転生とらぶる
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マブラヴ
ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり
0930話
皇女であるピニャが気絶してから30分後。俺の姿はフォルマル伯爵家の屋敷の中にあった。
ちなみに、このフォルマル伯爵家というのがイタリカを治めている貴族という認識でいいらしい。
ともあれ、30分の時間をどう潰すか……それこそ持ってきた武器の売買でもしてようかと思っていた俺達に、フォルマル伯爵家から自分達の屋敷で時間まで休んで欲しいという連絡があった。
で、結局その申し出を引き受けて時間まで屋敷で時間を潰していた訳だ。
ちなみに持ってきた武器に関しては、纏めてフォルマル伯爵家の方で購入して貰う事に。
向こうにしてもこのイタリカという交易都市……それこそ、盗賊にすれば喉から出る程に襲いたい程に金が仕舞い込まれている宝石箱のような場所を守るのに、武器は幾らあっても足りないという事なのだろう。
しかも持ってきた武器は連合諸王国軍の精鋭部隊が使っていた物なのだから、品質に文句が出る筈もない。
その武器を運んできたエアカーに関しては、目の前で俺が空間倉庫に収納するのを見せてやったら街を守る兵士共々言葉も出ない程に驚いていた。
そうして約束の30分が過ぎた頃……俺達がいる部屋の扉がノックされる音が響く。
「入れ」
短く命じたその声に、入って来たのは帝国の皇女のピニャに、お付きの騎士の男女3人。それと10歳過ぎくらいの少女と、メイドと執事の老人が1人ずつ。
部屋に入ってきて、最初に口を開いたのはピニャだった。
「先程は失礼した。帝国皇女のピニャ・コ・ラーダだ」
「そうか。……まぁ、いい。座れ」
俺がソファに座ったまま顔を動かしてそう告げると、メイドの老婆が微かに眉を顰めて口を開く。
「皇女殿下に対して、失礼ではありませんか?」
「そうか? 俺達シャドウミラーと帝国は現在敵対している。しかも貴様等蛮族の一方的な侵略が理由でな。そんな劣等種相手にわざわざ人間扱いしてやる必要があると思うのか?」
蛮族、劣等種と言われたピニャの顔が真っ赤に染まるが、恥ずかしさ云々というものではなく怒りによるものだろう。
皇位継承権を持っているような人物が、自分の国を公然と馬鹿にされているのだから無理もない。
だが、それでもお互いの力の差というのは理解しているのだろう。俺が帝都で行った宣戦布告の時に見せたサラマンダーの戦闘力にしろ、先程気絶して失禁する理由となった生身での戦い――とはとても言えないが――にしろ。
この辺は、なるほど。捕虜から得た情報によると能力的には一番マシな人材だと言われているだけの事はあるな。
「……その割には、この都市に商売をしに来たという話であったが?」
ピニャと少女のみがソファに座り、残りは護衛や使用人という立場だからだろう。その後ろへと立つ。
「確かに商売は商売だろうな。だが、別に俺達が商売をしにきた訳じゃなく、庇護下にあるハイエルフ達の為の商売だ」
「ハイエルフ?」
俺の言葉にピクリと反応したピニャが、テュカへと視線を向ける。
「その者の事か?」
「そうだ。炎龍に襲撃されているのを見かけてな」
『炎龍っ!?』
その一言に、部屋の中にいた帝国側の人員全員が驚愕した様子で叫ぶ。
それだけこの世界の住人にとって、炎龍というのは死の象徴、恐怖の具現化、生きている災害といったものなのだろう。
だが、俺は驚愕の視線を向けてきている連中に軽く肩を竦め、何でもないかのように頷く。
俺達シャドウミラーにとっては、炎龍という存在は全く恐怖の存在ではないと示す為に。……いや、実際ニーズヘッグを使うまでもなく殺してしまった以上は脅威どころの話ではないんだけどな。
俺としては、どちらかと言えばバジュラの方がまだ強力な相手に思える。
……攻撃力、防御力、機動性。その全てにおいてバジュラが勝っているから当然か。
「そうだ。まぁ、俺達シャドウミラーにとってはそう大した相手ではなかったから、炎龍を仕留めて、襲われていたハイエルフの集落に行ったところで庇護を求められた訳だ。まぁ、お前達蛮族でもその程度は軽く出来るんだろ? 何しろ、俺達シャドウミラーの本拠地に侵略してきたんだから」
当然その程度は問題ないだろう? そんな意味を込めて向けられる視線に、ピニャの額には幾つもの汗が滲んでいる。
「……色々と言いたい事はあるが、その前に1つ。こちらは名乗ったのだから、そちらも名乗られては如何か?」
少しでも失点を取り戻そうとして尋ねてくるピニャに、そういえばまだきちんと名乗っていなかったというのを思い出す。
「そうだな、俺の事を知らない相手というのは久しぶりだったが……まぁ、名乗っておこう。俺はアクセル・アルマー。お前達蛮族が敵対したシャドウミラーの代表だよ」
「なっ!? それはつまり……皇帝、という事か!?」
「まぁ、国のトップという意味ではそんな風に考えて貰ってもいいが、俺達シャドウミラーは別に帝国な訳ではないから皇帝ではないし、同時に王国でもないから国王でもない」
どちらかと言えば今のシャドウミラーの下地になった組織が特殊部隊たったんだから、軍事独裁政権に近い……のか? ただ、それだと微妙に人聞きが悪いのも事実なんだよな。
「そんな……国を治めている人物がそう簡単に出歩くなど……信じられん」
「そう言われてもな。この世界には俺に対して脅威と感じられる存在がないんだから、問題はない」
正確にはまだ出会っていない神の類とぶつかればどうなるかは分からないが、捕虜からの情報やロゥリィ、ホドリュー達から聞いた話によれば、この世界の神というのは人の争いに関与してくる事は基本的にないらしいし。
「ともあれ、そういう理由でハイエルフ達の生き残りを俺達が引き取ったのはいいが、さすがに何の仕事もしないというのは色々と不味いという事で、お前達帝国軍が惨敗した戦いと、連合諸王国軍がこちらも一戦だけして無様にも逃げていった奴等の残していった武器を再利用しようと思って、売りに来た訳だ。……まぁ、まさかここまでタイミング良くこの街が襲われているとは思っていなかったが」
所々にある、帝国を見下すような発言。それを聞く度にピニャとそのお付きの騎士達はピクリ、ピクリと動いているのが見えるが、それでもここで暴発するような真似はしない。
お互いの実力差もそうだが、やはりこれまで遭遇した事のない未知の勢力というのが影響しているのだろう。
どこか緊張感を保った沈黙の後、やがてピニャが口を開く。
「アクセル殿。率直にお聞きするが、貴方達は本気で我が帝国に勝てると思っているのか?」
「当然だろう」
ピニャの言葉に、間髪入れずに言葉を返す。
そこまで断言されるとは思っていなかったのか、目を見開くピニャ。
「この世界のように文明が遅れている国の中では、御山の大将という意味で帝国はある程度の力を持っていると自意識過剰にも思い込むことが出来たんだろう。いや、実際この世界ではそれだけの力を振るっていたんだから、自意識過剰とは言えないか。だが、侵略行為を仕掛けた相手が悪かったな。帝国如き三流国家が、俺達に勝てると思える方がおかしい。それこそ、天地が逆になっても有り得ないことだ。しかも、お前達が敵対している相手は俺達シャドウミラーだけではない。俺達と同盟を結んでいる他の世界の国家に対しても、敵対している」
「……そ、それは……何故、と伺っても?」
「簡単な事だ。お前達帝国が土足で踏みにじったのは、他の世界や国と交流をする為の場所だったからだ。……そうだな。分かりやすく言えば、このイタリカを盗賊が攻めればイタリカに住んでいる者だけではなく、他の街の住人も被害を受けるだろう? このイタリカが俺達シャドウミラーであり、盗賊がお前達帝国だ」
「帝国を盗賊と仰るか!」
ピニャの口から吐き出されたその声には、紛れもない怒りが籠もっていた。
だが、俺はそれを全く気にした様子も無く口を開く。
「違うのか? 人の家に勝手に上がり込んでそこにあるものを奪っていく。帝国とかいう三流の蛮族国家と盗賊は俺の中だと同じ意味を持つんだがな」
「……訂正して頂きたい」
「する必要を認められないな。……そもそも、だ。俺達が何故お前等如きに対して気を遣う必要がある?」
ジワリ、と身体から滲み出す殺気。
それを本能的に嗅ぎ取ったのか、ピニャの護衛3人が動こうとするが……
パチンッと指を鳴らしたその瞬間、俺の影から伸びた影槍がその3人の眼前へと鋭く尖った先端を突きつける。
「動くな」
「こ、これは……」
この世界の魔法では影槍というのは見た事も聞いた事もないのだろう。ただ、驚きの表情を浮かべるピニャの言葉に、殺気を消し去ってから小さく肩を竦めて口を開く。
「別に、そこまで大袈裟に驚く程のものじゃない。俺達の世界では普通に使われている魔法の1つだ」
「いや、アクセル程に操影術を使いこなす人は滅多にいないから」
高畑から聞こえてくるそんな突っ込みを聞き、思わず気が抜ける。
あるいはこれを狙ってやったのだとしたら、さすがと言うべきだろう。
再び指を鳴らして影槍を影に戻し、話を続ける。
「まぁ、その件に関しては今はいい。どのみちこの戦争を止める為の条件に関しては、既にモルトとかいう愚帝に宣戦布告の時に告げてあるしな。戦争を止めたければ、それを呑めばいい。もっとも、何らかの条件を付けるというのは認められないが」
当然その光景は通信機の類を使って帝国中に流す予定だ。もしそれが実現すれば、皇帝としての権威は完全に地に落ち、帝国というのは嘲笑の対象にしかならないだろう。
モルトとやらにしても、二度と表舞台に出てくる事が出来なくなる筈だ。
「それはっ! あのような条件、呑める筈が!」
「ま、それならそれでもいい。このまま戦争を続けるだけだ。今は多少の理由があって特に行動を起こしてないが……さて、軍事力のかなりの部分が消滅した今の帝国に、俺達とまともに戦えるだけの戦力が残っているかな? ただでさえ従属国が反乱を起こそうという気配があるというのに」
「何故……」
そこまで告げ、慌てて口を押さえるピニャ。
何故それを。そう言いたかったのだろう。
だが、今そこを突っ込んでも特に意味はないだろうと判断して、脱線していた話を元に戻す。
「それで、だ。ここを攻めて来ている盗賊に関してはどうするんだ? 恐らく……いや、間違いなく帝国が招集して、俺達にやられた連合諸王国軍の残党だろうが。その帝国の皇女様がどうするつもりなのかを、是非聞きたいところだな」
「それは……当然、このイタリカを盗賊共の好きなようにさせるつもりはない。先程同様に蹴散らしてみせる」
「その割には、随分とこの街の兵士達は疲弊していたが? ただでさえ人数がそれ程多くないんだ。その状態で盗賊達をどうにか出来ると思っているのか?」
その言葉に、悔しそうな表情を浮かべるピニャ。
だが、すぐに押し出すようにして言葉を紡ぎ出す。
「3日だ。……3日持ち堪えれば、妾の騎士団が増援として駆けつける」
「無理だろ」
希望を込めたピニャの言葉だったが、あっさりとそう断言する。
今の状態でもこの街を守っている戦力はギリギリなのだ。精神力を限界近くまで使ってようやく。にも関わらず、後3日? どう考えても無理でしかない。
可能だとすれば、それこそ盗賊が本拠地にしている場所にシャドウミラーでもない、帝国でもない勢力が攻撃を仕掛けて殲滅するとかしないといけないだろう。
……それこそ炎龍辺りが出てくるような可能性とか、あるいはロゥリィのような存在が偶然出くわすとか、ムラタのような戦闘狂が自らの力を高める為の贄とするとか、高畑みたいなお人好しが盗賊を発見して見過ごせないとか……ん? 結構可能性があるな。
ともあれ、そんな可能性があるとは理解出来ていないピニャは、俺の断言を聞き言葉に詰まる。
実際、ピニャ本人としてもこのまま3日も持ち堪えられるとは思っていないのだろう。
いっそ、盗賊を撃退した今のうちに住民が避難を……いや、これも駄目か。それこそ逃げている途中を盗賊に襲われるだけだ。
まさに打つ手なし。
いや、正確には1つだけあるのだ。現状をあっさりとひっくり返す会心の一手が。
だがそれに気が付かないのか、それとも気が付いてはいても自分の口からは言えないのか……
「では、どうしろと仰る? 現状で妾に出来る事は騎士団が到着するまで持ち堪えるという一手しかないのだ」
「あるだろう? 現状を覆せる一手が。……俺達シャドウミラーという、最強の一手が」
さて、俺達が協力する代わりに何を要求してやろうか。
そんな風に思いつつ、口元に笑みを浮かべてそう告げるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:175
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:1144
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