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美しき異形達

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第四十話 大阪の華その十五

「大阪の守り神の一つの」
「あの神様もおられるのよ」
「じゃあここ神様がおわす場所でもあるんだな」
「そうなのよ」
「成程なあ」
「あとさっき言った大阪城の太閤さんも」
 言うまでもなく豊臣秀吉のことである、ある国の話を信じるとそれこそ時空すら超えて半万年に及びユーライア大陸全土から北米に至るまで影響を及ぼした偉大な文明をそれこそぺんぺん草一つ生えないまでに破壊し尽くしそこにいた虎すら狩り尽くしたコルテスやピサロですら平伏する最強の天下人である。
「神様になってるのよ」
「神社に祀られてか」
「そう、そうしてね」
「あの人も神様になってるんだな」
「大阪では本当に神様みたいな人よ」
 今も尚である。
「だってあの人から大阪がはじまったから」
「あの人が大阪城築いてか」
「今に至るから」
 それ故にというのだ。
「だからよ」
「大阪の神様か」
「そのうちの一人よ」
「成程な、ビリケンさんか」
 薊はその神の名前を自分でも言った。
「明日にでも観に行くか」
「明日またここ来るの?」
「そうしたいけれど駄目かい?」
「いいんじゃない?ただ明日はね」
「ああ、明日は明日でか」
「大阪のあちこち回るから」
 向日葵は薊に明日の予定を話した。
「通天閣もね」
「一旦ここに来るとか」
「ちょっと時間かかるかも」
「そうなんだな」
「けれど。同じ大阪市内よ」
 鈴蘭がここでこのことをだ、向日葵に告げた。
「それに大阪市は地下鉄もあるから」
「移動が楽だから」
「そう、だから明日一旦ここに来ても」
「すぐに移ればいいわね」
「それで明日は何処に行くの?」
「ううんと、大阪城とか?」
「それじゃあ地下鉄ですぐでしょ」
 鈴蘭は大阪の地下鉄の事情を頭の中に入れていることから言った。
「そうでしょ」
「それもそうね」
「そう、だから別に明日またここに来ても」
「いいかしら」
「そうじゃない」
「そうね、じゃあ皆も」
 向日葵は鈴蘭の話を聞いたうえで他の面々に問うたが全員微笑んで頷いてきた、それが返事だった。それを見てだ。
 向日葵は薊にだ、笑顔でこう言った。
「また明日ここにね」
「悪いな、我儘言って」
「いえ、考えてみればね」
「考えてみれば?」
「明日また難波に行くし」
「あっ、そういえばそうか」
「明日は蓬莱と金龍ラーメン、それに北極だから」 
 向日葵は店の名前から言った。
「そこの豚まんと餃子、ラーメンとアイスキャンデー」
「そういったのを食うからか」
「近いしね」
 通天閣のある新世界までというのだ、それこそ歩いて行き来出来る位だ。
「また来よう」
「じゃあまたここに来るか」
「うん、ただ串カツはね」
 それはとだ、向日葵は笑って返した。
「それはね」
「もうさっき食ったからか」
「食べるかどうかはわからないわ」
「そうなんだな」
「まあとにかくね」
「明日もここだな」
「そう、明日はこの上に上がるわ」
 向日葵は自分達の上を見上げた、通天閣は高くそびえ立っていてだった。愛着を感じさせる姿をそこに見せている。 
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