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ドリトル先生と学園の動物達

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第九幕その四

「後ネーロもね」
「イカ墨のだね」
「あのスパゲティもいいね」
「あれ最初見たらびっくりするけれどね」
「あのスパゲティはね」
 先生はそのイカ墨のスパゲティについてもです、王子にお話します。今は赤い紅茶を楽しみながらそのうえで。
「インクかと思ったよ」
「インクをかけてだね」
「そうしたソースかと思ったけれど」
「それでもだね」
「これが食べてみるとね」
「美味しいね」
 笑顔で言う先生でした。
「あれはイタリア人が最初に考えたんだってね」
「そうそう、イタリアから日本に伝わってね」
「定着しているね」
「あれがね」
 実にというのです。
「日本人の面白いところだよ」
「美味しいものなら何でも受け入れる」
「それも日本人だよ」
「それで日本でもイカ墨のスパゲティが食べられるね」
「これもまたいいね」
「とてもね、この国は色々なものが食べられるよ」
 日本の中にいてです。
「スパゲティにしてもね」
「カレーもだね」
「うん、そのインドからの料理もね」
 それもまた、というのです。
「色々なものがあるよ」
「そうだね、それでスパゲティは」
「あれも色々ある、けれど」
「けれど?」
「スパゲティには、イギリスにいたらわからなかったけれど」
 日本にいてわかったことだというのです。
「スパゲティ、パスタに大蒜は欠かせないね」
「そうだね、パスタには大蒜とチーズだよ」
「そうそう、チーズもだね」
「この二つがないとね」
「何かが違うね」
 そうだとです、二人でお話します。
 そしてです、先生はこうしたことも言いました。
「大蒜とチーズの二つがあると全然違うよ。そして茹でる状態はアルデンテだよ」
「アルデンテだね」
「うん、それだよ」
 それもまた忘れてはいけないというのです。
「イギリスにいたらわからないことだよ」
「イギリスのスパゲティはね、大蒜やチーズはなおざりで」
「茹で方もね」
「それもね」
 それもまたです。
「ないんだよね」
「本当にイギリスって食べることではね」
「あまりね」
「期待出来ない国だね」
「そこは仕方ないね」
「最近よくなってきているとも聞くけれど」
「どうなのかな、その辺りは」
 どうにもという先生でした。
「少なくとも僕の知っている限りじゃね」
「そうでもないんだ」
「そう思うよ」
 こう返す先生でした。
「火の加減も調味料の種類も使い方もね」
「日本とは違うね」
「そこがどう変わっているかがね」
 それが、というのです。
「問題だけれど」
「イギリスの場合は」
「不安だね、そこが」
「先生のお国だけにそうしたことがね」
「気になるんだ」
「日本はまた違うけれど」
 この国はです。 
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