リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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第百六話 女の嫉妬は恐ろしい
前書き
遼「リリカルアドベンチャー、始まるぜ」
子供達はダークマスターズの住み処に近づこうとした時であった。
ダスクモン[何かが来るぞ]
クロアグモン[かなりのパワーだ]
フェイト「え?」
?[アーッハッハッハー]
ダスクモンとクロアグモンの言葉にフェイトが首を傾げた。
その何かは甲高い笑い声と共に、直ぐに姿を現した。
?[ようこそいらっしゃいました。可愛い坊や達]
アリサ「なーんかヤな感じのデジモン!!」
なのは「あれ、なんてデジモン…?」
ユーノ「えっと…なのはさん?」
ティアナ「なのはさん怖い…」
魔王の如きオーラを放つなのはに怯えるユーノとティアナ。
一輝「(無視)ありゃあ、レディデビモンだな」
遼「(同じく)ナイトメアソルジャーズの一員で、多分ピエモンの部下だろ」
ブイモン[へえ、で?俺達に何の用だ?]
レディデビモン[あら?]
ブイモンを見たレディデビモンが顔を赤くする。
それを見たチビモンのこめかみに青筋が浮かぶ。
レディデビモン[疲れたでしょう?ゆっくり休んでいいのよ?永遠にね!!]
ブイモン[お?やるのか?なら俺が相手に…]
チビモン[駄目えええええええええ!!お兄ちゃんは戦っちゃ…モゴモゴ…]
ブイモン[?]
フェイト「気にしなくていいよブイモン。戦って」
ブイモン[?????ああ、ブイモンワープ進化!マグナモン!!]
マグナモンに進化し、レディデビモンと対峙する。
マグナモン[さて、俺が相手だレディデビモン]
レディデビモン[…あらあ、近くで見ると更に素敵ね]
マグナモン[は?]
レディデビモンの発言に疑問符を浮かべるマグナモン。
チビモン[お兄ちゃーーーんっ!!そんな奴殺っちゃえ殺っちゃえーーーーっ!!!!!!]
フェイト「や、殺っちゃえ!!?」
パートナーから出た物騒な発言にフェイトは目を見開いた。
チビモン[フェイト!!何黙ってるの!?早くフェイトもお兄ちゃんを応援するの!!]
フェイト「え!?あ、うん。マグナモン頑張れー!!負けちゃ駄目だからねーーー!!」
マグナモン[…………]
下からの応援にマグナモンはどう対応すればよいのか分からず、取り敢えず無視した。
マグナモン[(さてと…どうするか…確かにこいつは敵だが、何かされた訳じゃないし、流石に殴るのはな…)]
腕を組みながら、どうしたものかと思案しているとレディデビモンが笑った。
レディデビモン[何もしてこないのね?レディファースト?ならこちらから行くわよ!!]
マグナモン[ん?]
マグナモンが思考を中断すると、前方から腕を変化させ、突撃してくるレディデビモン。
マグナモン[……はああああ!!]
取り敢えず攻撃を受けてやる義理はないので気合いでレディデビモンを吹き飛ばす。
レディデビモン[!!?きゃああああ!!]
マグナモン[っ…!?しまった…]
気合いで吹き飛ばしたが、加減を間違えてしまい、このままでは岩に激突すると、マグナモンはレディデビモンを急いで抱き留めた。
レディデビモン[あ、あなた…何で?私は敵なのに…]
マグナモン[お前は俺達にまだ何もしていないしな。それに俺達は闇だからと言う理由で誰彼構わず倒す馬鹿とは違うんでな]
レディデビモン[………は]
呆然としていたレディデビモンだが、自分の体勢を思い出して赤面した。
チビモンから嫉妬のオーラが滲み出ている。
レディデビモン[あ、あの…下ろしてくれないかしら…?恥ずかしいんだけど]
マグナモン[何故だ?]
本当に分からないのだろう。
疑問符をいくつか浮かべているマグナモンにレディデビモンは顔を引き攣らせた。
レディデビモン[天然ね…これはとんでもない強敵だわ…]
マグナモン[?]
レディデビモン[私の負けよ。今回は大人しく引き下がるわ]
マグナモン[そうか]
地面に着地し、マグナモンはレディデビモンを下ろす。
それと同時にレディデビモンはマグナモンに飛び掛かる。
マグナモン[!!?]
思わず身構えたマグナモンだが、次の瞬間、目を見開く。
マグナモンの兜を退かし、レディデビモンの唇が掠めた。
賢「え?」
はやて「おお!!?」
なのは「ふえええ!!?」
ティアナ「あ、あわわわ…!!?」
ルカ「おやまあ?」
チビモン[!!?!?!!!む、むああああああ!!?お、お兄ちゃん…お兄ちゃああああああん!!!!!!!!?]
子供達がそれぞれの反応を見せ、チビモンが悲痛な叫び声を上げた。
マグナモン[お前…]
レディデビモン[光栄に思ってね?私にここまでさせたんだから]
悪戯っぽい笑みを浮かべながら人差し指で自身の唇に触れる。
チビモン[よくも…よくもおおおおおお!!]
レディデビモン[クス…またねマグナモン…]
ウインクをしながらレディデビモンはこの場を去った。
エリオ「あのレディデビモン…」
キャロ「うん。間違いなくあの人のパートナーデジモンだよね…」
チビモン[むああああああああああああああああああああああああ!!!!私はっ!!絶対絶対!!あんな奴認めないんだからああああああああああああああああああ!!!!!!]
チビモンの魂の咆哮が響き渡る。
フェイト「チ、チビモン…」
チビモン[ふえええん…お兄ちゃんが…お兄ちゃんがあんな女にいいぃぃ…!!]
ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ…!!!!
ハンカチを噛み締めながら、チビモンの足元は嫉妬の涙で水溜まりが出来たのであった。
おまけ~IFの続き~
大輔は現在、デジタルワールドにいた。
正確にはおまけがいるのだが…。
京「ちょっと大輔、先に行かないでよ!!」
大輔「何で俺についてくる?」
伊織「一人で行動するなんて危険です!!カイザーに狙われたらどうするんですか!!?」
大輔「足手まといだ。デジメンタルアップ。」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!轟く友情!ライドラモン!!]
勇気のデジメンタルを手にして間もない時、友情のデジメンタルを回収していたのだ。
タケル「友情の紋章まで…」
ライドラモン[悪いが、俺達は俺達で行動させてもらう。足を引っ張られるような奴らと一緒だとかなわないからな]
パタモン[足手まといだなんて酷いよ!!]
ライドラモン[ふん。事実だろ]
冷たく言い放ちながらこの場を離れようとした時。
『何をしている!!』
突然、どこからともなくデジモンカイザーが現れた。
だがその身体は現実味が無い程に薄い。
大輔「(立体映像か…)」
カイザーは心底不愉快そうに唇を歪めた。
『君達のような愚かな人間達が、どうして自由にこの世界に出入り出来るんだい?』
大輔「そりゃあお前と同じように俺は選ばれし子供だしな」
『そう、本当はここには、本宮大輔君のように選ばれた者しか入って来られない筈なんだよ』
京「じゃあ何であんたはここにいるのよ!!」
ライドラモン[簡単だ。デジタルワールドに来れるのはデジヴァイスを持つ者だけ…つまり…]
『そう、僕も本宮大輔君と同じ選ばれし子供だからだよ』
タケル「選ばれし子供!?」
ヒカリ「ええ…!?あなたも!?」
『とにかく、君達の存在は僕を不愉快にさせる。君達と僕と彼がまるで同じ扱いを受けているかのようだ。』
京「同じ扱いじゃいけないっての!!?」
京のその言葉に応える前に、立体映像のカイザーの姿が空気に溶けるかのように消え失せる。
「選ばれし子供というのは、僕や本宮大輔君のような特別な人間のことを言うんだ!君達のような凡人じゃない!!」
空中にいるスティングモンの肩に乗ったカイザーが現れた。
大輔「え?俺もか?」
「僕は君の実力を認めている。君の咄嗟の機転が利く判断力、そして時折大胆とも言える行動力。そして戦闘センス。…どれをとっても高水準で纏まっている。」
ライドラモン[だってさ、よかったな大輔]
大輔「ん?ああ、そうだ…な…」
「このデジタルワールドは僕の物だ!!僕が認めた者以外入って来るな!!早く出て行け!!」
京「何それ!?」
「僕のゲームを邪魔するなら、それ相当の仕打ちをせざるを得ないな…。」
大輔「やるか?カイザー」
「本宮大輔君、君のアドバイスのおかげで素晴らしい発明が出来たよ。完全体を支配出来る新しいイービルリングを君にお見せしよう!!」
大輔「ん?」
奥から数体のティラノモンが進化した完全体、マスターティラノモンが現れた。
腕にはイービルリングを螺旋状にしたようなリングが装着されていた。
大輔「螺旋状のイービルリング…イービルスパイラルってとこか」
「そう、君の言葉を参考にして作り上げた自信作だよ。」
大輔「完全体が数体か…面白いな。それにしてもあんなアドバイスで作るなんて凄いなお前」
「当然さ。僕は特別な存在なのだから」
大輔「よし、勝負と行くか!!アーマーチェンジ!!」
フレイドラモン[アーマーチェンジ!!ナックルファイア!!]
「フッ、同じ手は通用しない!!フレイドラモンというデジモンのデータは既に取らせて貰った!!」
マスターティラノモンが逞しい尻尾でフレイドラモンの火炎弾を弾いた。
大輔「おっ!!?」
「フレイドラモンに炎は通用しない!!数を活かして、直接攻撃しろ!!」
マスターティラノモンがフレイドラモンに襲い掛かる。
フレイドラモン[ふんっ!!]
攻撃を受けるのではなく受け流す。
いくら鍛えていても成熟期相当のフレイドラモンで完全体の攻撃をまともに受けるのは危険である。
フレイドラモン[オーバードライブ!!]
攻撃の瞬間に力を爆発させ、マスターティラノモンを殴り飛ばす。
しかし、他のマスターティラノモンがフレイドラモンに爪により一撃を加える。
咄嗟に防御を取り、ダメージを最小限に抑える。
「流石だね…仮初めの進化とは思えないパワーだ…」
スティングモン[…これがブイモンの強さの秘密だよ。ブイモンは様々なデジメンタルを使いこなしてどんな状況でも臨機応変に戦うことが出来る…]
大輔「アーマーチェンジ!!」
ライドラモン[サンダーボルト!!]
マスターティラノモンにオーバードライブで強化された電撃を喰らわせる。
大輔「更に行くぞ!!アーマーチェンジ!!」
ハニービーモン[ポイズンパウダー!!]
マスターティラノモン達の上を飛び回り、毒の粉を降らす。
毒粉を吸ったマスターティラノモン達は麻痺により膝をついた。
大輔「アーマーチェンジ!!」
セトモン[ヒートストーム!!]
セトモンの竜巻がマスターティラノモンを吹き飛ばし、尻餅をつかせた。
大輔「とどめ…」
セトモンをフレイドラモンにアーマーチェンジさせた瞬間。
京「今よホルスモン!!」
伊織「ディグモン、輪を壊して下さい!!」
ホルスモンとディグモンがマスターティラノモンに攻撃するが、経験が浅い二体の攻撃が効くわけもなく、一撃で返り討ちにされた。
大輔「邪魔だ!!」
伊織「でも、一人では…」
大輔「お前らがいたら全力で戦えないんだよ!!さっさと消えろ!!」
京「何よその言い方!!?」
助けようとしたのにそれを邪魔と切り捨てる大輔に京が噛み付いた。
「足手まといがいると苦労するね本宮大輔君!!」
フレイドラモン[ぐあっ!!?]
大輔が京達に気を取られていると、フレイドラモンが弾き飛ばされた。
大輔「っ…もういいから帰れ!!お前なんかいても邪魔にしかならねえんだよ!!アーマーチェンジ!!」
ゴールドブイドラモン[さっきのお返しをたっぷりしてやるぜ!!ブイブレスアロー!!]
完全体相当のゴールドブイドラモンの必殺技は一撃でマスターティラノモンを撃破した。
「あのマグナモン以外にも切り札を隠していたとはね」
ゴールドブイドラモン[こっちだ!!ついて来い!!]
大輔「こいつらのいない場所で勝負だ!!」
「いいとも。追え!!マスターティラノモン!!スティングモン、僕達も追うぞ!!」
スティングモン[分かった…]
大輔達は直ぐさまこの場を離れた。
京と伊織は大輔とカイザーに足手まとい扱いされ、テイルモンとパタモンに至っては戦う力すらない。
後に希望と光のデジメンタルを入手し、戦いの場に向かっても既に戦いは大輔とゴールドブイドラモンの勝利に終わっていたのだった。
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