リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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第八十三話 再会そして制裁
前書き
ゲンナイさんと再会。
ギルモン[リリカルアドベンチャー、始まっぞ!!]←釘バット片手
ヴァンデモンとの戦いを終えた大輔達は現在、ヴァンデモンの居場所を探していた。
その前にまずはこの三人と二人のパートナーのことを聞かねば。
大輔「んで?お前達は誰だ?」
エリオ「えっと…(流石に本宮は駄目だよね…)エリオ・モンディアルです」
キャロ「キャロ・ル・ルシエです。こっちはパートナーのエア」
エア[よろしくな]
ルーテシア「ルーテシア・アルピーノです。こっちがパートナーのグランス」
グランス[よろしくお願いします]
ブイモン[あ、ああ…こちらこそ…]
思わず丁寧に返事をしてしまうブイモン。
大輔がエリオ達に質問しようとした時、大きな投影機のようなレンズが顔を出す。
そこから出たのはゲンナイだった。
ゲンナイ『子供達よ』
全員【消えろ】
タイミング悪く現れたゲンナイに全員が言い放つ。
少しショックを受けたゲンナイだが堪えて口を開く。
ゲンナイ『えー…良いしらせと悪いしらせとあって、どっちから聞きたいかな?』
賢「どうせがっかりするのがオチだろうからいい話からどうぞ」
ルーテシア「(あれ?師匠ってこんなに口が悪かったっけ?)」
気持ちは分からなくはないがと心の中で付け足す。
どうやらエリオ達の代になってもゲンナイの適当さは変わらないらしい。
ゲンナイ『では、良い話からしよう。実はな、お主達の仲間が見つかったんじゃ。』
大輔「選ばれし子供だろ?ミッドチルダにいる3人の選ばれし子供」
ゲンナイ『あ、知っておったのか』
アリサ「とっくに知ってるわよ。まさかそれが良い話じゃないでしょうね?」
選ばれし子供とそのパートナー全員が揃わないとこの世界の歪みを正すことは出来ない。
それはつまり、現実世界の歪みも正せないという事。
ゲンナイ『そうじゃ、では悪い話じゃ。ヴァンデモンは先手を打ってミッドチルダへ行き、その子供達を倒そうとしておるんじゃ。』
大輔「何?」
賢「ミッドチルダに攻め込む気か…時空管理局が黙っているとは考えられないが…」
ゲンナイ『事は一刻を争う。ヴァンデモンの城へ行き、奴を止めるのじゃ』
大輔「ああ!!」
大輔達はゲンナイの案内に従い、ヴァンデモンの城へ向かう。
大輔「あれがヴァンデモンの城か…」
賢「随分と警備が手薄だな」
ゲンナイ『いいか、わしの通信は城内まで届かんからお主達が頼りじゃ!!』
大輔「任せとけ」
ゲンナイ『ヴァンデモンの計画を阻止し、ミッドチルダにいる仲間を守るのだ』
大輔「ああ!!言われるまでもねえ!!」
大輔達は警備に気をつけつつ、中に入っていく。
ヴァンデモン[イビルモン。兵達の準備はどうだ?]
イビルモン[えっと…大丈夫です。多分]
?[ふん。笑わせるな]
イビルモン[ストラビモン!!]
向こうから狼のような半獣人のデジモンが現れた。
ストラビモン[あんな何の役にも立たないような奴ばかり集めて、2軍でも作る気か?]
イビルモン[この…言わせておけば…!!]
ストラビモン[ほう?やるか?]
ストラビモンが爪を光らせる。
ヴァンデモン[止せ、それよりストラビモン、使える奴らを探せたか?]
ストラビモン[はい。命令通り、各地を回り、自他共に認める完全体の猛者共を連れて来ました。]
ヴァンデモン[楽しみにしているぞ…フフフ…]
城に侵入した子供達は城内の異様さに、皆戸惑いを隠すことが出来なかった。
空間がねじ曲がり、重力がばらばらの方向に働いている。
どちらが上か下かも定かではない。
まるで騙し絵が立体化したかのようだった。
ヴァンデモンの力が、より一層強く働いているせいかもしれない。
ゲートが存在する場所に向かうヴァンデモンの兵隊を見かけたので、こっそりとその後を尾けることにした。
階段を上ったり下りたりした末に辿り着いたのは、城の中でも一際薄暗い地下の部屋だった。
暗くてよく見えないがかなり広く、壁際に置かれてある竜の石像が睨みをきかせている。
ゲートは今まさに開きかけている所であった。
ギリギリ間に合わなかったか。
集まったヴァンデモンの手下が、次々とゲートの向こうに消えていく。
ゲートを開いたヴァンデモンもまた、移動手段である馬車に乗り込もうとしている。
せめて奴だけは食い止める。
子供達は階段を駆け下りた。
大輔「待て、そうはさせないぞ!!」
大輔の声にヴァンデモンは振り向き、やれやれと言わんばかりにつぶやいた。
ヴァンデモン[ようやく来たか。だが遅すぎたな、この歴史的瞬間をよく見ておけ!!]
大輔「ふざけるな!!」
ヴァンデモン[生憎、今の私にはお前達の相手をしている暇はない。イビルモン!!」
イビルモン[はい!!]
名を呼ばれたイビルモンが、途端にかしこまって頭を垂れる。
ヴァンデモン[構ってやれ]
ヴァンデモンは冷酷に言い放った。
イビルモン[畏まりました!!]
ヴァンデモンに飛びかかろうとした子供達の前に、仲間を連れたイビルモンが立ちはだかった。
子供達はたたらを踏み、彼らを睨み付ける。
そうこうする内、ヴァンデモンを乗せた馬車はゲートの中へ発進してしまった。
賢「懲りずにまたやる気か!?」
イビルモン[先生、お願いします!!]
?[おうよっ!!]
イビルモンに請われてヌメモンやベジーモンの群れの中から1歩踏み出したのは、ヒゲを生やしサングラスを掛けたどこかのオヤジのようなデジモンだった。
ワームモン[ナニモン?]
ナニモン[ここから先は、通さんぞ!!]
ナニモンはぐっと足を踏ん張り、叫ぶ。
大輔「邪魔するな!!」
ナニモン[野郎共、かかれーっ!!]
【おう!!】
ブイモン[ブイモン進化!エクスブイモン!!]
ワームモン[ワームモン進化!スティングモン!!]
フレイモン[フレイモン進化!アグニモン!!]
ツカイモン[ツカイモン進化!ウィザーモン!!]
4体が成熟期へと進化するとヌメモン達は明らかに怯みを見せた。
彼らは元々報酬の食事に釣られてきただけの、ヴァンデモンに義理があるわけでもない奴らである。
たちまち蜘蛛の子を散らすように逃げ出してしまった。
ナニモン[お、おい、お前達!!敵前逃亡は重罪だぞーっ!!]
ナニモンが怒声を飛ばしても、彼らは戻っては来なかった。
入隊試験と称して散々扱かれ、おまけに食事も与えられなかったのだから当たり前と言えば当たり前だ。
1人ぽつんと残されたナニモンは、無言で見下ろしてくるエクスブイモン達を見上げ、2秒後、情けないことに白旗を振った。
ナニモン[降参、降参しますっ!!]
イビルモン[先生、それはない!!]
イビルモンが悲鳴を上げるが、ナニモンは彼を振り返って熱く語り始めた。
ナニモン[黙れ!!戦場ではな、タフでなければ生きていけない!!だがタフなだけでも生きていけない!!逃げるが勝ちとも言うだろうが、なぁ!?]
大輔「とっとと消えろ!!」
長い主張を大輔に切り捨てられたナニモン。
ナニモン[お邪魔しましたーっ!!!!]
言葉と己の排泄物をイビルモンの頭上に残し、ヌメモン達を追って逃げて行ったのだった。
ルカ「で?どうする気ですか?」
こうして、残されたのはイビルモン1匹だけとなった。
頭上にナニモンのアレを載せたまま、イビルモンはピョンピョンと飛び跳ねる。
イビルモン[ず、ずるいぞ!1対4じゃないか!!]
アリシア「ねえ、こんな奴、早くやっつけて先に進もうよ!!」
イビルモン[お、お前ごときに言われるなんて……ちくしょう、もうこうなりゃ自棄だ!!ナイトメアショック!!]
ウィザーモン[サンダークラウド!!]
イビルモンが鼬の最後っ屁として放った電波もあっさりと弾かれてしまった。
イビルモン[うそーん!!]
ストラビモン[…全く、見てられんな]
イビルモンの後ろからストラビモンが現れた。
アグニモン[…っ!?]
ストラビモンの姿を見たアグニモンは驚愕の表情を浮かべた。
ストラビモン[本当の攻撃を教えてやる!!リヒト・バイン!!]
光のエネルギーを篭めた蹴りでエクスブイモン、スティングモン、ウィザーモンを蹴り飛ばす。
アリサ「え!?」
すずか「は、速い!?」
成長期とは思えないスピードにアリサとすずかは目を見開いた。
アグニモン[気をつけろ!!こいつは成長期だが、そこらの成熟期より強い!!]
アグニモンが拳を振るうがストラビモンは軽やかにかわす。
大輔達の使命はストラビモンを倒すことではない。
ヴァンデモンを食い止め、仲間を守ることである。
大輔「今のうちだ!!」
ゲートへ駆け出した子供達に気付いたストラビモン。
ストラビモン[そうはさせん!!]
ストラビモンが石像に触れる。
異変が起きたのはその直後だった。
壁際に置かれていた竜の石像が実体化したのである。
本物のデビドラモンと化した元石像は、子供達の行く手を阻んだ。
アグニモン[チッ!!ルカ!!]
アグニモンがルカに駆け寄る。
ルカ「ユニゾンエボリューション!!」
アグニモン[アグニモン超進化!ヴリトラモン!!]
アグニモンはヴリトラモンに超進化するとルードリー・タルパナをデビドラモンに向ける。
ヴリトラモン[コロナブラスター!!]
太陽熱線並のレーザーを受け、デビドラモンは灰燼と化した。
ストラビモン[チッ!!]
ヴリトラモン[ストラビモン!!どうしてお前はこんなことを!!お前はこんなことをする奴じゃなかったはずだ!!]
ストラビモン[何?]
ストラビモンがヴリトラモンの言葉に目を見開いた。
一体こいつは何を知っている…?
ストラビモンは子供達がゲートに近づいたのに気づき、手を輝かせ、デビドラモンを実体化させる。
ストラビモンはゲートに入る。
イビルモンも慌てて入り、子供達が辿り着く前にゲートは無情にも閉じてしまった。
フェイト「そんな……」
なのは「もう少しだったのに!!」
固く閉ざされた扉を、子供達は呆然と見つめた。
希望への道は、ミッドチルダへの道は完全に闇に包まれたのだった。
ヴァンデモンを止められなかった大輔達は意気消沈しながら外に出た。
ルカ「惜しかったですね…」
ユーノ「惜しかったじゃ済まないよ…このままじゃあ…仲間を見殺しだ」
アリサ「それだけじゃないわ。あれだけのデジモンが暴れたら大騒ぎよ!!」
大輔「どうにか、ミッドチルダに行く方法は無いのか…」
キャロ「(ティアナさん…スバルさん…ギンガさん…)」
命を狙われている今は自分達より年下の先輩達を案じるキャロ。
?『お困りのようだね』
全員【!?】
突如聞こえた声に全員が周りを見渡し、警戒すると、何もない空間から画面が現れた。
ルーテシア「(ドクター…?)」
ブイモン[スカエリッティ…]
フェイト「スカエリッティ!?」
賢「フェイト?どうしたんだい?」
フェイト「ジェイル・スカリエッティ…Dr.ジェイル・スカリエッティ。ロストロギア関連事件を始めとして、数え切れないぐらいの罪状で、超広域指名手配されている、一級捜索指定の次元犯罪者だよ」
スカエリッティ『ほう?君はあのプロジェクトの…しかも死んだはずのオリジナルが生きているとはね…』
スカエリッティが興味深そうにアリシアを見る。
アリシア「あ、この人…お母さんと一緒にお仕事してた人だ」
大輔「そんなことより一体、どうやってここにモニターを…?」
スカエリッティ『確かに少々手間取ったがね…彼らが君の仲間という訳か…』
スカエリッティは賢達とワームモン達を見遣る。
大輔「何の用だよドクター?」
スカエリッティ『話は大体聞かせてもらったよ。君達をデジタルワールドからミッドチルダに転送することが出来る』
全員【!?】
スカエリッティの言葉に全員が目を見開いた。
ルカ「それは本当なのですか…?」
スカエリッティ『君は新世代の…うむ、本当だ』
ルカを見ると少し間をおいて頷いた。
フェイト「何を企んでるの…?」
フェイトが不審そうにスカエリッティを見つめる。
スカエリッティ『そうあまり警戒しないでくれ、私は君達の協力者なのだからね』
フェイト「協力者…?」
スカエリッティ『ああ、彼からは素晴らしい報酬を頂いたからね。その礼という訳だ。』
大輔「フェイト、お前の気持ちは分かる。でも…」
フェイト「分かってるよ…スカエリッティ。あなたのことは一応信用します。だけどもし、少しでも怪しい動きをしたら…」
スカエリッティ『肝に銘じておくよ』
大輔「ドクター。転送は…こっちでの明日にしてくれ、今は皆を休ませないと。後、なのは達を元の世界に」
スカエリッティ『ふむ。分かった。では明日、連絡する』
画面が消えたのを見届けると次は投影機が現れた。
なのは「ゲンナイさん。」
ゲンナイ『どうやら間に合わなかったみたいじゃな』
すずか「…はい」
大輔「だけどミッドチルダに行く手段は手に入れた!!明日からでも充分間に合う!!」
ゲンナイ『そうか……今すぐわしの家に来てくれ。お主達に渡したい物がある。』
アリシア「渡したい物?」
ゲンナイ『“自由の紋章”と“正義の紋章”じゃ』
アリサ「何ですって!?」
行方不明の紋章をゲンナイが持っていたことにアリサは目を見開く。
大輔「あんたの家は何処にある?」
大輔が聞いた途端ゲンナイは消えた。
大輔「な!?」
ルカ「消えましたね…」
ゲンナイ『光が見えんかの?』
ゲンナイの言葉に周りを見渡すと、空に向かって伸びる一筋の光の柱。
大輔「あそこに…」
ゲンナイ『あそこにわしの家がある』
賢「成る程…」
ワームモン[嘘だったら怒るからね!!]
子供達は新たな一歩を踏み出す。
光の柱を頼りに足を進める。
森を抜け、光の差す方向にたどり着くと、光は湖の中から放たれていた。
大輔「これは…」
エリオ「皆さん、少し下がった方が…」
言い終える前に光の柱の方から湖が真っ二つに割れていく。
すずか「階、段…?」
アリサ「下りろってことよね?」
賢「うん」
大輔「下りよう」
子供達は階段を下りていく。
歩いているすぐ横を魚が泳ぐ奇妙な感覚。
賢「ゲンナイさん。勝手に入りますよ」
玄関先で立っているのもあれなので、中に入る子供達。
そして襖を開くとゲンナイがいた。
ゲンナイ「よく来たのう。選ばれし子供達」
大輔「よく来たのうじゃねえ。紋章は?」
ゲンナイ「まあ、待ちなさい。まずは他の子供達に、わしが何者なのかについて、話さなければならん。この世界はお主らが知っての通り、コンピュータ・ネットワークの中にある情報、つまりデータを基に作成された世界じゃ。ここは、ネットの情報やデータが物体として実体化した世界、故にデジタルワールドと呼ばれておる。その中でも、実体化したデータの内、生き物であるものの総称をデジタルモンスターというから、この世界のことをデジモンワールドと称する者達もおる。そして、この世界の安定を司っておるのが、ホメオスタシスという監視を行っておるセキュリティシステムの一端。彼の人は実体を持っておらんのでな、媒体か、手足となる存在が必要となる。その手足となってセキュリティシステムの代行を任されているのが、エージェントと呼ばれるわしのような存在なんじゃ」
全員【ふーん】
信じられないと大輔達の目が語っていた。
ゲンナイ「と、とにかくじゃ。尤も、今となってはわし以外のエージェントはおらん。皆、紋章とデジタマをわしに託し、後は頼んだ、と言ったきり。わしはメカノリモンに乗って、ファイル島に向かわざるをえなかったんじゃ。」
ルカ「そうだったんですか…」
ゲンナイ「D-3のこの機能はもっと早く取り付けてやるべきじゃったんだが…」
ゲンナイがD-3を弄ると新たな機能、“デジモンアナライザー”が追加された。
ゲンナイ「今日はここでゆっくり休むが良い。ここなら敵も襲ってこんからの」
全員【ありがとうございます】
子供達は明日のために今日は1泊させてもらうことにした。
戦いの舞台はデジタルワールドからミッドチルダに…。
のはずだったのだが。
大輔「さて、ゲンナイさん」
ゲンナイ「な、何じゃ?」
どす黒い笑みを浮かべながらゲンナイを見据える大輔。
周りを見るとフェイト達もどす黒い笑みを浮かべながらゲンナイとの距離を詰めていく。
賢「今まで散々振り回されて来ましたからねえ…」
はやて「一発殴っても罰は当たらんやろ?」
ブイモン[さあ、お前の罪を数えろゲンナイ!!]
ゲンナイ「罪って何じゃ!!?わしは何もしとらん!!」
全員【何もしてないのが問題なんだよ!!】
デジモン達【超進化ーーーーーっ!!!!!!!!】
その後、ゲンナイは今までの恨みを晴らすかの如く大輔達に超進化ラッシュされボコボコにされるのであった。
おまけ
ゲンナイをズタボロにした後、賢がパソコンを弄り始めた。
賢「皆、これを見てくれ。」
全員【?】
パソコンの画面に映るのは何かのプログラム。
はやて「賢兄?何やのこれ?」
賢「僕はデジピースと呼んでいるデジモン強化のアイテムだ。例えばこのデジピースのヒールをブイモンにインストールすればブイモンが回復技を使えるようになる。他にも能力を強化したりね」
ルカ「凄いですね。こんな短時間で…」
エリオ「デジピースはこの時に作られたんだ…」
アリサ「え?」
エリオ「あ、いえ…何でもありません…」
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