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剣の世界で拳を振るう

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GGO予選開始

「あのー、もういいですかね?」

「ダメだな」「ダメね」

やぉやぁどうも。
あの後全力で総督府へと戻ってからの説教を行っている。
目の前では涙目で訴えてくるキリトが正座で地べたへと座っている。

「手段が無かったと言ってもその方法はないだろう」

「いや、でもナンパだと思われたら困ってたし…」

「そうね。確実にネカマだと判断してたわ」

「だ、だろ!?だから俺は…」

「今回の事でさらに殺意が沸いたわ」

「…ホント…スミマセンデシタ……」

キリト轟沈。
しかし、ランダムだったとはいえ、こんなアバターを引き当てるこいつは運が良いと言えるのか言えないのか…。

「やぁ、遅かったねシノン。
遅刻するんじゃないかと心配したよ」

「こんにちわシュピーゲル。
ちょっと予想外の用事に手間取っちゃって…」

不意に長髪でコンポジットな格好の男性プレイヤーが片手をあげて近づいてきた。

「それよりどうしたの?今回の大会には出ないって…」

「いやぁ、シノンの応援がしたくてね。ここなら映像だって見やすいし。
それより、予想外の用事って?」

「あぁ……ちょっとそこの人達と……」

「そこの人……」

シノンはジトメでキリトを。
シュピーゲルと呼ばれたプレイヤーはおどおどしながらもこちらを見る。

「どうも、キリトです」

「ケンだ」

「フォックス」

それぞれに自分の名前を言い、シュピーゲルと呼ばれたプレイヤーに目線を会わせる。

「そこの長髪には気をつけて。ソイツ男だから」

「ああ、うん………て、ええ!?男!?このアバターで!?」

「どうもそこの長髪です。男です」

あっけらかんと返すキリトにシュピーゲルは唖然とした目で見るしかなかった。

「全く…ん?」

そんなキリトに肩をすくめた俺は、会場に照らされたライトエフェクトに言葉を止める。

『大変長らくお待たせいたしました。
ただ今より、第三回バレット・オブ・バレッツ予選トーナメントを開催いたします。
エントリーされた方は、カウントダウン終了後、一回目のフィールドに自動転送されます。
幸運を、お祈りいたします』

―――おおおおおおおおおお!

アナウンスがながれ、各プレイヤー達が歓声をあげる。中には銃を乱射するものもいるようだ。
そして徐にシノンが立ち上がり、俺達を指差して言い放つ。

「決勝まで上がってくるのよ!その頭、すっ飛ばしてあげるんだから!」

「決勝に上がれるのはこの中の誰か一人なんだが、そこんところどうなんだ?」

「~///!だったらアンタ!アンタが上がってきなさい!
絶対に撃ち抜いてやるんだから!」

俺の言葉に顔を赤くしながらキリトに指を指してそう言ったシノン。
少し可愛いと思ったのは内緒にしておこう。

「お呼びと在らば、参上しない訳にはいかないな」

余裕綽々の顔で立ち上がるキリト。
どうやら先程の説教は地平線の彼方へと消えてしまったらしい。

「―――!」

そして転送が始まる。
俺達はその場から姿を消し、再び目を開いたその場所は準備するための空間のようだった。








「……ん、ここには一人だけですよってな。
対戦相手は………銃士X?中々カッコいい名前だな」

俺はシステムウインドウを開いて装備をセットする。
メイン武器は先程のショップで格安で売られていたガントレット。
そしてチュートリアルの時に受け取ったガンブレードだ。

「さて……銃士Xか。
逆読みで死銃になるわけだが、果たしてどうなのかね……」

―――5.4.3.2.1.0!start!

カウントが0になり、再び転送された。
フィールドは何処かの遺跡みたいな場所。
通路は一本道で隠れる場所などは何処にもない。

「取り合えず進むか…」

俺は右手にガンブレードを構えてゆっくりと歩き出した。
暫く進むこと数分。開けた場所に出てその瞬間に気づく。
祭壇の中央に陣取って一人のプレイヤーがこちらを狙っていた。

「チィッ!」

ダダダダダダダッ!!

一瞬でバットラインが形成され、何本ものラインが俺の体の至るところに到達している。
俺は側転の要領で回避したが、数発は足に当たる。

ダダダダダダダダダダダダダダッ!!

「どんだけ撃ってくるんだよてめぇはぁ!?」

俺のライフゲージは既にイエローに突入している。
この先数発でも貰えば確実に敗けが決まってしまう!

俺は兎に角走り回り、壁を走ったりしゃがんだりしながら何とか回避に専念する。
そして確実にやって来るのが弾切れ。
先程までほふく状態で撃ってきていた銃士Xは膝立ちになってリロードを始める。

「っしゃらぁ!」

俺は一気に走り出す。
銃士Xは俺の声に驚いたのか、マシンガンのマガジンを手から滑らせてしまった。

「こいつで―――決める!」

俺は銃士Xの前方で跳躍し、回転を加えた踵落としを脳天にめり込ませ、ガンブレードを引き抜いて前のめりになったその背中を深く切り裂いた。
地面に着地し、未だに倒れ付している銃士Xに向き直ってガンブレードを突きつける。

「チェックメイト」

ガァンッ!

銃弾は頭を撃ち抜き、相手を死亡させる。
そしてその上にはwinnerが表示された。
しかし―――

「今の………女の人、だったよな………」

明らかに女だった。
しかも結構美人。まぁアバターだから現実がどんなかは知らないが。

「まぁいいか」

ともかく一勝だ。
残り三回の予選を勝ち抜けば本線に行けるわけだから、死なないようにしなくてはならない。
……その間にキリトと当たったらどうするんだろ?
そんなことを考えながら、俺は転送されるのだった。
 
 

 
後書き
更新が遅れてすみませんでした。
これから先、暫くは更新速度が遅くなってしまいますが、ご容赦の程、お願い申し上げます。 
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