mechanized infantryman ~魔を討つ機兵~
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防衛戦
勇者歴1285年11月25日
上空から強襲したドラゴンの一軍は真っ先にガーランド帝国首都ハルフォードに襲いかかった。
しかし、ドラゴンたちは簡単には首都までたどり着けない。接近するドラゴンたちに防壁に取り付けられた対空機銃が咆哮し、ほとんどを血を噴く蜂の巣に変えたからだ。
それでも全てを機銃で落とせたわけではない。一部は傷つきながら、もしくは無傷で対空砲火を掻い潜り、首都へ襲いかかる。
「首都防衛第2部隊、出撃するぞ」
そんな撃ち漏らしを殲滅し、市民に安全と安心を提供するものたちがいる。それが首都防衛部隊だ。
巨大な多重シールドと大型のガトリング砲を構え、彼らは果敢にドラゴンへ挑む。
地上に降りたドラゴンが彼らに火を吹く。それを防衛部隊のMIはシールドで防ぎながらガトリング砲の砲口を向け引き金を引く。毎秒40発という間隔で吐き出される30mm弾はあっという間にドラゴンをただの肉塊へ変えていく。
「我々が優勢だ。このまま一気に殲滅する。奴らを市街地へ行かせるな!」
第2部隊を率いるソーマが言う。約2ヵ月の戦闘の中、首都の民間人の被害が皆無なのは彼の指揮によるものも大きいと言えた。
ソーマ機を始めとした防衛部隊のMIは次々とドラゴンを撃破していく。迸る鮮血が機体を汚し、弾切れを起こす機体が出ても彼らは戦いをやめることはない。彼らの後ろには守るべき民間人が、彼らの家族がいるからだ。
「弾切れだ、撤退する」
「2番機が下がる。4番機、支援しろ」
「了解です」
撤退する2番機を守るように4番機はシールドを構えながらガトリング砲でドラゴンを牽制する。防衛戦ではよく見られる光景だ。弾切れを起こした機体を速やかに補給に回し、戦力の隙間を小さくすることが防衛戦では最も重要なことの1つと言える。
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どれほど弾を撃っただろうか、何度補給しただろうか、彼らがそんなことを考えているころに戦いは終盤になってくる。
残るドラゴンは既に10匹をきった。漸く見えた終わりに、彼らは光明を見出だす。
「あと少しだ。ラストスパートをかけるぞ」
隊員の誰かが言う。その言葉に隊長のソーマを始めとした防衛部隊の面々が奮い立つ。
そして、最後のドラゴンが地に伏す。
「終わった…か」
辺りには血塗れのMIとドラゴンだった肉塊、ガトリングの薬莢、そして無傷の市街地が見える。
「周囲に敵の反応はありません。我々の勝利です」
こうして約4時間にわたる首都防衛戦が幕を閉じた。
首都防衛部隊、彼らの存在はこの戦争の中で人々の不安を取り除く光明とも言える。彼らはそれを誇りとしていた。
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