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転生とらぶる

作者:青竹
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マブラヴ
ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり
  0929話

 視界に映るのは、ものの見事に戦場跡としか言えない光景だった。
 城壁が築かれている街の外に人の死体が大量に転がっており、火攻めにされたのか、あるいは街を守っている者が攻めて来た相手を火攻めにしたのか。ともあれ、周囲には焦げ臭さが漂っている。
 それでも戦場跡と表現したように、既に戦闘は終わっているらしい。
 ……それはいいのだが……

「なぁ、やっぱり他の街に行った方がよかったんじゃないか? どう考えても、俺達を敵だと判断しているぞ」

 ムウが溜息と共に呟く。
 街の前に俺達が乗っているトラック型のエアカーが到着したのを敵の襲撃と判断したのか、城壁の上には弓を構えた兵達がいつでも矢を放てるように準備をしており、巨大な弩の方も槍にしか見えないような矢の装填を完了している。

「ちょっと遅かったな。もう少し早く到着していれば、盗賊かどこかの軍隊かは知らないが、そいつらの背後から攻撃を仕掛けて敵の敵は味方的な感じでこっちを信じさせる事も出来たんだろうけど」
「いっそ無理矢理にでも押し通るか? あの程度の城門、どうとでも出来るが」
「やめておけ。そんな状態で無理矢理入っても、こっちを味方だと信じさせるのに時間が掛かるだけだ。それにこの街を襲った奴らがまた攻めて来た時、城門がなければ守るのが難しくなる」

 まぁ、それを見越してこっちの戦力が必要なようにして受け入れさせる……という手がない訳でもないが、一時ならともかく、これからもこのイタリカという街と商売をしていく事を考えれば向こうの敵意を煽りたくはない。

「しょうがないわねぇ……なら私がちょっと行ってくるわぁ」
「お嬢ちゃんが?」
「これでも私ぃ、それなりに有名なのよぉ? テュカ、あんたも来なさぁい。ハイエルフがいると知ればぁ、向こうにしても手出しがしにくくなるわぁ」
「わ、私もですか? ……アクセル様、構わないでしょうか?」
「そうだな、これも経験か。分かった、任せる。まぁ、何かあってもすぐにムウを助けに向かわせるから、心配しないで行ってこい」
「ちょっ、俺かよ!? こういう時は、別に俺じゃなくてもいいだろ! ムラタとかアクセルがいるんだから!」

 抗議の声を上げるムウだったが、テュカに視線を向けられると言葉を濁さざるをえない。
 いや、嘘から出た誠って訳でもないだろうに、本気でムウに恋したのか?
 一体この短時間で2人の間に何があったのか気になるところだが……その辺に関しては、後でナタルにでも知らせておけばいいだろう。
 やがてテュカの視線に耐えられなくなったのか、ガリガリと頭を掻きながらムウが降参の声を上げる。

「わーったよ、何かあったら俺がお嬢ちゃんを助ける。それでいいんだろ? ったく」

 呟きながら、指に嵌まっている魔法発動体を確認するムウ。
 一応ムウにしてもエヴァとの訓練を受けているし、何よりもシャドウミラーの幹部。その戦闘能力は生身でもちょっとしたものだ。
 ムラタには及ばないが、この門世界でならそれくらいの戦力があれば十分だろう。
 それに……

「ほら、これを持っておけ」

 空間倉庫から取り出したサブマシンガンをムウへと手渡す。
 それを受け取り、笑みを浮かべるムウ。
 やっぱり魔法よりも銃の方が慣れている分、気が楽なんだろうな。魔力の消費とかもないし。
 それに、そもそも戦闘にならない可能性の方が高い。
 何しろハイエルフのテュカはともかく、ロゥリィは本人が言っているように有名らしいのだから。

「じゃぁ、行ってくるわねぇ」
「行ってきます」

 ロゥリィとテュカがそう告げてエアカーから降りると、そのまま城門の方へと近づいていく。
 一応テュカが防御用に『矢避けの加護』とかいう魔法を使っていたが、それが具体的にどの程度の効果があるのかは全く分からない。
 いや、ハイエルフっていうくらいだ、銃弾はともかく魔法名通りに矢ならどうにかなるんだろうが。

「高畑、ムウ、ムラタ。一応何があっても対応出来るように準備をしておけ。もし向こうが攻撃してくるようなら、あの2人を救助するからな」

 その言葉に頷く3人を見ながら、成り行きを見守る。
 2人はそのまま前へと進んでいき……イタリカを守っている者達からは特に何の攻撃も受けないまま、城門……の隣にある小さな門、通用門をテュカがノックする。
 ロゥリィではなくテュカがノックしたのは、単純にロゥリィが巨大なハルバートを持っていて通用門の前では動きにくいと判断したからなのだろう。
 ピリピリとした緊張が周囲に満ちる中、こっちからの行動は既に起こした。後は向こうの行動次第。
 そう思った次の瞬間……
 ガコッ!
 そんな音が周囲に響く。

「よく来てくれた!」

 そして、次の瞬間には打撲音に続くかのようにして女の声が響き渡った。
 同時に、テュカが地面へと倒れ込む音。
 それを唖然とした表情で見るエアカーに残った俺達。
 何か起きたのかといえば、至極単純だ。通用門をノックしたテュカだったが、その通用門が勢いよく開かれ、結果としてノックをしたテュカの顔面を強打。その勢いの強さによりダメージが大きくなり、ノックアウトした訳だ。
 ……ノックしてノックアウトって……いやまぁ、そんな下らない事を考えている場合じゃないか。

「っ!?」
「落ち着け」

 咄嗟に飛びだそうとしたムウの肩を掴んで止める。
 守ると言っただけに思うところがあったのだろうが、別に敵対しているような雰囲気ではない。

「こっちを歓迎するような言葉を言ってただろ。恐らく敵対するような意思はない」

 もっとも、それがこの世界では有名人――有名神?――だというロゥリィを思っての事か、あるいはハイエルフであるテュカを思っての事か、はたまたトラック型のエアカーという、この世界では異形の存在を見ての事かは判断出来ないが。
 ともあれ、敵対しないというのならこっちとしても問題はない。
 一応念の為にここを高畑……は、この手のエアカーの操縦に慣れていないし、ムラタにしても同様。となると残るのは俺かムウの2人か。

「ムウ、念の為にここで待機していてくれ。イタリカ側も妙な事はしないと思うが、こっちとしても何かあった時の為に対処法は残しておきたい」
「ん? まぁ、そりゃいいけど。……あのお嬢ちゃん、大丈夫かな?」
「まぁ、扉が頭部を直撃しただけだし、大丈夫だろ」

 ちなみにムウがテュカをお嬢ちゃんとか言っているが、ホドリューから聞いた話によると、確か150歳を優に超えている筈。
 まぁ、それを口にする事はないが。
 ともあれムウをこの場に残した俺、高畑、ムラタの3人は、エアカーから降りてイタリカの城門付近まで移動する。
 先程の声の主が何だかオロオロとしており、その部下と思しき女が濡れた布で気絶しているテュカの頭部に当てていた。
 通用門が開いたままだが……いいのか? そんな風に思いつつ、口を開く。

「さて、取りあえずお互いに敵意がないという事は判明したと思うが、事情を聞かせて貰えるか?」

 ビクリ、と。その場の責任者だと思われる女が俺の声に反応してこちらへと視線を向ける。
 何だ、気が付いていなかったのか?

「お主等は一体? 亜神のロゥリィ様に、ハイエルフ、それにあの巨大な見た事もない乗り物といい……」
「ん? ああ、そうだな。自己紹介くらいはしておくべきか。俺達はシャドウミラーの者だ。……まぁ、こう言ってもこの世界じゃ聞き覚えはないか。アルヌスの丘に拠点を構えている勢力だよ」
「なっ!」

 そう告げると、何故か女が驚愕の視線をこちらに向けてくる。
 まぁ、向こうにしてもいきなり帝国と敵対している相手がここに顔を出すとは思っていなかったんだろう。
 にしても、まるで幽霊にでも出会ったとでも言いたげな女の視線は、正直どうなんだと思う。
 ああ、そういえばこの世界に幽霊っているのか? ファンタジー世界なんだし、アンデッドとかは普通にいそうではあるけど。

「で、俺達はちょっと武器を売りに来たんだけどな。盗賊に襲われているんなら入り用じゃないか?」
「そ、それは……確かに」
「って訳で、商売をしてもいいんなら城門を開けて貰いたいんだが? あのエアカーの中にはここで売る為に持ってきた武器が結構入っているし」
「……あ、ああ」

 ……何だ? さきから随分と要領を得ない感じの返事ばかりしてるけど。
 俺達に何かあるのか? いや、あるんだろうな。ここはどうあっても帝国の一部だろうし、そこに敵対している勢力の人物だと名乗っている俺がやって来たんだから。

「ああ、そういえば今のやり取りを考えるとお前がここの責任者って認識でいいのか?」
「……うむ。今は妾がこの防衛線の指揮をとっている。ここの領主はまだ子供なのでな」

 そう告げる目の前の女だが、年齢的にはこの女だってそう上という訳ではないだろう。
 いや、見た感じ20歳前後っぽいから、シャドウミラーとして考えれば十分に一線級で働ける年齢ではあるが。
 そんな風に考えていると、女騎士や太って禿げた騎士、ゴツい身体をしている騎士が集まって来るのが見える。
 そいつらが集まってくるのを待っていたのだろう。やがて目の前の女は俺に向かって口を開く。

「よければ、そちらの名前を聞いても?」
「人に名前を聞くのなら、まず自分から名乗るのが礼儀なんじゃないか?」

 恐らく、目の前の女は帝国の貴族か何かなのだろう。妾という一人称は普通の兵士が使うようなものじゃないし。そう予想しつつも言葉を返すと、一瞬女の仲間の目つきが鋭くなる。
 だが、女は特に気にした様子もないままに口を開く。

「そうか、それは失礼をしたな。妾はピニャ・コ・ラーダ。帝国の皇女だ」

 その言葉を聞いた瞬間、自然と目つきが鋭くなる。
 ピニャ・コ・ラーダ。その名前は捕虜から聞き出した情報の中にある。
 帝都で俺が言ったように、皇帝の子供の1人であり、独自に騎士団を組織している者。
 つまりは……俺の敵。

「ひぃっ!」

 そう認識した途端、思わず殺気が溢れ出てピニャと名乗った皇女の側にいた女騎士が腰を抜かす。
 他の男2人の騎士も身動き出来ないように固まり、ピニャ本人はと言えば、こちらは完全に身動きが出来ない状態になっていた。

「ほう? なるほど。お前があの愚帝の娘か」
「……」
「どうした? 答えろ」
「……」
「俺は答えろと命じてるんだがな。それとも帝国とかいう蛮族共は人の話を聞く事も出来ないような劣等種なのか?」
「……」

 そこまで言っても何の反応も見せないピニャ。
 その反応に焦れて足を踏み出そうとした、その瞬間。

「アクセル」

 不意にそんな声が聞こえて右肩に手が乗せられる。
 そこにいたのは顔を強張らせた高畑の姿。
 いつものような余裕は一切なく、厳しい顔つきで首を横に振っている。

「どうした?」
「……落ち着くんだ、アクセル君。彼女を良く見ろ。返事をしないんじゃない、出来ないんだ」

 高畑の言葉に改めて視線を向けると、確かにピニャと名乗った皇女は白目を剥いて気絶している。更にはその股間は濡れており、足下に小さくない水たまりを作ってもいた。
 ちっ、この程度で気絶するのか。一応前もって捕虜から得た情報を考えると、こいつはそれなりに優秀って話だったんだがな。
 恐怖の余り気絶し、更に失禁までした皇女の姿を見て思わず溜息を吐く。
 この程度の相手、確かにここで殺す価値もない。
 高畑の言葉に小さく肩を竦め、発していた殺気を収める。
 そのおかげでようやく息が楽になったのだろう。ピニャと名乗っていた皇女の近くにいた騎士達全員が表情は固まったままだったが、それでも安堵の息を吐く。
 いや、それでも良かったのだろう。視線を周囲に向けると、イタリカの兵士達もかなりの数が腰を抜かして地面へと座り込んでいるのが見える。
 そう考えれば、さすがに護衛……護衛なのか? ともあれ、皇女のお付きだけあったと言うべきだろう。

「アクセル様……」

 そう呟いたのはテュカ。
 声が震えてはいるが、それでもその目に宿っているのが恐怖ではなく畏怖の類なのはハイエルフ故か。
 ロゥリィはロゥリィで、俺の放つ殺気が予想外だったのかマイペースなロゥリィにしては珍しく大きく見開いた目をこちらへと向けている。
 少しやり過ぎたかもしれないな。
 唯一ムラタのみが特に表情を変えた様子を見せていなかったが、それでも薄らと汗が滲んでいるのを見れば完全に平然としている訳ではない。
 そういう意味で、高畑はさすがと言うべきだろう。
 ともあれ、小さく溜息を吐いてから失禁したまま気絶している皇女に視線を向けたまま、護衛の騎士に口を開く。

「このままだとどうしようもないだろ。30分後に話を聞いてやる。それまでに、その女を使えるようにしておけ」 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:175
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1144 
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