ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~
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夜会
その数分後、サイレンと共にやってきた警察に新川恭二は逮捕された
罪状はとりあえず殺人未遂らしい
余罪はこれから増えていくそうだ
俺と詩乃、そして優衣はパトカーに同行してきた救急車にて病院へ
ただの検査。一応形式上だったらしいが、一晩病院の個室に泊まることとなった
「人間ってのはじっとしているようにできていないってのを実感した」
「私は慣れてるけど……」
「……詩乃は狙撃手……」
「そうだよね」
検査といっても全員、体は健康(心はわからない)なのですぐに終了。残った結構多い時間はベッドの上で寝てないとダメなんだが、示し合わせたように詩乃と優衣が俺の部屋に集合したので強制的に座談会になっている
「……燐はALOから……コンバートさせてた……んだよね?」
「まあ、そうだな。そうでもしなきゃ戦えないって」
初期能力値でレオンやステルベンと相対するなんて恐怖を通り越して無理である。PS(プレイヤースキル)はほぼ互角か向こうの方が上。詩乃の援護があったとしても初期能力値では勝てないかもな
「……またALOに帰って……くるの?」
「帰らないと後が怖い。主にアスナとユイが」
アスナは未だにゲーム内では俺のことを息子と見なしているらしく、色々と心配される。ユイにいたっては本物の兄のような扱い。怖いというか耐えられない。良心の呵責的な問題で
「……詩乃も来る……?」
「……私はそういうファンタジー系は……」
そう言って難色を示した詩乃の耳元で優衣が何事か呟く。結婚とか生活とかいう単語が聞こえてきたが……なにを出汁にしている……
「わかった、新しくキャラを作ってALOを始める」
落ちた
だが、勢い余ってコンバートすると言わなかっただけまだ理性が残っていたと言えるだろう
「……じゃあ種族……決めようか……」
心なしか優衣の声が弾んでいる
感情の起伏のあまりない優衣には珍しい
「とりあえず、燐と優衣の種族ってなに?」
「俺は闇妖精インプだ」
「……私は……火妖精サラマンダー……」
「……聞いてもわからなかった」
と苦笑い。名前だけなら有名な妖精の名前だし、得意な属性はわかるにしても細かい特徴はわからない
「ん~、まあそうだろうな」
「種族ごとの特性はこのサイトに纏めてありますよ」
「あれ、ユイ?」
俺の携帯からいきなり聞こえてきたのはユイの声
携帯を開くとネットに繋がっており、一つのサイトが目に入る
「ほら」
まあ、ユイがいても困ることない、というか助かるので、そのまま俺の携帯を詩乃に手渡す。だが、詩乃はこちらをじっと見たまま動かない
「今の声……なに?」
「えっと、はじめまして。私はユイと言います。これからよろしくお願いしますね、詩乃さん、優衣さん」
「あ、よろしく」
「……よろしく……」
俺の携帯のランプをペカペカ光らせながらユイが丁寧に挨拶するとつられたのか詩乃と優衣は頭を下げる
「なんでユイがいるんだ?いつもはキリトの携帯だろ?」
「にぃが他のゲームに浮気しないかどうかってママに見てきて欲しいって頼まれたんです」
「おいおい……」
そんなことで娘を使うなよな……
俺にとってもユイは可愛い妹みたいな存在なんだから
「え、にぃ?」
ユイの俺に対する二人称を聞き咎め、フリーズが解けると同時に俺につっかかってくる詩乃
顔が近い。一応ここがベッドの上であることを自覚して欲しい
事情を知っている人ならいいが、知らない人から見ればかなり危ない
「ユイ、説明を頼む」
「簡単に、でいいですか?」
「もちろん」
詳しく話すと時間をとられすぎて消灯時間+中断のコンボを食らうって
「リンも無茶をするね」
「そうしないと全滅してたんだが……」
ユイの話は出会いから始まりの街までの簡単なものだったのだが、なぜか運命の鎌との戦いだけは詳細に表現してみせた
単に弾いてただけなんだがそんなに凄いかね?
「じゃあ、私はパパのパソコンに戻りますね」
「おう、まあキリトのやつに今度会ったら覚えておけって言っといてな」
「わかりました! にぃ、おやすみなさい」
最後にコロコロと笑うとユイの声が聞こえなくなった
盛大に場を掻き乱していったがどうせ後々詩乃たちとユイは会うことになるんだ。そう思えば特に恨みも感じない
キリトは……クックック……
「それで種族は決めたのか?」
「ん~遠距離系の武器ってあるの?」
「……遠距離……魔法ぐらいしか……思いつかない……けど……」
普通の人は優衣のように遠距離系といえば魔法しか思いつかないだろう
なにせ、これはALOの話。妖精たちが舞うALOにて最もファンタジー色の強い魔法を他の武骨な遠距離系武器で代用しようなんて者は少ない。というか皆無と言ってもいい
後衛は魔法特化のダメージディーラーか回復特化のヒーラー。補助特化のバッファーはあまりいない。大体がヒーラーを兼ねている。珍しいのでデバッファーなんてものもいるが、これがセオリーだ
いきなり魔法以外の武器を使おうという発想が出るのは硝煙と鉄の世界の申し子である詩乃らしいといえば詩乃らしいのだが……少女としてどうかと思う
「なに?」
じっと見すぎたらしい。心の中の言葉を感付かれないうちに話題を反らした方が良さそうだ
女の勘って怖いから
「遠距離系武器だったな?遠距離系武器なら投剣、投槍、弓、チャクラムぐらいだと思う。まあ、すべてを網羅しているわけじゃないから他にもあるかもしれないが」
「……弓かな」
「弓か……」
確かALOにおける弓は矢に金がかかるわ、当たらないわで結構不遇だった気がする
空を素早く飛ぶシルフが使う短弓か力の強いノームの使う弩ぐらいか?魔法耐性の強いボス用でメインアームにしているやつなんてほとんどいない
「弓といっても短弓、長弓、バリスタなんてのがあるが……」
「一番射程が長いのは?」
「長弓だけど……」
威力はバリスタが一番。当たり前か
「じゃあ、ケットシーで長弓にする」
予想の斜め上をいく詩乃。優衣にも予想外だったようで普段の無表情を崩して唖然としている
「弓ってのはシルフの短弓かノームの弩がセオリーだと思うんだが……」
「私は狙撃手だからね。一番目がいい種族って書いてあるケットシーで超遠距離から狙撃をする」
そんなにそれを貫きたいんですか?詩乃さん
「弓の有効射程ってそんなに長くなかった気がするんだが……」
「……魔法の1.5倍ぐらい……」
意外とあるらしい
どの魔法を基準にしてるかは知らないけど
「なら、決定かな」
「まあ……自分でしっかり考えたなら止めはしないが……」
大丈夫か?
「楽しみ方は人それぞれでしょ?」
「……そうだな」
SAOとかは完全に遊びではなかったし、ALOやAMO、そしてGGOでは誰かさんの野望を阻止するので忙しかったから遊んでいる暇がなかったからその楽しむということを忘れていた
「じゃあ、それで決定かな」
「そうか……そろそろ解散した方が良さそうだ」
時計を見ると消灯の時間が迫っていた。さすがに男性である俺の病室に女性である優衣と詩乃をこんなに遅くまで残るのは許してくれまい
……男性でもダメだろうが
「そうだ、リン」
「ん?」
名残惜しそうに病室を出て行こうとしていた詩乃だが、入り口のあたりで振り返る
「来週の土曜日、空いてる?」
「まあ、空いてるが……」
警察の突発的な事情聴取がなければ、と注釈がつくが
約一週間ぐらいあるしその頃には終わっているだろう
「じゃ、じゃあ二人で遊園地に行きたいな」
「……わかった。待ち合わせは前と同じ駅前でいいか?」
「うん。じゃあ、おやすみ」
「また明日な」
扉が音もたてずに閉まると部屋に静寂が訪れた
ダイブも禁止されているからなにもすることがない
「寝るか……」
最近寝る時間も遅かったからちょうどいいしな
後書き
蕾姫「あー……あとはダイシーカフェの一幕で終了か……」
リン「それについてはキリトたちが根回ししていてくれるから問題ない」
蕾姫「回収の忘れた伏線とかない……よな?」
リン「強いて言うならザザのラストの言葉ぐらいか?」
蕾姫「それは無理。この作品はマザロザまでだもの」
リン「終わったらどうするんだ?」
蕾姫「ん〜、アシリゼーション編のプロットを組みつつ別主人公でプログレッシブをやる予定。ちなみにプロット無しの行き当たりばったりw」
リン「おいおい……」
蕾姫「というわけで予告をどーん!」
このゲームが始まった時、俺は記憶を失った
ここがどこかはわからない。知ってるようで知らない世界
現実なのか、あるいは仮想世界なのか
ただ、わかったのは周りの人間を含む自分がこの世界に囚われてしまったということ
知っている(記憶にはない)。わかってしまう(体が覚えている)
そして、記憶を取り戻した時……残酷な現実が目を覚ます
ソードアート・オンライン・プログレッシブ〜Defect of Memory〜
ソードアート・オンライン〜二人目の双剣使い〜では語られなかった舞台の裏の物語の幕が開ける
あなたは、記憶を思い出す覚悟がありますか?
蕾姫「まあ、約五分で書いた予告だから変わる可能性大」
リン「俺も出るのか?」
蕾姫「エキストラで出す予定。脳内設定通りで行くなら」
リン「ふーん……」
蕾姫「主人公の武器、どうしようかなぁ……」
主人公の武器候補を募集。ただし、神聖剣と二刀流以外のユニークスキルは90層を越えないと現れないという原作設定をお忘れなく
ではでは〜
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