ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士
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第19話 =共鳴=
=第68層迷宮区=【称号・黒衣の断罪者】
「せぇぇい!!…スイッチ、シリカ!」
「はい!やぁぁっ!!」
新たに凛々の自由に加入したリズベットの一撃で猪が二足歩行し、棍棒をを持っているモンスターの防御を崩しその隙にダガーで止めを刺すシリカ。
ダガーは性質上クリティカルを狙いやすい。そのため猪の急所に命中しポリゴンとなって消えていく。
「…やるなぁ…」
「へっへん、私たちも頑張ったんだから」
なぜかない胸を張っているサチ。アーマー着てるから常にペッタンコなのかな、何て思っているとジト目で見られた。
ちなみに胸の大きさは「シリカ<サチ<リズ<ユカ」という大きさだ。こんなことを公表したらいい値段で売れそうだけど殺されるのは間違いない。
「それにしてもあの2人息ぴったりよね…」
武器的にも相性がいいのかユカの言うとおり二人は息が合っていた。
息が合うといってもリズがガードを崩し、シリカが止めを刺すという単純なものだったけど。
「なら俺たちもやってみますか!」
「…あれ…やるの?」
「今くらいしかないだろ、練習時間は…」
練習時間といってもここは最前線で今もマッピングの最中なのだが。
マッピングなのに何故、練習なのかというとこの層自体が巨大な山であってマッピング=補整されている道を通るが登山なのだ。
登山は疲れる、ということで経験値稼ぎになっていた。
そして俺がさっき言った『練習』というのは最近出来るようになった『共鳴術技』というものだ。
ゲーム本来では…どうだったか…1年半も触っていないので細かいことは忘れたが互いが協力してメリットを強化しあう技を使用できる…だったか…
まぁ近い要素としてSAOにも採用されているのでSAOではソードスキルとソードスキルを合体させ別のソードスキルを放つことが出来るという結構優れものだ。
「グダグダ言わない。…じゃあ行くぞ、サチ!」
「う、うん。わかった」
「「共鳴!!」」
この共鳴術技は発動条件は不明だ。その前に『共鳴』という互いを結ぶ線を発動させなければいけないことしか俺たちでもわかっていない
でも今のところ俺たちギルド全員は発動可能なんだけど…
もしかしたらギルドに関係した何かがあるのかもしれないが…
そして発動した両者を結ぶ薄白く光る線が俺の腰とサチの腰に出現する。これで準備完了…のはず。
この線のメリットは結ばれた互いの次の行動が第3者としてみているよりも早く理解することが出来、連携がより可能になる。
その分危険も大きく、相手に行動がわかるわけだからもしかしたらPKされる可能性もある。
とまぁ、俺たちはとりあえず共鳴して目の前のコケの生えたような小さなゴーレムに狙いを定める。
「せぃ!やぁ!!」
「だりゃあ!!」
サチが棍で打ち上げ俺が大剣で斬る。これだけだとスイッチと変わらないが共鳴術技の真価はここからだ。
「リクヤ、合わせて!」
「もちろん!」
「「轟覇転武踊!!」」
サチが放とうとしていた棍術のソードスキル『旋風』。この技は棍を中心に自分が回り連撃を与えるというもの。
それに俺が放とうとした『旋桜花』。
その二つが重なり新たなソードスキルとして棍と大剣が水色に光り
『旋風』、『旋桜花』の数倍の回転力で相手を吹き飛ばしながら棍、大剣で攻撃する。
共鳴のおかげで互いが使おうとしたソードスキルがわかるのでこういった高度な連携も可能になるんだと思う。
それでも一応はシステム上の技なので当てはまらない組み合わせのときはどちらも不発になるわけだが。
「チッ…やっぱり堅いな…」
でもさすがに石で出来たゴーレム。最前線でもあるからそう易々と倒せる相手でもない。
このデスゲームの基本戦闘は「ヒットアンドアウェイ」なので俺たちもそれに習い一旦引く。
たまには「ヒットアンドヒット」とかいう黒い剣士も存在するが…
「せやぁあ!!」
「そこぉ!!」
殴ってこようとする腕を大剣で弾き間髪いれずサチの棍攻撃が炸裂する。
こういった石系のモンスターは斬撃系武器よりも打撃系武器のほうが有利なのだ。
それなら共鳴相手変更すればいいんじゃないかって話なんだけどここでもう1つのデメリットが発生する。
『共鳴した互いのプレイヤーは解いたその後数分間は誰とも共鳴が出来ない』というものだ。
それもあるので簡単に解けるものでもないし、練習なのでこれもちょうどいい気がする。
「ついてこいよ、サチ!」
「わかってるって!」
「「…衝破、十文字!!」」
片手剣の基本ソードスキル『ヴォーパルストライク』によく似た技『瞬迅剣』と俺がレクチャーしサチが覚えた技『瞬迅爪』が同時発動し、
前方から後方へ十字の攻撃を与える。
テイルズというものを知っているのがSAO内で俺意外にいまだに見たことがない(ユカは俺が話していたのを知っていたようだけど)のでたまにそのゲーム内の技を教えたりしている。
棍を使うキャラクターは俺の記憶内で1人しかいないはずなので簡単なのだがシリカのようなダガー使いは結構いて意外と教えにくい。
普通の人がこれを使えれば戦い方のバリエーションが増えるから結構有利になるしってことでなかなか話せないという俺のストレスも発散している。
攻撃を当てられたゴーレムは破裂音と共にポリゴンを散らせその場から消えた。
「ボス戦だとまだまだ実用向きじゃないかな…」
「そう…だね…ちょっと厳しいかも」
まだ完璧とはいえないため死ぬ確立がぐんと上がるボス戦では使うにはちょっと度胸がいる。
それに周りの声が絶対にうるさいからな。
「ここら辺はもう十分なくらい倒したけど…今日はこれからどうするの?帰る?」
「そうだな…って…シリカたちは?」
よく見るとこの場には俺、サチそしてユカしかいない。残りのリズとシリカは?と周りを見渡していると
「あそこでモンスター狩ってるわよ」
という声と共に少し遠くでポリゴンが散る音が聞こえた。
その散った場所と思われる場所にはリズとシリカがハイタッチしながら喜んでいた。
「おーい、リズとシリカー!今日は帰るかー?」
「あ、はい!じゃあ今日はこれくらいにして帰りましょうか」
「ふぅ…それにしてもアスナたちってこんなのを毎日繰り返してたのね~…」
「多分これ以上だと思いますよ?一応トップギルドの副団長ですし」
「うへぇ…」
俺の呼びかけにメイスを肩に担いで以下にも疲れているリズとどんどん生き生きしてきている気がするシリカがこっちへやってきた。
下山中にモンスターが出る危険性もあったが転移結晶は高価なのでここから歩いて帰ることになった。
「そういえば、リクヤたちは武器大丈夫?店戻ったら見るけど」
「さっき、岩が相手みたいなものだったから少し心配だな…」
「私もお願い…棍、折れないかな…」
「大丈夫だって。棍なんて意外と丈夫さがとりえだったりするんだし」
マスターメイサーとしてのスイッチが入ったのかそこからどんどん武器の説明が始まってしまった。
それも歩きながらだったのでよかったが話が終わるころにはもう下山が出来ていた。
「…おーい、リズベットさーん」
「へっ?…ご、ご、ごめん!!…そういえばユカちゃんとシリカはどうする?」
「なら…私もお願いしていいですか?…ちょっと最近軽すぎるように感じちゃって」
俺がリズを向こうの世界戻そうと呼ぶと自分でも熱が入って話していたのを思い出し赤くなりながらもユカとシリカにも聞く。
するとピナが肩で寝てるシリカは自身の武器をカスタムしてほしいと言った。
「私も新しい投剣作ってもらわないと…そろそろストックなくなっちゃうし…リズお願い」
投剣は文字通り投げるためにあるので軽いが量が多ければさすがに重く感じてしまう。
それなのでユカはいつも必要最低限しか持って行っていない。
投剣はただ遠距離のためだけではなく、当てた標的を『麻痺』、『毒』にさせたり逆に『回復』させたりと無駄に便利なので
あるだけで便利なのだが当てる方向を間違えるとモンスターを回復させてしまったりとリスクもある。
そういった効果をつけれるのもマスターメイサーだけなのでリズがギルドに入ってからはリズしか扱っていない。
まぁそれは俺たち全員一緒なのだが…
「おーい、リクヤー!」
街に入ったところで全身黒いやつが俺の名前を呼びながら近づいてくる。
「…そ、そういえばギルドホーム本格的にどうする?」
「…(リクヤ…キリト、話しかけてきてるよ?)」
サチが小声でそんなことを言ってくるがそれは百も承知です。だけどまた面倒なことに借り出されそうで嫌なんだよ
目でリズやシリカ、ユカに話を合わせろと合図するとかすかな動きだがうなずいた。
3人とも申し訳なさそうだけど。
「…あ、あたしの店でいいんじゃない?」
「で、でもそれだと武具屋としての営業が怠るんじゃないかしら…?」
「わ、私もそう思います…」
「だ、だよなぁ…やっぱり家買っ「無視するな!!!」…チッ」
「いま舌打ちしたよな!?何なんだよ!」
無駄に耳のいい奴め…絶対に重労働させられるから嫌なんだよ、キリトから頼まれることは。
俺の茶番に付き合ってくれた3人はキリトに謝ってるけど…
「で、今日はどういった面倒事なんだ?」
「面倒事って…まぁいいや。お前ってこの層の近道が通じる方法知ってるか?」
「…近道なんてあるんですか?」
層のダンジョンでの近道なんて聞いたことがないのでシリカが質問するがこの層限定で噂になっているらしい。
噂が出てきた理由もちゃんとあるらしい。
どこかのギルドが俺達が今さっき行っていた山に巨大な岩があったのだがその先を索敵スキルのあげているものが見ると通路が見えたらしい。それもとても長い。
なので…ということらしいが…
「なんかヒントとかないわけ?それじゃあ私たちもわからないわよ…」
「そうは言ってもな…」
ユカが少々呆れているとキリトが何かを思い出したように手を打ち合わせた。
「確か『人の真似事をする花の種、3色に光る苔にて苗をあしらう。その苗は風唄う地に置くこと』っていうのが示されたものをクラインたちが見つけたらしい」
全員がそんな話聞いたことがない、それはどこを示しているのか、と反論している中俺は1つ心当たりがあった。
「…エコー・フラワー、トワイライト・モス、そしてメスカル山脈…か…」
「何言ってるんだ?」
さて、どうやってごまかそう…正直なことをいえばおそらく信じてはもらえない。
なぜならそれは茅場がそのゲームを1度プレイしたことがあるって結論になってなおさら信じてもらえない。
…NPCが言ってたってことにするか…
「NPCでの情報だけど最初の『人の真似事をする花の種』は【エコー・フラワー】って名前の花の種だと思う。
そして『3色に光る苔』は【トワイライト・モス】ってやつだ」
ユカたち女性組みとキリトは何故?と聞きたがっている。
「じ、実際はどうか知らないけど【エコー・フラワー】は本当に真似をするらしいんだ。
【トワイライト・モス】も同じなんだと思う」
「なるほどな…それで、その2つはどこにあるんだ?」
知るか!って怒鳴りたくなったけどそうするとNPCの情報っていったのが矛盾してしまう。
確か…原作では【エコー・フラワー】がモスコビー砂漠…ってことは砂漠系の層にあるはずなんだよな…
そして【トワイライト・モス】はサンゴの森…サンゴいっぱいの層なんて見たことないぞ?
一応砂漠系の層は40層だった気がするので俺はそれをキリトに伝える。
「ならもう1つは?」
「もう1つは知らない…」
「でもNPCに聞いたって言ったじゃないか」
「それはそうなんだけど…」
サンゴ系の層は知らないので諦めて知らないことを伝えると案の定キリトに迫られた。
こんな情報隠したってどうしようもないけど…今後、全部こういったゲームのイベントが関係していると錯覚しても困るしな…
そんな葛藤をしているとそれを打ち破るものがいた。
「…もしかしてその情報って奴…アンタがよくやってたゲーム?」
…俺のごまかしとか葛藤とかすべてぶち壊していきましたよ、この幼馴染。
はら、どういうことだ?ってキリトが顔で説明もとめてるじゃないか…面倒なことになったぞ?
「確かリクヤのよく使ってるソードスキルもそのゲームからなんだっけ…たしかテイ…テイ「テイルズですよ…」そうそれ!」
だから何でこいつは男友達としか話してないことを知ってるの?
「たく…俺の苦労台無しじゃねえかよ…キリト、今から話すことは誰にも言わないでもらえると助かるんだけど」
「あ、あぁ。判った。」
「さっき『人の真似事をする花の種、3色に光る苔にて苗をあしらう。その苗は風唄う地に置くこと』って言ったよな?
あれは現実で俺のやってたゲームに出てきたあるイベントのキーワードとまったく一緒なんだ。」
ほら、そんな馬鹿な見たいな顔してる…だから説明するの嫌なんだよ…
でも言わないとオンラインゲームであるから現実以上に疑われてしまう。顔はわかっていてもどういう人物なのかは知らないし。
もしかしたら茅場本人なのかもしれない、という疑念は避けたい。というか疑われたくない。
「だから今回はこうやって推測できたってわけ」
「ならこれからもそのテイルズ…だっけか?そのイベントと同じことがあるかもしれないんだな」
「可能性はあるけど、今回はおまけイベントみたいなものだから本質的なものには影響しない程度だと思うし
このSAOを作ったのなら簡単に話を変えれることも出来るだろ」
「なるほどな…」
一応釘はさせたので一安心だ。最近はどうだか知らないが人と関わるのが苦手そうなのでこれが漏れる心配もないはず…
「そういえば…ソードスキルとお前の使ってるのって別物だよな?」
「あぁ…そうだけど?」
「なんでソードスキル使わないんだ?威力が強いとかならわかるけどあれは違いすぎて目立つだろ」
…痛いところつかれたな…
これに関しては本当におれは知らないしどうやって説明したらいいのだろう…
後書き
リ「俺のソードスキル使えない理由…考えてるのか?」
涙「か、考えてるよ」
リ「嘘だな」
涙「間抜けな理由ってことくらいだけだけど」
リ「やめぃ!!」
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