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剣の世界で拳を振るう

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転生者VS転生者

あの後、俺達は敗北せず、順調に駒を進める。
残り人数は8人。既に本選に参加するプレイヤーは決まっていた。
しかし、それだとしても最後までやらなくては気がすまないのがプレイヤーと言うもの。

「さて、次はお前みたいだなフォックス」

「はい。正々堂々、よろしくお願いします」

次に当たるプログラムが表示され、そこを見れば俺とフォックスが戦うことになっていた。

「キリトは大丈夫なのか?」

俺は後ろの方で頭を抱えているキリトをみてそう言った。

「はい。後から話はあると思いますが、シノンと戦えばまともにはなるはずなんで」

「…そうか…!」

「来た」

どうやら転送が始まったらしい。
俺たちの足元から光が立ち上ぼり、フィールドへと転送させた。










フィールドは闘技場のようなドームを連想させる空間。
正に球場の如く円形に広いこのフィールドは障害物など無く、それこそ正々堂々を信条とした物であった。

「まさか、こんなフィールドがあるなんて知りませんでしたよ」

「今日始めたばかりの俺には知るよしも無かったな」

俺とフォックスはお互いに向かい合いながらそんな軽口を叩いた。

「んじゃまぁ…」

「ええ」

「「始めるか(ますか)!」」

お互いに走り出す。
制限時間があるわけではないが、それでも時間は掛けていられない。
フォックスの装備はハンドガンにコンバットナイフが一つづつ。
迷彩の服装を着用して、額にはプロテクターの着いたバンダナをしていた。

「ふっ!はっ!」

フォックスは空いた左手で俺の肩口を掴み、引き込むように倒そうとする。

「おっ………ら!」

俺は地面に両手を付いてカポエラを行う。
回転を加えた逆さ蹴りは直ぐ様後退したフォックスには当たらずに空を切った。

「本当に多彩ですね!」

「それほどでも!」

ガガンッ!

俺は腰からガンブレードを取り出して2発牽制で打ち込む。
フォックスは横に飛び退きながらローリングし、こちらへと銃口を向けた。

「そこ!」

「甘い!」

パンッ!パンッ!パンッ!

俺はアクロバティックに回避し、時に前転を、時にハンドスプリングでどんどんフォックスへと近づく。
しかしソレに気づかないフォックスではなく、立ち上がってから後ろへと下がって撃ってくる。

パパパパパパンッ!

「くっそ!」

ついには連謝で近づけないようにしてくる。
フォックスは銃口をこちらへと向けながら左手でウエストポーチをまさぐる。
そして―――

「のわっ!?」

ドォンッ!!

丁度俺の目の前に投げられたグレネードが爆発を起こした。

「てめぇ!当たったら痛いだろうが!」

「普通痛いじゃ済みませんよ!」

「怯える青少年を爆死させようとするとか血も涙もねぇな!」

「見た感じ爛々と目が光ってるよ!」

そんな会話を続けながらも攻防は続く。
お互いに一発も当たってはいないものの、俺からすれば弾丸一発でも怖いのだ。

「(くっそ!―――試してみるか!」

パンッ!
チュインッ!

「ぐふぅ!?」

「は!?」

何したかって?
撃たれた弾丸を切ったのさ。
まぁ半分になった弾丸の片割れが俺の腹に当たったんだけどな!

「やべぇ!物理的に大ピンチ!」

「チャンス到来!」

パパパパンッ!

「甘いぞフォックス!」

チュチュチュチュインっ!!

切れないのなら剃らせば良いじゃない!
俺は籠手を用いて弾丸をガードする。
耐久値が減らないように気を付けながら全発そらして見せた俺をみて、フォックスはあり得ないものを見たような顔で固まっていた。

「アタックチャンス!」

「ふげぇ!?」

一気に懐に潜り込んでアッパーをお見舞いする。
フォックスは空中を二回転しながら地面に激突する。

「ふむ、流石に一発じゃ仕留められんか」

「あったりまえだよ!何物理的に来てんだよ!ALOじゃないんだぞ!」

「おい、口調、口調」

「あ、すみませ……ってなんねぇよ!吹っ切れたよもう!
絶対敬語なんて使わないからな!」

何かこいつの裏の顔が知れた気がするな…。
とは言え…中々攻めきれない状況にあるわけだが…仕方ない。

「フォックス。賭けをしよう」

「賭け?」

「そう。俺はこれから一発だけ繰り出す。
お前が避けるか、反撃出来ればお前の勝ち。出来なければ俺の勝ちだ」

「………わかった」

乗ってきたか…。

「じゃあ……」

俺は右足を後ろに腰を落とし、右手を引いてその拳に左手を被せる。
そして右足に全力をこめて―――

「疾ッ!」

―――発進した。
蹴りあげた地面は爆発を起こしたかの様に土煙を巻き上げ、
飛び出した俺は一直線にフォックスへと向かう。

「ぐ…………ぉあ!?」

フォックスは避けることが出来なかったのか、ガードをして反撃しようとした。
しかしそうなることは叶わず、俺の拳がそのままフォックスのガードごと粉砕し、フォックスのHPゲージを無くした。

「勝った……止められたらどうしようかと思ったぞ…」

俺はWinner表示を見つめながらそう呟いたのだった。
 
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