英雄伝説~西風の絶剣~
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猟兵としての生き方
第4話 赤い星座
エレナを失った日、リィンはその日から猟兵になるべくルトガー達と共に厳しい修行の日々に明け暮れていた。
父であるルトガーからは猟兵としての戦い方、心構え、そして基礎を徹底的に叩き込まれた、最初はあまりの過酷さに何度も気を失いその度に無理やり起こされたことも何度もあった。
だがそれはルトガーが戦場の恐ろしさを誰よりも知っているからの事だった、いつかリィンも戦場に出るだろう…その時にリィンが死なないように願ってのことだっだ。
リィンが教わった人物はルトガーだけではない、西風の旅団全員が自分の持つ技術をリィンに与えた。
ゼノは罠の有効な使い方やワイヤーや火薬の扱い方、レオからは白兵戦などでの戦い方や格闘技術、マリアナからは武器についての知識や応急処置の方法などをリィンに教えた。
彼ら以外の団員達もサバイバルの知識や連携の確認、中には食べられる草などの見分け方などリィンの為になりそうなことは全て彼に教えた、それは西風の旅団全員がリィンを思っているからの事だった。
そんな日々が続き気が付けば2年の時が過ぎ去っていた。
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side:ルトガー
人など決して寄ることなどない危険地帯、アイゼンガルド連峰……Aランク遊撃士すらも迂闊には相手にしないほどの魔獣が生息する場所、俺とリィンは今そんな場所にいる。
「はぁはぁ……」
「何をボサッとしている、リィン!」
リィンと俺はそれぞれの得物を構えながら激突する。
「いいかリィン、戦場では絶対に気を抜くな!戦場では何時何処から敵が襲い掛かってくるかわからねえ!だから常に周りの状態を把握して戦え!じゃなきゃ死ぬぞ、こんな風になぁ!!」
俺はつばぜり合いを止めリィンの背後に回りこむ。リィンは反応して背後に攻撃を放つが空振りに終わった。
「残像!じゃあ……」
「遅え!」
俺が放った攻撃がリィンの刀を弾き飛ばした。
「ぐッ、参りました……」
「背後に反応できたのは良かったが爪が甘かったな、戦場じゃ死んでいたぜ」
刀をトントンと肩に当て俺はリィンに言う、もしこれが戦場ならリィンは殺されていたということになる。
「どうした、こんくらいでヘバッてて戦場で戦えるのか?」
「……もう一度お願いします……」
リィンは刀を拾い再び俺に向かっていった。
「へッ、そうこなくちゃなぁ!」
俺も刀を構えてリィンに向かい、二人の刀が交差した。
ーーー 数時間後 ---
「ぐッ、はぁはぁ……」
「良し、今日はこれまでだ」
地面に大の字に横たわるリィンを俺は少し疲れた表情でそう言った。
(しかし今回はちょっと危なかったな、特訓だからギリギリ死なないように加減はしているがちょっと予想外だ)
今までは俺がリィンをほぼ圧倒していたが今回はかすり傷をつけられた。最初のころは俺についていくだけで精一杯だったのにたった2年で手加減していたとはいえ自分に傷をつけるとは……俺は自分の息子の成長に驚いていた。
「しかしお前も物好きだな、どうして太刀なんか使おうと思ったんだ?」
「えっ?」
俺はこの2年の間に、リィンには様々な武器の使い方を教えた。自分に合う武器を選ぶためとその対処法を教えるためにナイフや剣、銃といった基本的な物から猟兵が好んで使うブレードライフルまで知る限りの武器の使い方を教えたつもりだ。
なのにリィンは俺が使っている太刀がいいと言ってきたのでそれを与えたが、猟兵としてはあらゆる状況でも戦えるブレードライフルとかの方がいいんじゃないかと思っていた。
えっ?俺は良いのかだって?双銃剣も使ってるからいいんだよ。
「……その、笑ったりしない?」
「おう、そんなことはしねえよ」
「団長と同じものが使いたかった……なんて……」
顔を赤くしてそう言うリィンに、俺も少し照れ臭くなってリィンの頭をガシガシと乱暴に撫でた。
「だ、団長?」
「なんでもねえよ……(やべえな、少し嬉しく思っちまった。これも親としての感情なのかな……)」
首を傾げるリィンに俺は何でもないと答える。
「でも団長も珍しいよね、だって猟兵なのに太刀を持ってるんだから。確か太刀って東方の方にある武器だよね?」
「まあな。俺が太刀を持ってんのはコイツが俺のダチの形見だからな」
「それって前に効いた団長の友達だった人の事?」
前にリィンとケンカした際、俺達はその後仲直りして俺はかつて守れなかったダチについてリィンに話したんだ。
「ああ、こいつはそのダチのもんでな。そいつはカルバート共和国出身だったんだ」
「へぇ、だから太刀を持っていたんだ。もしかして団長の剣術はその人に教わったの?」
「いや、俺は我流だ。そいつ、剣の腕はまったくなかったんだ。正直素手で戦った方が強いんじゃないかと思うくらい剣術の才能がなかったぜ」
「そうなんだ……」
俺のダチは剣術の才能はなかったが、それでも諦めずに修行を続けた負けず嫌いな奴だったな。あいつが死んじまった際、俺は死文の不甲斐なさを忘れない為に太刀を貰ったんだ。勝手に持ってきちまったから、あいつ怒ってるだろうな……
特訓を終えた俺達はアジトに帰る事にした。そのとき俺は思っていた、リィンという『芽』が芽吹く時は来たのかも知れないと……
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side:リィン
とある森にある西風の旅団のアジト、そこにある広い部屋に旅団の団員達が集まっていた。
「皆、集まったか」
お父さん……じゃなくて団長が現れ団員達を挨拶する。
「実はデカい仕事が入ってきた」
『!!!』
場の空気が変わり辺りに緊張感が漂う。
「団長、今回の依頼は?」
「ああ、今回はクロスベルのマフィヤ組織からの依頼だ」
「それって『ルバーチェ商会』なんか?」
「ああ、どうやら現在対抗している敵対組織の相手をしてほしいらしい」
「しかしあの『摩都』か……中々厄介な依頼になりそうだな」
団長の話に出た『クロスベル自治州』とはゼムリア大陸西部に位置する自治州で別名『魔都』。エレボニア帝国とカルバート共和国の二大国家に挟まれており、昔から両国の熾烈な領土争いの対象となっている。
大陸有数の質易都市で中継地点でもあるこの自治州には多くの人が訪れる、だが人が集まれば必ず現れるものがある。それは『犯罪者』……クロスベルでは『マフィア』といった組織である。
「それでだリィン、今回の依頼はお前にとっても大事なものになってくる」
「えっ、それって……」
「今回のこの依頼、お前にも同行してもらう」
ざわッ……!
ルトガーのその発言で更に緊張感が増した。
「ルトガー、それは……」
「そろそろリィンもこういった仕事に出すべきじゃないかと思ってな、もういい頃合だろ」
「でも相手はあのルバーチェ商会よ。危険すぎるわ」
「マリアナ、リィンが猟兵として生きる限りこういった奴等とも関わることになるだろう。今の内に知っておくのも社会勉強になる」
「それはそうだけど……」
「心配なのはわかる。だがこいつも戦場に立つ時が来る、そしてそれが今だ。なら先輩である俺達がリィンを支えてやるんだ」
「……そうね、この子が決めた事だもの。私達が支えないといけないわよね」
「という訳だ。リィン、実戦は初めてじゃないかもしれないが猟兵としての戦闘は初めてだろう、決して気を抜くな!」
「はい!」
いよいよ実戦か……ここで立ちすくんでしまったらエレナとの約束は果たせない、必ず乗り越えてみせるよ。
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クルスベルでの依頼を受けるため、僕達はクロスベル近くにあるマインツ山道の山深くにあるアジトに向かう。そして依頼主に合うためにまず団長が、そして付き添いに僕と連隊長の一人であるガルシアさんが付いていった。
「ここがクロスベル……」
大陸でも随一の質易都市であるクロスベルには多くの人で賑わっていた。それは僕の目にはこれまで見たことのないような華やかな世界だった。
「凄いな、帝国や共和国以外でこんなに人がいるのは初めて見た」
エレボニア帝国やカルバート共和国といった西ゼムリア大陸を代表する二大国家はその広大な土地のため治安維持がしきれない所がある、その為他の国と比べると猟兵が雇われやすく動きやすい為よく依頼を受けている。まあ猟兵が必要って事はそれだけ紛争地帯が多いってことなんだけど……
とにかくその二大国家以外でこれだけの人を見るのは初めての事なんだ。
「おい坊主、あまりキョロキョロとすんなよ。田舎者だと思われるだろうが」
そう言って僕に注意したのは西風の旅団の連隊長の一人であるガルシア・ロッシだった。
彼はマリアナ姉さんに次ぐ西風の古株で、団長も右腕として信頼しているほどの実力者なんだ。
圧倒的な戦闘力と達人級の軍用格闘術で敵をなぎ倒す姿から『キリングベア』と呼ばれている戦士だ、僕も彼に軍用格闘術を習っているんだ。
顔は怖いがあのゼノやレオも「兄貴」と呼ぶくらいの面倒見の良さもあって僕も慕っている。
「あ、ごめんなさい……」
「チッ、怒った訳じゃねえからシュンとすんな」
言葉は怖いがガルシアが優しい人だって事を僕は知ってる、今だって僕を心配しての言葉だしね。
「相変わらずの不器用さだな、ガルシア」
「団長、アンタには言われたくないな」
「あはは……」
そうこうしながら僕達はルバーチェ商会のある裏通りを目指した。
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裏通りにあるルバーチェ商会の屋敷に入り今回の依頼主に会う。
「お待ちしていましたよ、ルトガーさん」
「これはこれは……お久しぶりですね、グルシアさん」
依頼主であるルバーチェ商会三代目会長『グルシア・バッカーノ』、オールバックの40代位の男性だ。
「以前も貴方達に色々助けて頂いたおかげでルバーチェ商会も更なる発展が出来ました」
「いえいえ、それが俺達の仕事ですから」
「我々としても今後とも西風の旅団の方々とは良好な関係を築いていきたいと思っています」
「それは光栄です、是非今後とも宜しくお願いいたします」
そういえば以前団長たちはルバーチェ商会の依頼を受けたことがあったってゼノが言ってたっけ。僕はまだ小さかったから詳しい事は知らないけど。
「所でそちらのお子さんは?以前は見ませんでしたが……」
「息子のリィン・クラウゼルです。リィン、挨拶しろ」
「あ、リィン・クラウゼルです」
「ほぉ、あの〈猟兵王〉に息子が……なるほど、将来が楽しみだ」
やっぱり猟兵王の息子として注目されている、これはプレッシャーになるな……
「グルシアさん、申し訳ありませんがそろそろ……」
「おおそうですね…そろそろ本題に入りましょうか」
「ええ、依頼内容を教えて頂きたい」
「内容はある組織の始末をお願いしたい、その組織は『鳴神』」
「鳴神……ルバーチェ商会とタメを張っている組織でしたね」
鳴神とはクロスベルに古くから存在していた裏社会の組織だ……って団長が言っていた。ルバーチェ商会が現れるまではこいつらがこの町の裏を支配していたらしいよ。
「左様、長年に渡り対立してきた組織だったんですがここ最近抗争が大きくなってきましてねぇ。これ以上抗争が大きくなれば被害も甚大になりかねません。事実つい先日も街中で銃撃戦になりそうになりまして……万が一民間人に怪我でもされたら無能な警察はともかく民間人の保護と称して遊撃士協会がでしゃばってくるかもしれません。そうなる前に奴等を始末するしかないという結論になりました」
「つまり俺達にその勢力の一つになれと……?」
「左様、西風の旅団ならば勢力として申し分ないですからな。報酬は5千万ミラでどうでしょうか?」
西風の旅団は猟兵団の中でも最高ランクの実力を持っているから基本的に大きな仕事は一千万ミラを軽く超えるんだ。5千万ミラなら中々貰える方だね。つまりそれだけ危険な仕事になるって事か、少し緊張しちゃうな……
「場所は?」
「この辺りの近郊にはいくつかの古戦場跡がありましてその一つでやる予定です」
「なら敵の勢力、戦場地帯の地形の詳細など的確な情報を頂きたい」
「勿論です、後貴方に教えておくべき情報があります。鳴神は『赤い星座』を雇ったとの事です」
「赤い星座だと……!?」
団長とガルシアが険しい顔つきになる、赤い星座……一体どんな相手なんだろうか?
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「危険よルトガー!」
「そうは言ってもな……」
ルバーチェ商会との話を終えて僕達はアジトに戻ってきていた、でも話を聞いたマリアナ姉さんは突然僕の作戦同行に反対しだしたんだ。
「ねえゼノ、何で姉さんはあそこまで反対してるの?赤い星座ってそんなに凄い相手なの?」
「そうやな、もうボンも知っておくべきやろうし……『赤い星座』は西ゼムリア大陸における最強クラスの猟兵団でウチとも何度も殺り合っとる連中なんや」
「西風の旅団と!?」
話を聞くだけでも相当やばい猟兵団って事が分かる、西風の旅団と互角に戦える猟兵団なんて数えるほどしかないからだ。
「赤い星座の団長であるバルデル・オルランドは団長と因縁があってな、度々殺し合っとるんや。団長とあそこまで戦える奴なんてこの大陸にも数えるほどしかおらへん。しかも団員たちは下っ端すらかなり強いから姐さんも反対しとるんやろな」
そんなにヤバイ相手だったんだ、確かにデビューする時に相手するような猟兵団じゃないとは思う。
「マリアナ、バルデルの息子だって幼いころから戦場に出てるんだぜ?」
「それとこれとは話が別よ!!」
「だがリィンは俺の息子だ、遅かれ早かれ赤い星座とはいつかやり合う時がくる」
「そ、それは……」
「今回はお前をリィンに付ける、あいつをフォローしてやってくれ」
「……分かったわ」
最終的に姉さんが折れて僕の作戦参加は確定になった。でも姉さんや皆があそこまで警戒する相手だ、赤い星座……気を引き締めて挑まないと。
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「えーと、ここは遊撃士のギルドがあってあっちに武器屋があって……分かってはいたけどクロスベルって本当に広いなぁ……」
僕は現在クロスベルの町の地形を覚える為に街を歩いていた。
これは地形を把握するためであり、猟兵はいざという時の為に脱出経路を作るのだがその為には地形を把握しておく必要があるんだ。地図でもいいが実際に目で見たほうが分かりやすいし、もし年月がたっていたりしたら地形に変化があるかも知れない。だから猟兵は初めて来た場所や長く訪れてない場所に来て最初にするのが地形の把握だ。
自分が西風の旅団に拾われてここまで大きな都市に来たのは帝国や共和国以来だ、地形を把握するのは初めてじゃないがやはり大都市の地形を覚えるのは大変だと僕は実感した。
(ううん、こんなことで挫けるなんて駄目だ。団長達が通ってきた道なんだ、これ位出来ないと)
僕はそう思い再び街を探索しようとしたが……
「嬢ちゃん、困るじゃねえか!」
「だからー、悪かったって~」
「悪かったじゃないよ!ミラを持ってないなんて舐めてるのか!」
「ホントに財布があると思ってたんだってばー、でも財布を忘れちゃって……」
「ええい話にならん!保護者を呼べ!じゃなきゃ警察だ!」
「ええっと、それはちょっと勘弁してほしいなー……」
東通りのある屋台の前で店の主人と赤い髪をした少女が何か争っていた、どうやらあの子が無銭飲食をしたらしい。
「……よし、助けてあげよう」
エレナを失ったあの日から僕は出来る限り困った人の力になりたいと思うようになった、まあ偽善的な行為かもしれないけど……僕は言い争っている二人に近づいた。
「おじさんちょっといい?」
「何だ坊主、今取り込み中で……」
「その子が食べた物の代金、僕が払うよ」
「何?」
「えっ?」
僕の言葉に屋台の主人と赤髪の少女が驚いたような表情を浮かべる。
「お前この嬢ちゃんの連れか?」
「まあそんなとこかな、それでいくら?」
「ああ、8900ミラだ」
む、無銭飲食でどれだけ食べたんだこの子……心の中で若干呆れながらもサイフからミラを出す。
「はい、ミラだよ」
「毎度あり。おいアンタ、今後はこんなことが無いようにしっかりと教育しておけよ」
「すいませんでした、ほら行くよ」
僕は代金を渡し少女の手を掴んでその場を離れた。
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「ふうっ、なんとかなったか」
「ありがとう、キミ優しいね!」
「うわッ!?」
屋台があった東通りから港湾区に来た僕は少女の手を離す、すると少女が僕に抱きついてきた。
「キミのお陰でシャーリィ助かったよ!」
「むぐぐ、少し離れて……」
頭に抱きつかれた僕は息が出来なくなったので少女……シャーリィを降ろす。
「それにしても財布も無しに飲食したら駄目じゃないか」
「ねえねえ、キミ名前は?」
「聞いてないし……リィンだよ、君は?」
「シャーリィだよ!助けてくれてありがとうリィン!」
「どういたしまして、でももう無銭飲食なんてしたら駄目だよ」
「ごめんねー、シャーリィ財布持ってると思ってたんだけど無かったんだ」
「しっかりしてよ……でもシャーリィ、どうして一人だったんだ、親はどうしたの?」
シャーリィはどうみても自分より年下にしか見えない、そんな彼女に保護者がいないのはおかしいと思った僕はシャーリィに質問した。
「シャーリィは猟兵なの、だからこの町の地形を把握して来いってパパに言われて街を歩いてたんだけどちょっとお腹がすいちゃってつい……」
「えっ、シャーリィは猟兵なの?」
「そうだよ」
シャーリィの言葉に僕は驚いた、まさかこんな少女が猟兵だったとは。まあそんなこと言ったら自分もなんだけど。
「そうなんだ、すごいんだね君は」
「まあデビューしたのは一年前なんだけどね」
「い、一年前!あの、君いくつ?」
「6歳だよ」
6歳!?僕より一個下だ……そんな年でもう猟兵としてデビューしているなんて信じられない……でもこの少女から放たれる底の知れない闘氣が事実だと僕に思わせた。
「お~い、シャーリィ!何処だ~」
「あ、ランディ兄の声だ!」
「君の家族かい?」
「うん、きっと迎えに来てくれたんだ」
「そっか、じゃあ行かないとね」
「うん、リィンありがとうね、それじゃ!」
シャーリィはそういって走っていった。
「しかしあの子が猟兵か、じゃあいつか戦うことになるのかな」
僕はそういってアジトに戻っていった、だがこの時まさか直に再会するとは思わなかった。
ーーーーーーーーー
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ーーー
そしていよいよ決戦の日がやってきた。
クロスベル郊外にある古戦場跡、そこに大規模の部隊が集結していた。一方はルバーチェ商会、もう一方は鳴神。クロスベルの裏社会を支配する二つの組織が今宵決着をつけようとしていた。
遊撃士ギルドや警察もこの動きに気付くが警察は上層部に圧をかけられ、ギルドは民間人への危険がない限り手が出せない為共に静観していた。
「お前ら、作戦前の最終確認をするぞ、今回の依頼達成条件は鳴神の会長の首を取ること……つまり大将の首をとったほうの勝ちってことだ。俺達は鳴神が雇った赤い星座の相手をしながら敵の大将も殺らなくちゃならねえ」
「赤い星座、相当厄介な相手ね」
「全くだ、そこで今回は俺とゼノとガルシア、そして数人の部隊長で攻めに入る。レオとマリアナ、そして残りの隊はルバーチェの守りに当たれ」
『了解!』
団長の指示に各部隊長たちが返事を返す。普段おちゃらけているゼノもこの時はカッコイイ。
「そして赤い星座を抑えている間にレオ達も加勢して一気にカタをつけるんだ、そしてリィン」
「は、はい!」
「お前はマリアナの部隊に入れ。マリアナ、フォローを頼む」
「任せて、ルトガー」
姉さんがフォローしてくれるのなら安心だね。
「リィン、いいか?今回はお前の初の実戦だ、俺達が今まで教えたことを最大限にいかすこと、そして何より生きることを優先しろ」
「生きること?」
「猟兵は引き際を見極めることも大事だ。無茶して死ぬなんてことは絶対にするな、恥だと思うな、危なくなったら逃げろ、いいな?」
「分かりました」
「良し、それじゃお前ら作戦を開始する。いいかお前ら、絶対に生きて帰って来い!」
『了解!!!』
そして決戦の火蓋が切られた。これが僕の初実戦……必ず生き残って見せるぞ!
side:ルトガー
「喰らえ、『ラグナドライバー』!!」
上段に構えた太刀が雷を帯び、勢いよく振り下ろす。その一撃で10人以上の猟兵達を吹き飛ばした。しかし流石は赤い星座の猟兵だ、一般の兵でさえかなりの戦闘力を持っており並みの猟兵団ならとっくに終わってるがこいつらはそうはいかない。
流石は大陸最強クラスと呼ばれるだけはある、だが俺の団だって負けちゃいない。
「そらそらッ!足元がお留守やで!」
ブレードライフルの銃弾と斬撃で赤い星座の猟兵達を翻弄するゼノ、そして敵を罠が仕掛けてある位置に誘導させる。
「そうらッ、これで仕舞や!!」
導力地雷の凄まじい爆発が猟兵達を吹き飛ばす、流石『罠使い』。トラップじゃあいつの右に出る猟兵はいない。
「はあッ!『絶倫攻』!喰らえ、『大回転旋風脚』!!」
自身の身体能力を上昇させてからの広範囲に及ぶ回し蹴りを放つガルシア、その一撃で猟兵達が吹っ飛んでいく。戦場を武器も持たずにステゴロで戦い周れるのなんざアイツ以外にはいないだろうな。
「へッ、あいつらもやるじゃねえか。よし、俺だって……ッ!?」
突如殺気を感じた俺は太刀を上に構える、するとまるで隕石が落ちたかのような衝撃に襲われた。
「よく防いだな、流石は猟兵王」
「攻撃する直前まで気づかせなかったくせによく言うぜ、闘神」
俺は気配を消して攻撃してきた戦斧を構える男、赤い星座団長バルデル・オルランドを見据えそう呟いた。
「団長!くそ、ガルシアの兄貴、ワイらも行くで!」
「いや、無理のようだぜ……」
「お前たちの相手は俺がしてやる」
二人の前に凄まじい体格を持った紅い髪の男が立ちふさがった。赤い星座副団長シグムント・オルランドも出てきたか……!
「俺の団員達を随分と可愛がってくれたようだな、ルトガー」
「だったら何だってんだ、バルデル?」
「知れた事……今日こそお前を殺し任務を遂行するだけだ」
「はッ!俺がお前に殺される訳がないだろう、返り討ちにしてやるよ」
俺は太刀と双銃剣の片方を両手に持ちバルデルは戦斧を構える。
『今日こそくたばれ!!!』
そして俺とバルデルは激突した。しかしシグムントの奴がきているのなら最近噂になっている奴の娘も来ているかもしれないな、リィンが鉢合わせしなければいいんだが……
side:リィン
「はぁはぁ、これが戦場か……」
僕は初めての実戦を感じていた。人が倒れ大地が血で赤くなり銃声の音が辺りに響き殺意と憎悪が渦巻く場所……それが戦場だった。
今まで僕は団長達の訓練を耐えてきた。だが実際の戦場は訓練とは比べ物にならない、ここでは何時何処から敵が襲い掛かってくるか分からないからだ。
「はぁぁッ!」
正面から剣を構えた赤い星座の猟兵が僕に迫る、放たれる攻撃を刀で受け止め上に弾く、そしてがら空きになった猟兵の腹に目掛けて刀を横なぎに振るう。
「がはッ!」
猟兵の腹から血が噴出し地面に倒れる。
「うっ……」
僕はそれを見て目をそらす、その隙をついて猟兵が背後から襲い掛かる。
「死ねえッ!」
「リィン、危ない!」
マリアナ姉さんが銃で猟兵の眉間を打ち抜いた、マリアナ姉さんは僕の側に駆け寄る。
「リィン、大丈夫!」
「うッ、姉さんごめん……」
「いいの気にしないで。人を殺したんだもの、そうなって当然よ」
二年前に僕は自らの中に眠る『力』で暴走して猟兵を傷つけたことがある、その時は意識がはっきりとしていなかったが後から気づいて嘔吐した、その日は一日中震えが収まらなかった。
だが今日初めて自分の意志で人を斬った。それはとても言葉では決して言い表すことのできない感情になった。黒くまとわり付くような不快感や恐怖が身に襲い掛かる、できることなら一生味わいたくないものだ。
「リィン、無茶はしないで無理になったり直に撤退して。いいわね?」
「うん、分かったよ……」
「リィン、姉御!!」
そこにレオの部隊が駆けつけてきた。
「レオ、一体どうしたの?」
「どうやら団長達が『闘神』と『赤の戦鬼』とぶつかったようだ」
「あの二人と同時に……それはまずいわね」
「俺は直に団長達の元に向かう」
「分かったわ、私達はこのまま守りを続けるわ」
「武運を祈る」
「貴方もね」
レオの部隊が団長達の元に向かった。
「姉さん、僕達はどうするの?」
「私達はこのままルバーチェ商会の守りに……!?———隠れてッ!」
マリアナ姉さんが何かを察したのか僕を連れて物影に飛び込んだ。
「ぐあッ!」
「があッ!?」
すると突然マリアナ姉さん達の後ろにいた西風の旅団の団員二人の肩や足から血が噴出した。
「不味いわ、狙撃されている……これは《閃撃》のガレスね!」
《閃撃》のガレス……確か赤い星座随一の狙撃手だって昨日姉さんに聞いた、マリアナ姉さんは直に負傷した団員達を物陰に隠すように指示をだした。
「けが人の状況は!」
「足や肩を撃たれたようです。応急処置はしましたが作戦続行は難しいかと思われます」
「分かった、ガレスは私が抑えるわ、貴方達は撤退して!」
「し、しかし……!」
「今動けるのは私と貴方とリィンだけ、ここは私に任せて早くいって!」
「すみません姐さん、どうかご無事で!」
「ええ、リィンをお願いね」
僕とコリンさんは負傷した仲間を連れて撤退を始める、後ろからは銃撃の激しい音が響いてくる。
「姉さん……」
僕は心配そうに後ろを振り返る。
「大丈夫だ、姐さんは強いからな。それよりも急ぐぞ、今の状態で敵に見つかったら格好の餌食だからな」
「はい、急ぎましょう!」
僕達は本拠地である陣地目指して歩いていく、なるべく敵と遭遇しないように大回りしながら自分達の陣地に近づいていく。
「よし、あと少しだぞ」
「急ぎましょう」
「見~つけた♪」
その時だった、崖の上から声が聞こえた、僕が見上げるとそこには崖から飛び降りた赤髪の少女がチェーンソーが取り付けられたライフルを自分目掛けて振り下ろす光景だった。
僕は咄嗟に刀を抜きチェーンソーを弾く。
「あはは、何だか嗅いだことのある匂いがしたと思ったらやっぱりリィンだ~!」
「……シャーリィ」
そこに現れたのは昨日ふとしたことで出会った少女—————シャーリィだった。
「まさか《血染めのシャーリィ》……!6歳で戦場に出て数々の猟兵を殺し、その身を赤い血で染めたことから異名がついたシャーリィ・オルランドか!?」
西風の旅団の団員であるコリンさんが驚愕の表情でそう語る。《血染めのシャーリィ》……赤い星座の副団長《赤の戦鬼》シグムント・オルランドの娘である彼女はオルランドの血を引くもので6歳で猟兵としてデビューし多くの戦士の血を浴びてきた戦場の申し子。
まさか昨日出会ったシャーリィが《血染めのシャーリィ》だったとは思ってもいなかったので、僕は驚きを隠せなかった。
「あはは、まさかこんな早く再会できるなんて思ってもいなかったよ。やっぱりリィンは猟兵だったんだね」
「どうしてそれを?」
「だって隠していても分かるよ、リィンからは血の匂いがプンプンするんだもん」
「……君にとって他の猟兵を見抜くことなんて朝飯前って訳か」
僕は刀を構えながら後ろにいるコリンさんに話しかけた。
「コリンさん、今の内に二人を連れていってください」
「なッ、そんなことできるか!ここは俺が……」
「僕では大の大人二人も運べません」
「そ、それはそうだが……」
「絶対に死にません、だから早く言ってください!」
「ぐっ、絶対に死ぬなよ、直に応援を呼んでくる!」
彼はそういうと二人を連れていった。
「あ、いっちゃった。まあいいか、今日はリィンと遊びたい気分だし♪」
「……やっぱりやらなきゃ駄目か?」
「当たり前だよ、猟兵が戦場で出会ったら殺るか殺られるかのどっちかじゃん」
「そうか、そうだよね。僕達は猟兵だ」
自分も猟兵、そして相手も猟兵、戦場で出会ったなら殺るしかない。
(覚悟を決めろ、僕はこんな所で死ぬ訳にはいかないんだ)
俺は脳内で死んでしまったエレナを思い出した。
「彼女の分まで僕は生きなくちゃならないんだ。だから、その為に僕は君を斬る……!」
僕は刀を構えシャーリィを鋭く睨む。
「……あはっ♪いいよ、今のリィンすっごくいい……最近は楽しめるような殺し合いがなかったんだよね。だからさぁリィン……シャーリィを楽しませてよッ!!」
シャーリィはライフルから銃弾を放つ、僕はジグザグに動き銃弾をかわす。
「はあッ!」
僕は刀で地面を砕き石つぶてをシャーリィに放つ。
「効かないよッ!」
シャーリィはライフルを横なぎに振るいチェーンソーで石つぶてを粉砕した、その隙をついて僕が切りかかる。
キィンッ!
だがシャーリィは巨大なブレードライフルを意図も簡単に振り回し斬撃を防いだ。
「ブラッディクロス!」
シャーリィは機関銃を乱射し追撃で切りかかる、僕は銃弾を刀で弾きチェーンソーを回避する。
(チェーンソーじゃ刀で受けられない、かわしながら攻撃していくしかないか)
僕はシャーリィの攻撃をかわし追撃する、シャーリィは追撃させまいと機関銃で弾幕をはる、僕はそれらをかわしながらシャーリィに接近する。
「時雨!」
僕はダッシュした勢いを利用して高速の突きを放つ、だがシャーリィは避けようともせずガチャリとライフルを構えた。
(何か来る!)
何か嫌な予感を感じた僕は咄嗟に横に飛ぶ、するとシャーリィのライフルから火炎が放たれ地面を焼いていく。咄嗟に飛ばなかったら自分が黒コゲになっていただろう。
(火炎放射器まで内蔵してるのか、何て武器だ……!)
機関銃にチェーンソー、更には火炎放射器と人を殺す武器のオンパレードに僕は少し恐怖した。
「もっと!もっと楽しませてよ!リィン!」
闘気を纏ったシャーリィがチェーンソーを振り回し突っ込んでくる。
「ブラッドストーム!」
シャーリィの攻撃を何とかかわすがその時運悪く何かに躓いて体勢を崩してしまった。
「しまったッ!」
シャーリィがその隙を見逃すはずもなくチェーンソーを僕に振り下ろした。
ガキンッ!!
だがチェーンソーが当たったのは僕ではなく僕の刀の鞘だった、僕は鞘が切れる前にチェーンソーを上に押し上げる。
「くらえッ!」
ドガッ!!
「ごふッ!!」
そしてがら空きになったシャーリィの腹目掛けて全力の拳を繰り出しシャーリィの体をくの字に曲げた。
そこに前蹴りを追撃で喰らわせてシャーリィを蹴り飛ばした。ゴロゴロと転がり崖に激突したシャーリィはぐったりとしたように壁に持たれかかった。
「はぁ、はぁ……危なかった」
「……あは」
「なッ!?」
「あはははははははッ、最高、最高だよリィン!シャーリィ血を吹いたの初めてだよ!」
シャーリィはゆっくりと起き上がると口からプッと血を吐いた、肋骨を折る勢いの打撃を喰らったはずなのにピンピンしていた。
「なんて頑丈な……」
「リィン、もっと殺り合おうよ―――ッ!!!」
口から血を流すシャーリィが向かってきた、僕も武器を構えて応戦する。そしてしばらく戦っていると空にまばゆい光が走った。
「あれは……」
「あ、撤退の合図だ」
シャーリィから撤退の言葉を聞いて西風の旅団が勝ったんだと分かった、シャーリィは闘気を抑えて武器を下ろす。
「……向かってこないのか?」
「残念だけど今回はシャーリィ達の負けみたいだしね、これ以上しても無駄なだけだから」
(なるほど、状況の判断力が高い。流石は猟兵として先輩なだけはあるな)
そうぼんやりと考えているといつの間にかシャーリィが目の前にいた。僕は驚いて一瞬動きが止まってしまう、それが仇となった。
「ん……」
「!!?」
なんとシャーリィがキスしてきたのだ、それもディープな方を。
「じゅる、んん、くちゅ……」
「!??!?」
更に舌までいれてきた、僕は離れようとするが信じられないことにシャーリィを振りほどけない、頭をがっちりと掴まれ首も動かせない、何て力だ!
「じゅるる、ずちゅ、じゅる、んっ……」
尚もシャーリィの舌が僕の口の中を蹂躙する。舌を引っ込めても無理やり絡まされて歯茎や舌の裏まで舐められる、互いの唾液を混ぜ合いながら時には舌を強く吸われる……年下の女の子にここまで翻弄される情けなさとしびれるような感覚で頭がいっぱいになっていく。
暫くの間シャーリィに成すがままにされていた僕は数分後開放された。
「えへへ、ご馳走様」
最後に僕の口をペロリと舐めたシャーリィは恍惚の表情を浮かべた。
「な、なにをッ!?」
「ん、印だよ。シャーリィに傷をつけたのってパパ以外でリィンが初めてなんだよ。だからシャーリィ決めたの、リィンを殺るのはシャーリィだって、だから唾つけたの」
「だからっていきなりあんな……ファーストキスだったんだよ!?」
「じゃあねリィン、シャーリィ以外の奴に殺されたら許さないからね」
シャーリィはそういって撤退していった、僕も戸惑いながら皆の元に向かった。
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ーーーーーー
ーーー
今回の依頼は西風の旅団の勝利だった、団長達と合流したレオの部隊がゼノの部隊と協力してシグムントを抑えてその隙にガルシアが鳴神の大将を打ち取ったらしい。紙一重の勝利だったらしいけど勝ちは勝ちだ。
勝利したルバーチェ商会は鳴神の支配していたシマを抑え更に勢力を拡大したそうだ。報酬を受け取る際に団長達はルバーチェ商会の専属戦闘員にならないかと誘われたらしいが団長は断ったらしい。
「しっかし危なかったな、もしレオが来てくれなかったら負けていたかもな」
「俺とゼノが本気を出して足止め程度、流石は赤の戦鬼と言うべきか」
「あのオッサン、戦闘力だけなら団長や闘神とタメはれるんなやいか?」
西風の旅団の中でもトップの実力者である二人が足止めで精一杯だなんて信じられないよ、シグムント・オルランド……噂以上の猟兵らしい。
「そういや坊主、お前あの血染めのシャーリィと殺り合ったんだってな?」
「そうよリィン、それを聞いたとき私思わず倒れちゃいそうになったのよ」
「ご、ごめんなさい」
ガルシアにシャーリィとの戦いについて聞かれ姉さんが血相を変えて詰め寄ってくる。心配をかけてしまったので直に謝った。
「だがよく無事だったな」
「それがしばらく戦ってると赤い星座が撤退しだしてシャーリィも直に撤退しちゃったんだ」
「なるほど、あいつらは戦闘狂ではあるが猟兵の本分をキチンと理解してる奴らだ。必要のない戦闘はしない、まあ逆に言えば必要ならいくらでも戦闘するんだがな」
レオの質問に答えると団長が赤い星座について教えてくれた。確かに撤退も鮮やかだったし猟兵としての行動に無駄がない印象だった。
「しかしそれでも敵さんが撤退するまでボンは血染めのシャーリィ相手に持ちこたえたって訳やな、流石は団長の息子やで」
「本当に強い相手だったよ」
自分でもよく生き残れたと思う。シャーリィの強さは本物だった、僕より一歳年下なだけで戦闘力も状況分析も彼女が上だ。初めての相手にしてはベリーハードもいい所だろう。
(まあでも顔は可愛かったな……)
戦ってる時の印象は正に人食い虎だったが最初に会った時のシャーリィは年相応の無邪気な性格だった。実際あんな美少女とキスしちゃったんだよな……
「あら、どうしたのリィン、何だか顔が赤いけど?」
「な、何でもないよ!」
姉さんに声をかけられて正気に戻った。はあ、何考えてるんだろう。いくら可愛くても意気揚々と殺しにかかってくる女の子はゴメンだね、やっぱり女の子は可愛らしい子が一番だ。
こうして僕の初実戦は幕を閉じた。
後書き
実際はシャーリィは9歳の時に猟兵としてデビューしてますがこの小説では6歳の時にデビューしたという設定にしています。
ーーー オリジナルクラフト紹介 ---
『時雨』
リィンがレオニダスの武器、パイルバンカーを見て自ら編み出したクラフトの一つ。
走る勢いを利用して放たれる高速の突きだが上空の敵に放つ『時雨空牙』、連続して突きを放つ『時雨連撃』、その場で全身のバネを使って零距離で放つ『時雨・零式』などのバリエーションがある。
ーーー オリキャラ紹介 ---
『コリン』
頭を丸刈りにした男性で元遊撃士。猟兵になるまでは真面目に遊撃士の仕事をしていたがある時親友が帝国の貴族に罪を着せられて罪人にされる、それに反論しようとしたが相手は権力者であり干渉できなかった。
遊撃士である以上どうしようもなかったが、そこにルトガーが現れて依頼を受けてその貴族の悪事を表に引きずりだした。
そして彼の自由な人柄にほれ込んで猟兵になった。元は遊撃士だったので戦いよりも捜索などが得意。
キャラのイメージは戦場のヴァルキュリアのカロス。
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