剣の世界で拳を振るう
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探索と遭遇
「――――っと、ふう」
転送が終了し、世紀末な感じの街路に俺は居た。
回りは殺伐としていて、喧嘩を売ろう者なら即決で買われそうな雰囲気が出ている。
「さて、まずは総督府ってのを探すか…」
取り合えずショップは後にして先にエントリーを済ませておかなくては心許ない。
これで大会に出れませんでしたじゃあ格好がつかない。
「んー…あ、すんません!そこの人!」
「ん?何だ……て、拳士さん!?」
「へ?」
偶々俺の目の前を通ったプレイヤーに話しかける。
そのプレイヤーは俺を見るなり、俺のリアルネームを口にした。
「……あんた、優一か?」
「あ、はい。そちらは拳士さんであってますよね?」
一応俺のほうが年上になっているため、敬語を使う優一。
「あぁ。この時の俺はKenって名前だから間違えないようにな」
「あ、すみません。
俺はFoxって名前です。それで、どうしてここに?」
「いや、GGOに参加するように依頼されてな。
取り合えずエントリーしに来たんだが…」
「やっぱりそうなりましたか…。
わかりました。案内しますよ」
理解速いなキツネ君。
Foxって拳銃乱射する宇宙警察?
「そう言えばキリトさんはどうしたんですか?」
「ん?そういや見ないな。
一応この時間にログインする話だったが…」
「そうなんですか?まぁ主人公ですし、大丈夫でしょう」
「そうだな。まさかエントリー出来ませんでしたとかは無いだろう」
俺たちは気を取り直して総督府へと向かった。
「っと、これで良いかな」
総督府。大会エントリーのコンソールに必要事項を打ち込んで、俺は中央で待っていたFoxの元へと向かう。
Foxも俺に気がつき、此方へと歩いてくる。
「終わりましたか?ケンさん」
「待たせて悪かったな。
んで、次は装備なんだが…どこか知らね?」
「そうですね……うん。少し走りますが彼処にしましょう!こっちです」
そう言って歩き出すフォックス。
向かった先には……バギー?
「この世界には単車があるのか?」
「これを単車と言って良いのかは分かりませんが、バイク、車、馬などの移動手段はあります。
中でも馬が一番早いんですが、高い乗馬スキルが要求されるんで余り利用するプレイヤーは少ないです」
「ふぅん…」
馬ねぇ……個人的には車が好みだけど、この世界にはクラシックなやつしか無いんだろうな…。
「ここですねって!うわぁ…もう来てたのかぁ…」
ガンショップに着いて早々、フォックスが項垂れた。
「何だよどうした?」
「いえ、キリトはもうここにいるんですよ…」
は?キリトがいる?
何でそんなことが分かるんだ?
「彼処にある弾除けゲーム。賞金であるクレジットがゼロに変わってるんです。
原作ではキリトがプレイして三十万クレジット手に入れるんです」
「ほぅ…」
つまり今はクリアして手にいれた三万クレジットで豪遊してるって事か。
「あのゲームは難しいのか?」
「はい。このゲームには弾道予測と言って防御的システムアシストが組み込まれているんです。
このゲームは彼処のガンマンが乱射してくる弾を避けながら近づいて、ガンマンにタッチ出来ればクリアなんですけど…」
「あり得ないほどに鬼畜、と」
「そうです」
そもそも弾道予測がどういうものか知らないんだよな…。
現実なら避けられるんだけど…当たったら不味そうだし。
「そう言えば、ステフリってどうなってるんですか?」
「ん?AGI=STRだな」
「……防御は?」
「紙だな」
「ヤバイんじゃないですか!一発でも貰ったらアウトですよ!」
「とある御仁は言いました。
『当たらなければどうと言うことはない!』と」
「赤い彗星……」
まぁネタはここら辺にして。
取り合えず俺もやってみようと入り口の前に立つ。
ガンマンは「Hey chicken!comen!」とマグナムを指にかけて振り回しており、
周囲からは『おい、新しいチャレンジャーだぜ!』とか、『もう無理だろ』とかの囁きが聞こえる。
「よっし」
俺は跳ねるにタッチして500クレジットを支払った。
カウントが始まり、俺は体制を低くして構える。
――――GO!
「ふっ!」
俺は扉が開くと同時に走りだす。
直ぐ様ガンマンは俺に銃口を向けた。
ガンマンの狙いは頭、右肩、腹の三つ。
俺は左に飛び退きながら回避し、再び走り始める。
「遅い!」
俺は足に全力を込めて加速し、一気に1m手前へと接近した。
ガンマンは既に俺に銃口を向けていて、発射するのも直ぐだった。
「っとぉ!」
狙いは腹部横凪ぎ6連射。
腹部よりも体制を低くし、しゃがむように回避してガンマンの腹を触った。
「…大体は現実と変わらないか」
ガンマンはohーno!と言いながら崩れ落ち、目の前にシステムウィンドウが表示される。
と言っても俺が入れた500クレジットが帰ってきただけなんだが。
「凄いですよケンさん!」
「いやいや。あれくらいは出来なきゃ」
フォックスが称賛を贈ってくる。
正直現実の方が避けるのが難しい。予測線みたいなアシストが掛からないんだから当たるときは当たるんだし。
「何事かと思ったらやっぱりケンだったのか」
「………どっかであったか?」
俺の名前を呼ばれ、そちらへと顔を向ければ黒髪長髪の女の子が立っていた。
その後ろには驚愕の表情を浮かべたライトグリーンの髪色をした女の子もいる。
「いや、俺だよ。キリト」
「へぇ、キリト……キリトぉ!?」
「べ、別にネカマじゃないぞ!
これだって一応男性アバターなんだからな!」
「嘘つけ!その顔で男なわけあるか!」
「ちょっと待ってよ!貴女、男だったの!?」
「あ、いや、これは…」
「どう言うことか」
「「説明して貰うぞ(貰うわよ)!」」
「…はい」
俺とライトグリーンの女の子から詰め寄られ、弱々しく返事をするキリトだった。
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