戦国異伝
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第二百一話 酒と茶その七
「強くとも」
「武田や上杉程大きくはないからな」
「そして信玄殿、謙信殿と比べると」
「いささか若いか」
「伊達政宗は」
「そうしたことを考えるとな」
「北条攻めで気にすることはありませぬか」
村井はあえて信長に問うた。
「そうなりますか」
「まあな、警戒はするがな」
「強く意識して軍略に入れることはない」
そこまでは及ばないというのだ。
「伊達はな、しかしな」
「伊達政宗と伊達家は」
「欲しいのう」
また笑っての言葉だ。
「こう思うのは事実じゃ」
「左様ですか」
「まあそれは縁じゃからな」
「ここで得られることも出来ぬことも」
「縁じゃ」
全ては、というのだ。
「これから次第じゃ」
「北条と戦い、ですな」
「あの者も天下泰平の柱となるであろうがな」
「?殿」
こう聞いてだ、問うたのは羽柴だった。
「伊達殿もですか」
「ひいては伊達家もな」
「天下の柱となる家でありますか」
「そうじゃ、あの家もじゃ」
「そういえば伊達家は水色です」
羽柴は色も話に出した。
「着ている服に具足、旗に陣笠も」
「全てがじゃな」
「はい、水色にしております」
「面白いことにのう」
「どうも天下の柱になる家は」
「色があるな」
「はい」
その通りだとだ、羽柴は信長に答えた。
「当家は言うまでもなく」
「青じゃな」
「徳川殿は黄、浅井様は紺、長宗我部殿は紫」
もっと言えば毛利は緑、武田は赤、上杉は黒だ。それぞれの色があるのだ。
「そうなっていますな」
「思えば面白いことじゃ」
「不思議ではありますな」
こう言ってきたのは雪斎だった。
「このことはまた」
「不思議というか」
「はい、色はそれぞれの季節や司るもの、方角を表しています」
五行思想からの言葉だった。
「このことから考えますと」
「不思議か」
「はい、実に」
「当家も青じゃがな」
「ですな、そして黒もそうですが」
上杉のそれもというのだ。
「色は闇とは違います」
「闇とはか」
「闇は闇、光ではありませぬ」
「黒はまだ色じゃからか」
「闇ではありませぬ」
紛れもなくだ、色だというのだ。
「光の中にあるともいえます」
「五行にもあるな」
「陰陽にも入ります、しかし闇はどれにも入りませぬ」
「全くじゃな」
「はい」
まさにというのだ。
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