mechanized infantryman ~魔を討つ機兵~
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鋼の巨人
勇者歴1285年11月15日、フィーリウス少佐率いるジャバウォック隊はフリーネ公国との国境付近に出現した魔物と交戦していた。
「ここで奴らを殲滅する。各機、攻撃開始だ」
フィーリウスの指示に、14機のMIが動き出す。
出現している魔物は大型のものが多く、歩兵では荷が重いものばかりだ。中には30m級のドラゴンもいる。
だが彼らは臆さない。彼らの駆る鋼の巨人は、これらを容易く屠れるほどの戦闘力を有しているからだ。
「ドラゴンは俺が叩く。お前たちは他を潰せ」
「了解した。任せたぜ、隊長」
隊員の1人がフィーリウスに返す。
フィーリウス駆るレグシード強襲型は右手にアサルトライフル、左手に重ショットガンを持ち、アサルトライフルを撃ちながらドラゴンに接近する。放たれた黄金の破線はドラゴンの強固な鱗を砕き、分厚い皮を破り、そして内臓を穿ち血を噴き出させる。
それでもこの程度ではドラゴンは倒れない。続いて左手の重ショットガンを鱗に覆われていないドラゴンの腹に向けて構え、その引き金を引く。収束して放たれた30の散弾はドラゴンの肺を砕き、呼吸を困難にさせた。
「とどめだ」
アサルトライフルと重ショットガンを腰部のハードポイントに納めながら、内臓のダメージから倒れこんだドラゴンに背中のハンガーから取り出したブーストブレードを振りかぶり、その首目掛けて振り下ろす。その瞬間にブレード峰のブースターを作動、ブレードは加速を加えた膨大な運動エネルギーを以てドラゴンの首を断ち切った。
頸動脈から吹き出した鮮血は蒼と白の装甲を紅く汚し、跳んだ生首が装甲に弾かれ放物線を描きながら大地に落ちる。
「次はどいつだ」
紅く染まった装甲を煌めかせながらレグシード強襲型は次の獲物を求めて青い噴射炎を輝かせる。
フィーリウスの目に止まったのは1つ目の巨人、いわゆるサイクロプスだ。
それはある程度の存在感を放ちながらも隊員が見向きもしていない存在だった。
フィーリウスはブーストブレードをハンガーに掛け、アサルトライフルを装備する。
フィーリウスのレグシード強襲型がアサルトライフルを巨人の頭部、その巨大な1つ目に向ける。そして引き金が引かれた。
マズルフラッシュとともに銃口から吐き出された2発の37mm弾がその異形の眼球を砕いた。
グウオォォォォオオオ
激痛に悶える巨人、それをフィーリウスは逃さない。
アサルトライフルをハードポイントにぶら下げ、再びブーストブレードを装備、ブースターで跳躍しながら振りかぶり、ブレードのブースターを噴射して右肩口から左脇腹にかけて袈裟斬りを放った。
筋肉、骨、血管、肺、胃、小腸、大腸、脾臓、巨人を構成するあらゆる器官を切り裂いた結果、機体は再び大量の返り血を浴びる。
返り血の一部はカメラにかかり、機体の視界の一部を奪った。
だがそれは問題ではなかった。なぜならこの巨人を討った時、魔物は全滅し戦闘が終了したからだ。
「部隊の被害は…ないみたいだな。よし。各機、帰投するぞ」
魔王の出現と幾多もの魔物の襲撃、それは人類に大きな被害をもたらした。だが、ガーランド帝国は極めて被害が少なかった。その背景には、前線で戦う名も無き兵士たちの姿があった。
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