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マニトー

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2部分:第二章


第二章

「頼みたい。いいか」
「わかりました、それじゃあ」
「必ず解決しますから」
 こうしてだった。デトロイトで最も恐れられているこの二人が事件の捜査と解決にあたるのだった。そして二人が街に出るとであった。
「うわ、出た!」
「あの二人か!」
「キングコングとフランケンシュタインだ!」
「逃げろ逃げろ!」
 誰もが二人の姿を見て逃げ去っていく。まさに蜘蛛の子を散らすかの様であった。
 こうして二人の前には誰もいなくなった。後には風が吹くだけだった。
 しかし二人はだ。その誰もいない道を通ってだ。そうして言い合うのだった。
「とりあえずあの連中じゃないな」
「ああ、俺達の姿を見てそそくさと逃げるようじゃな」
「今回の事件の犯人じゃないな」
「そうだな」
 このことをお互いに確かめるのだった。
 そしてだ。まずは聞き込みだった。馴染みのバーに入る。
 そこのマスターは初老の白人のマスターだ。白いシャツに黒いベストとズボン、それに蝶ネクタイという格好だ。デトロイトはアフリカ系が多いがそれでも白人もいる。アメリカは色々な人間がいる国家だ。
 その親父がだ。二人の話を聞いてだ。こう言って首を捻るのだった。
「あの事件のことはな」
「わからないのか」
「あんたもか」
「誰が襲われたかは知ってるさ」
 カクテルを作りながらの言葉だった。
「それはさ。けれど犯人がどうかっていうと」
「それはわからないっていうのか」
「どうしてもかい」
「わかったらもうあんた達に教えてるさ」
 そうだというのである。
「とっくにさ」
「それでか」
「ああ、それでだよ」
 言いながら二人にそれぞれカクテルを出す。見ればどちらもブラッディマリーだ。それを出してそのうえでその二人に対して言うのだった。
「サービスだよ」
「馬鹿言え、そんなの受けられるか」
「全くだ」
 カウンターに座る二人はそれには憮然として返した。
 そしてだ。二人共それぞれコインを出してだ。そうしてまたマスターに告げた。
「ほら、金は払う」
「ちゃんとな」
「サービスだって言ってるんだがな」
「俺達は刑事だ。法律は守る」
「金もちゃんと払う」
 二人は真剣そのものの顔で応える。
「だからだ。これは受け取ってくれ」
「受け取らないと飲まないからな」
「相変わらず真面目だね。やってることは滅茶苦茶だってのにな」
 マスターはそんな意固地とも見える二人に少し苦笑いを浮かべて返した。
「法律は守るんだ」
「俺達は俺達のやり方で住みよい街を作ってるんだ」
「それだけだ」 
 あくまでそれだけだというのだ。
「それで悪事なんかするか」
「法律は守るからな」
 また言うのだった。
「それはちゃんとな」
「しっかりと守るからな」
 こう言ってだった。マスターが金を受け取ってからカクテルを飲む。そのカクテルは二人にとっては満足のいくものだった。それを飲んでまた言うのだった。
「で、だ」
「あんたは知らないんだな」
「ああ、悪いな」
 あらためて事件の話になる。そうしてだった。
 二人はここでだ。さらに話すのだった。
「それじゃあ手掛かりを知ってそうな奴は知ってるか?」
「そういう奴はだ」
「さてな。そう言われてもな」
 マスターは首を傾げながら言う。
「いることにはいるんだがな」
「何、いるのか」
「ちゃんといるのか」
「ああ、いることはいるんだよ」
 それはしっかりと答えが返ってきた。
 
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