかなって。――紘汰くんにはもう返せないから”


『ならば貴様を排除する。アーマードライダー』

 貴虎はコアスロットルをドライバーにセットし、ウォーターメロンの錠前とメロンのエナジーロックシードを開錠した。

《 ウォーターメロン 》
《 メロンエナジー 》

「――変身」

 貴虎はバックルに二つのロックシードを嵌め込み、ロックし、カッティングブレードを切った。

《 ウォーターメロンアームズ  ミックス  ジンバーメロン  ハハーッ 》

 ウォーターメロンとメロンのアームズが空中で融合し、メロン模様の鋼の陣羽織を貴虎にまとわせ、斬月・ジンバーメロンアームズへ変えた。

 斬月は弓を構えた。

『アーマードライダーを排除する。それが、ロードが私に与えた任務だ』
『そう簡単にやられると思うな』

 ロード、という単語は気に懸かったが、今は光実や咲、戒斗や城乃内に類が及ばないよう、このクワガタインベスを処理するほうが先決だ。

『あれらは違ったのか。俺は標的を過ったのか――ならばここで挽回しよう』
『来いッ!!』

 クワガタインベスは、ベルトに下がる金の装飾品をいくつも連続して千切り、斬月へ投げ放った。
 その小さなクワガタの装飾品が、斬月に迫ったところで全て爆発した。

(室井君のドラゴンフルーツの小型爆弾のようなものか。だが)

 煙が晴れた。
 斬月は傷一つなくそこに健在であった。

『――外したか』

 否。あの小クワガタ型爆弾は全て、斬月を射程に捉えていた。

 これがジンバーメロンの固有性能。防御力の倍増である。
 装着者のアームズの攻撃耐性を大幅に上げ、敵の攻撃によるダメージを装着者に負わせない。

 凌馬が試作品としてコアスロットルを作った時に数度実験しただけだが、機能は未だ健在だ。

(装飾品はベルトに下げた分だけだと仮定して、今放たれたのが10発だから、残りは20。残りを全てまた使われたとしたら、ジンバーを外してウォーターメロンのガトリング砲で相殺する。悔しいが、この多機能さは、本当にお前様々だよ、凌馬)

 クワガタインベスが今度は曲刀の鋏を突き出した。
 斬月は鋏を受けた。武器でも弓でもなく、両腕で。これもジンバーメロンの防御力増強があってこその無茶。

『おおおおぉぉ!!』

 斬月は両腕を大きく広げるだけで、曲刀の鋏を弾き返した。

 クワガタインベスは下がり、2本の曲刀を分解して双剣に戻した。その隙に斬月は弓のストリングを引き、ソニックアローを放っていた。ソニックアローはクワガタインベスの脇腹に着弾した。

 斬月はカッティングブレードを3回倒した。
 自身のポテンシャルを鑑みても――ここらが決め時だ。

《 ウォーターメロンスパーキング 》《 ジンバーメロンスパーキング 》

『はああぁぁぁ!!』

 乗せうる最大のエネルギーを弓に乗せ、体ごと大きく二度スイングし。×字状にソニックショットを放った。

 クワガタインベスは、弓によるソニックブームを曲刀で受け止めた。
 その瞬間、二つのロックシードから最大値で乗せたエネルギーが、爆発した。

 爆発力の反動で両者共に吹き飛ばされた。
 変身が解けた貴虎は、地面に転がった。

 だが、成果はあった。今の爆発でクワガタインベスに決定的なダメージを与えることができた。

 クワガタインベスは折れた曲刀を落とし、静電気を放ちながら膝を突いた。

『アーマード、ライダー……これほどの、力と、は……』

 クワガタインベスは倒れると同時に爆散した。

 貴虎はそれを見届け、ドライバーからウォーターメロンとメロンエナジーの錠前を外し、その場で膝を突いた。

「「貴虎さん!」」

 隠れていたチャッキーとペコが飛び出し、貴虎の前にしゃがんだ。

「大丈夫ですか? 病院に」
「いや。傷自体は大したことない。ロックシードの反動が出ただけだ」

 ウォーターメロンの錠前を単体で使った時でさえきつかったのだ。そこにジンバーメロンを上乗せしたのだから、体に出たダメージは当然の代償と言えた。

「私より君たちは。怪我はないか? あのオーバーマインドに何もされなかったか?」
「あたしは何も……でもペコが」
「俺だって大したことないって。もう普通に動けるよ。――貴虎さん、肩貸しましょうか?」
「すまない。甘えさせてもらおう」

 しばらくはドライバーを着けっ放しにして、自然治癒力を上げて一刻も早く反動ダメージを治すしかない。

 ペコとチャッキーが両肩を支えたので、貴虎は彼らの肩に有難く掴まって立ち上がった。 
 

 
後書き
 ウォーターメロン×メロンエナジー=ジンバーメロン。
 読者様の期待とは半分ほど違う形でしたが、ご満足いただけたでしょうか?
 ウォーターメロンは鎧武外伝/斬月編に出てきたロックシードです。
 最初、実はヨモツヘグリでの変身も考えたのですが、そういえばこれがあった! と思い出しての組み合わせにしました。 
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