美しき異形達
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第四十五話 博士その九
「孤児だからな」
「両親がわからないということは」
黒蘭も言う。
「これは凄くね」
「気になるからな」
「それでじゃが」
博士がここでまた少女達に言った。
「君達の遺伝子、DNAじゃが」
「それのことだよな」
「念入りに調べてもらうべきかのう」
「それでか」
「わしもまさかとは思っておる」
薊達が人造人間かどうか、とだ。このことはなのだ。
いぶかしむ顔でだ、こう言うのだった。
「しかし親が皆わからぬ、しかもそこまで不思議な力が備わっていて」
「しかもだよな」
「怪人に襲われておる」
「そこもわからないんだよ」
「だからな」
それで、というのだ。
「その遺伝子のこともな」
「調べてか」
「謎を一つでも解くべきか」
「そういえば先輩とな」
「智和君ともそうした話をしたか」
「ああ、だからな」
それで、というのだ。
「やっぱりそうしてもらうか」
「それがよいのう、あとじゃ」
「あと?」
「君達と怪人のことじゃ、君達は彼と関係があるかも知れんが」
智和の祖父のことをまた話して言うのだった。
「怪人は別の人間が造っておってしかも」
「しかもかよ」
「君達の場所のことを知っていてな」
そして、というのだ。
「いつも襲い掛かって来る」
「そのことも相当に謎じゃな」
「そっちはあたし達と関係があってもか」
「また別の者がな」
その彼等が、というのだ。
「造っておるな、そう思う」
「何かな、色々聞いたけれどな」
それでもとだ、ここでまた言った薊だった。
「わからないことが増えた、いや」
「また違うわね」
菖蒲がここで薊に言って来た。
「わかってきて」
「その途中か」
「全くわからないよりある程度わかっている方がもどかしいものよ」
「今のあたし達はそんな気持ちか」
「そうなるわ」
「そうか、そういえば推理ものでもな」
小説なりドラマなりだ、薊もそうしたものを読んだりすることがあるのだ。
「そうだよな」
「ええ、解かれる途中がね」
「一番もどかしいな」
「真実に近付いているだけに」
「それがあたし達の今か」
「そうなのよ」
「そうか、それじゃあな」
薊はここであらためて言った。
「これからは真実をな」
「完全に知るね」
「そうした流れか」
「まずは遺伝子ね」
DNA、それをだというのだ。
「調べてもらいましょう」
「そっちはすぐにだよな」
「わかるわ」
それも確実に、というのだ。
「だからね」
「そこからか」
「あと怪人達のこともね」
それも、というのだ。
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