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戦国異伝

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第二百一話 酒と茶その六

「とても」
「だからじゃな」
「それならばです」
 信長がそう思うのなら、というのだ。
「我等もそれに乗りましょう」
「ではじゃな」
「おそらくですが」
 竹中がその目を鋭くさせて信長に言ってきた。
「伊達は動きます」
「わしが北条を攻めている間にか」
「はい、丁渡佐竹と戦をしておりますし」
「佐竹家の主は佐竹義重殿」
 生駒は佐竹家の主の名も挙げた。
「鬼義重とも言われている方です」
「相当な強さじゃな」
「はい、伊達政宗にも敗れる御仁ではないですが」
「それでもじゃな」
「今の伊達は流れに乗っております」
 生駒は強い声で信長に答えた。
「蘆名を倒し他の家を圧し」
「奥州を席巻してじゃな」
「はい、流れに乗っております故」
 それでだというのだ。
「佐竹殿とて危ういかと」
「今の佐竹家は伊達家と比して弱いな」
「左様です、ですから」
 力の差がついてきているというのだ、佐竹家と伊達家では。
「我等が関東に入り北条家に対して確かに優勢であると。義重殿が判断されれば」
「佐竹家が織田家につきじゃな」
「はい」
 そして、というのだ。
「当家は伊達家と衝突することになるでしょう」
「そういうことじゃな」
「殿、伊達政宗は鉄砲騎馬隊を使うとか」
 ここでだ、明智がこのことを話した。
「命知らずの者達を馬に乗せ」
「そして鉄砲を持たせて放たせるのじゃな」
「そうした戦をします」
「ふむ。当家も鉄砲を使うがな」
「あの家はそうした使い方をします」
 騎馬隊に鉄砲を持たせて使うというのだ。
「これまでにない新しい戦の仕方です」
「そうじゃな、その伊達と戦になれば」
「鉄砲騎馬隊に気をつけるべきかと」
「うむ、わかった」
 それで、とだ。信長は明智の言葉に対して頷いた。
「それの対し方も考えよう」
「そうして頂ければ」
「そういうことじゃな。しかしまずは北条じゃ」
 主な相手はこの家だというのだ。
「あの家じゃ」
「関東を圧するあの家を倒し」
「関東を手に入れることがですか」
「第一じゃ。それに伊達は確かに奥州を席巻しておる」
 このことは紛れもない事実だ、しかし信長は伊達政宗だけを見ているのではなかった。
「最上家がおる、伊達のもう一つの宿敵のな」
「最上義光殿ですか」
「あの御仁ですか」
「そうじゃ、それに南部家もおる」
 この家の名も出すのだった。
「伊達はまだまだ敵が多い、佐竹家だけではない」
「だからですか」
「そうそう動けぬ」
 例えだ、政宗でもだというのだ。
「だからな」
「特に気にすることはありませぬか」
「勢力としてはな」
「伊達は確か」
 ここで村井はこうも言った。
「百万石程でしたな」
「今はそれ位じゃな」
「はい、確かに大きいですが」
「我等との戦になればな」
「数で押すことも出来ますな」
 それ位の相手ならというのだ。 
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