東方喪戦苦

アゲハ 呼吸器官の欠如の為、死亡ーーーー。
 

幾姉はアゲハをおぶったまま独り言を呟き、博麗神社へ戻っていった。
掛け替えのない存在を失った幾姉。精神的ショックは並大抵の人間では抱えきれない程の物。
感情と言う概念を持ってしまった人間の逃れられない呪縛。
もう幾姉は精神的ショックを抱える事を辞めているだろう。ショックを抱えなければ人は狂いだす
幾姉の様な独り言が良い例だろう。

「許さない···」
怒りの感情はピークに達していた。
アゲハはあそこまで惨い死に方をしたのに、涙はこれっぽっちも出なかった。
寧ろ怒りの感情すら、抱いてはいけないのかもしれない。
アゲハは、絶対的恐怖を乗り越えて戦い、そして散っていった。
アゲハでなくとも、どれ程の屈強な“人間”でも人である以上、恐怖に打ち勝つのはほぼ不可能。
それをアゲハは成し遂げたのだ。幾姉がああなってしまった以上。俺に出来ることは只一つ
アゲハがなし得なかった事を、アゲハの意志を継ぎ、行動に移す事だ!!

霊「今の··何?ここの住人?全く見たことない···」
霊夢は困惑していた。

「本当は着いてきて欲しいんですけど、幾姉の所に行ってあげて下さい」
そう言うが霊夢さんはうつむいたまま、何も言わなかった。

「今の幾姉には、霊夢さんが居ないと二度とあのままですよ!?俺は大丈夫。行って!!」
つい、言葉に怒りが籠った。
霊夢さんは走って幾姉の方に向かっていった。

「····行くか」
全員居なくなった。が、仕方ない

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分厚いオーダーの扉をゆっくりと開く。

骸?「やっと来た」
広く、薄暗い大広間の真ん中に立っていた。

「昔のリベンジと行こうか」
腕を組む。

骸?「名残惜しいけど、これで本当にあなたとはお別れ」

「それはどうかな?」

骸?「奴の存在を消しさ」ーーーー

『盾を創り出す』

あいつが言い終わる前に奴の“視界”から消えた。

「どれだけ良くできた物であっても、必ず欠陥はある。この世に存在するものであればな
故、完璧と言う言葉は要らないと思うか?そうじゃない。人間が言う完璧と言うのはその欠陥を隠すことだ!
欠陥を永久に隠し通せた物。これを人は完璧と呼ぶ」

骸?「一筋縄じゃ行かないか···」

「こっちは、二人の仲間の意志背負ってんだ。そう簡単にくたばれるか」

盾を捨てる。

骸?「貴方は消えなければならない存在。どの世界にも居てはならない忌むべき存在」
あいつは空を浮遊する。

「じゃあ何故あの時俺の存在を完全に消さなかった!そうすりゃ、お前もあんな思いせずにすんだじゃねぇか!」
手から鉄の球を作り出し、投げた。
意図も簡単に避けられ、あいつはこちらを向いた。

骸?「居ない!?」

「空を飛べるのはお前だけじゃないことを忘れたか?」
俺は地面を蹴り、アイツの頭上を浮遊していた。

「生物の死角、頭上。お前の能力は確か、視界に入っていなければ消せなかったな?」

骸?「段々と思い出してきたようね」
真上を見上げ、そう言う

『結晶を創り出す』
大きな結晶を両手の上に創り砕いた。その砕けた結晶をあいつに向け高速で飛ばした
アイツはそれを器用に避けて、こちらに近づいて来た。

「これを避けるのか···」

骸?「あなたはまだ思い出しきれていないの··」

「それはどうかな?」
近づいて来るアイツに向けて、手を伸ばす。

「あのときのようには行かないぜ···?もうここには祐海は居ねぇ」
アイツは俺に近づく速度を落とした。

『監獄を創りだす』

瞬間、アイツを鉄の檻が隔離する。

骸?「···!?まさか··」

「あの時の事も、お前の名前も····」

檻の扉を開き、アイツに顔を近づける。

「思い出したんだ。お前は····」

骸?「本当に··?」

「八千代(やちよ)····だ」





To be continud