| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

美しき異形達

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四十五話 博士その八

「まあ今は気にせんでくれ」
「やけに気になるけれどな」
「そうよね」
「けれどな」
「博士がそう仰るのなら」
「まあとにかくじゃ、お茶と羊羹を楽しみながらじゃ」
 既にパイプ椅子にそれぞれ座っている少女達への言葉だ。
「話を続けようぞ」
「ああ、じゃあな」
「お願いします」
 薊と裕香が応えてだった、そうして。
 少女達はお茶と羊羹を楽しみつつだ、博士の話を聞いた。博士は智和の祖父をさらに言った。
「おそらくな」
「おそらく?」
「おそらくっていいますと」
「彼が君達と関係があるのう」
 こう言うのだった。
「わしの見立てではな」
「おい、それどういうことだよ」
 薊は博士の今の言葉に怪訝な顔になって問うた。
「一体」
「あくまでわしの憶測じゃが」
「先輩のお祖父さんとあたし達がどういう関係があるんだよ」
「そこまではわからんが」
 それでもだというのだ。
「少なくともじゃ」
「少なくとも」
「君達の力じゃが」
「気を火や水にしたりか」
「そう、潜在能力を出したりのう」
「あとこういうのだよな」
 言いついつだ、薊は自分から手に七節棍を出してみせた。そうして言うのだった。
「何で出ろって思えば出て来るんだよ」
「それもじゃ」
「錬金術かよ」
「それは魔術かのう」
 そちらではないかというのだ。
「これもわしの推測じゃがな」
「そういえば錬金術と魔術ってな」
「さっき話したのう」
「先輩からも言われたよ」
「そうじゃな、錬金術と魔術、仙術は関係がありじゃ」 
「それであたし達のこの力はか」
 薊はその七節棍を見る。力に目覚める前からも手にしているがそれでもだ。今はまた違った思いのうえで言うのだった。
「魔術か」
「おそらくその武器はな」
 それは、というのだ。
「別の空間にあってじゃ」
「そこからか」
「君達が出ろと思えばな」
 それで、というのだ。
「手に出てな」
「使えるんだな」
「そうではないかのう。しかし」
「しかし、か」
「君達は何者かは」
 そのことはというと。
「人造人間の可能性もな」
「おいおい、あたし達もかよ」
「そんな気がするのじゃ」
「いや、それはないだろ」
 薊もこう言ってだ、ここでだ。
 他の面々に顔を向けてそうだろ、と言おうとした。しかし。
 自分でだ、こう言ったのだった。
「いや、違うな」
「考えが変わったな」
「あたし達の身体にある魔術、それにな」
「それじゃな」
「力のこと、何よりもな」
 ここで薊が言うことはというと。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧