東方喪戦苦
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~四十幕~秩序と混沌
八千代の目に、涙が浮かんだ。
「泣くな、何も悲しい事は無いだろ?」
八「骸ぉ····ありがとぉ···」
涙をボロボロ流しながら言う
「ありがとうって何だよ。なにもしてないじゃねぇか」
俺は少し微笑んだ。
八「骸、頑張って祐海を止めて···?」
「おう、行ってくる!」
八千代を背に、歩き出した。
部屋の奥にある階段を下ると、扉があった
「ここだな」
ドアをゆっくりと開く、重々しい空気が伝わってくる。
祐「来たね、骸」
部屋の中心で胡座をかいて冷ややかな笑みを浮かべている。
「リベンジをしに来たぜ、祐海!」
祐「その前に、僕の今の目標を教えてあげる」
「何···?」
祐「この世界を一度、“リセット”することが僕の目標さ。」
祐海の瞳は、そこが見えぬ闇。或いは全く別の空間があるかのような深い目をしていた
「どういうことだ?世界をリセット?」
祐「手遅れなんだよ。この世界、この世の中、矛盾が多すぎる。矛盾は混沌を生み、また新たな矛盾を生み出す」
「だったらぶっ壊すのか?たったその程度で?」
祐「僕だって努力したさ、でも君達を二人にしてしまった事が間違いだったんだ僕は気がついた。この世界にはいる筈の無い存在が出てきてしまった。ってね、幾斗や狂夜がその例だ
この混沌に満ちた世界に秩序を創るんだ、だがそれにはもう手遅れだ」
「狂ってやがる···」
祐海を睨み付ける
祐「狂ってる?果たしてそうかな?例えばどんな犯罪者だって人間、少なくとも罪悪感はある。なのに犯罪を犯すか分かるか?その行為を少しも悪いと思っていないからなんだ。悪いと思って行われる犯罪は無い。僕は少なくとも良心でこの行動に及んでいる」
そう言い放つと、祐海は嘲笑した。
「そんなに秩序が大事か?」
祐「分かった、極論を言おう。じゃあ君はもし、世界を一つ選べるとしたどっちを選ぶ?」
『何をしても許される混沌の世界』
『何をするのも定められた秩序の世界』
「···っ!」
言葉が詰まった。
祐「···選べないか、君もわかった通り、秩序が大事とか混沌が正義とかそんな簡単な言葉じゃ説明が出来ない。何事も突き詰めれば、突き詰める程どうでも良くなってしまうのだから」
「···だとしても混沌は必要だ。混沌が無ければ秩序も無い。まさに陰と陽の関係、リセットしてしまえばまず、矛盾を創る事からだぞ」
祐「何も無い所に、柵を立てる事は秩序では無いか?」
「そんな単純な事、今でも出来る!」
祐「もう単純には行かなくなってしまったんだ!だから言っているだろう!リセットするのだと!」
「兎に角、てめえの言い分は正しいが、そんな強制は反対だ。そっちが強行手段ならこっちはてめえを力でねじ伏せる!」
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