美しき異形達
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第四十一話 夜の熱気その六
「ですが今は」
「他の神社と同じか」
「はい、静かです」
「そうなんだな、本当に静かでな」
「公園みたいだというのですね」
「こうした神社もいいよな」
薊は自然に微笑みになって言った。
「周っていて気持ちがいいよ」
「はい、それでは」
「ああ、このままな」
「少し歩いてな」
「そしてですね」
「ああ、じゃあな」
こう言ってだ、そのうえで。
薊は仲間達と一緒に大社の中を見て周った。伊勢神宮と比べると流石に狭いがそれでもだった。この住吉大社は。
それでだ、こうも言ったのだった。
「ここも広いな」
「うん、住吉大社もね」
「だからな」
それで、というのだ、向日葵に応えて言ったのだった。
「周りがいがあるな」
「ここもね」
「ああ、ここも色々あるな」
「太鼓橋が面白いでしょ」
「そうそう、あの橋な」
既に渡ったその橋の話題にもなった。
「凄い橋だよな」
「短い橋だけれどね」
「アーチになっててな」
それもかなり極端な、だ。
「よくあんな橋作れたよ」
「だからこの大社の名物の一つになってるの」
「それでなんだな」
「下のお池もね」
太鼓橋の下のそこもだというのだ。
「見ていて面白いでしょ」
「亀一杯いるな」
「亀は神社には付きものだけれどね」
鯉と並んでだ。
「この大社もなのよ」
「これはまた多いな」
「そうでしょ、縁起がいいでしょ」
「亀自体がな」
「言うなら神様の使いね」
亀達はそうだというのだ。
「見ているだけでね」
「縁起がいいか」
「そうでしょ、それじゃあね」
「ああ、ここの後は」
「また食べるけれど」
「今度はけつねうどんだったかい?」
こう向日葵に問うた、これから食べる料理について。
「大阪名物の一つの」
「そう、あれよ」
「また難波行くんだよな」
またしてもここだった、一行の大阪見物の拠点はやはりここだった。食べものの店が非常に多い場所だからだ。
「あそこに」
「そう、あそこよ」
「それじゃあまた戻って」
「難波いいわよね」
裕香が微笑んでだ、ここでこうしたことを言った。
「そこにいるだけで」
「裕香ちゃん難波好きか」
「ええ、大好きよ」
好きよりさらに上だった、裕香の難波への想いは。
「大阪って最高よね」
「何かそう聞くとな」
「私の実家のことよね」
「本当に凄い場所なんだな」
「何もないから」
文字通り、というのだ。
「コンビニも」
「そうか、そういうのもないんだな」
「だから平家のね」
「隠れ里だったからか」
「そう、人知れず暮らしている様な場所だったから」
そこまで凄かったからだというのだ。
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