リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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第八十四話 それぞれの行動
前書き
大輔達が行動を開始する。
ガブモンX[リリカルアドベンチャー、始まります]
子供達はゲンナイ邸から出る。
食事を頂き、安心して眠れたためか、ようやく幼年期に退化したデジモン達も成長期に戻れた。
大輔「それじゃあゲンナイさん。行ってくるよ。」
ゲンナイ「うむ。これを必ず、仲間の選ばれし子供に渡すんじゃぞ」
ゲンナイはルカに紋章を渡す。
大輔「何でルカなんだよ…」
ゲンナイ「この中で1番、信用出来そうじゃからのう」
全員【おい】
ゲンナイの発言にルカを除いた全員がこめかみに青筋を浮かべた。
ゲンナイ「では、頑張るのじゃぞ、選ばれし子供達よ」
大輔「はいはい…」
子供達はゲンナイ邸を出ると、スカエリッティを映した画面が現れた。
スカエリッティ『用意はいいかね?』
大輔「ああ、俺と賢、フェイト、アリシア、ルカ、ユーノ、エリオ、キャロ、ルーテシアがミッドチルダ。なのはとはやて、アリサとすずかが地球だ。ちゃんと送り届けてくれよドクター。なのは達は地球のキャンプ場…俺達は…」
フェイト「クラナガンに行こうよ。あそこなら…」
大輔「よし、それで行こう」
スカエリッティ『では君達はクラナガンの外れに転送するがいいかね?』
大輔「ああ、頼む」
子供達はミッドチルダに行くメンバーと地球に一時的に戻るメンバーとに別れた。
子供達の足元に光が集う。
光が子供達を包み込み、光が収まった時には誰もいなかった。
大輔達はミッドチルダの大地を踏み締めた。
賢「ここがミッドチルダ…僕達やなのは達の地球より遥かに文明が進んでいるな」
フェイト「…本当に送り届けてくれた…」
スカエリッティを信じていなかったフェイトは複雑そうな顔をする。
大輔「フェイト、悪いけどすぐにでも作戦をたてないと…」
フェイト「そうだね…」
子供達はフェイト達が暮らしているマンションを目指す。
道中で会う人達はブイモン達を使い魔か何かだと思ったのか、あまり気にしなかった。
マンションに簡単に辿り着くことが出来た。
フェイト達が暮らす部屋に着くとインターホンを鳴らす。
アルフ「は~い」
賢にとって久しぶりに聞いたアルフの声が聞こえた。
アルフは扉を開ける。
賢「やあ」
アルフ「賢!!ってあれ?あんた達、地球でキャンプに…ていうかクロノが縮んでる!?」
ルカ「?」
そして時空管理局の本局において。
クロノ「……」
リンディ「あら?クロノ、どうしたの?こめかみに青筋を浮かべて?」
クロノ「いえ…何か凄まじく腹の立つ言葉を言われた気がして…」
リンディ「誰かが噂でもしてるのかしら…」
正解。
アルフ「へえ~、クロノのクローンねえ…」
アルフがルカをまじまじと見る。
フェイト「それで、しばらく賢達を置いてあげたいんだ」
アルフ「アタシは構わないよ。でもプレシアには伝えておいた方がいいよ」
フェイト「うん。大輔、私は母さんに連絡するから、大輔達は仲間を探してくれないかな?」
大輔「ああ、居場所はD-3があるから分かるしな。皆、別々に行動して仲間を探そう。連絡する時はD-ターミナルで」
全員【はい】
全員が頷いてフェイトとチビモンを除いた子供達は外に出て、仲間を探し始める。
エリオ「でも、仲間って言ったら…」
キャロ「スバルさん…達だよね…私達…探していいのかな…」
ルーテシア「うーん…」
悩みまくる未来組であった。
クラナガンにある公園でルカは仲間を探していたが、反応が全くないことに溜め息を吐いた。
ルカ「……眠いなあ…」
暖かい陽気に眠くなるルカ。
ルカはベンチに横になると眠り始めた。
それを近くで見ていた少女に気づかず。
スバル「あのお兄ちゃん寝ちゃった……どこか具合でも悪いのかな?」
スバルはルカをまじまじと見ていた。
ルカがしばらく眠り続け、夕方になった時には既に子供達は帰っていた。
ルカは起き上がると身体を動かして解し、また辺りを見回す。
スバルは近くの木に隠れてルカを見つめていた。
スバル「何で帰らないんだろう?……もしかして…帰るお家がないのかな?」
幼い彼女は考える。
もし本当に帰る家が無かったら彼が可哀想だと、スバルは思う。
いざ声を掛けようと近づこうとしても、中々近寄れない。
ギンガ「スバル~帰るよ~!!」
彼女は姉のギンガに呼ばれた。
スバル「ギン姉今行く~!!……」
スバルは横目でルカを見つめる。
ルカはスバルの視線に気づかず辺りを探していた。
そして、スバルはギンガの下へと走っていった。
しばらく仲間を探し続けるが、全く見つからない。
空を見上げれば月や星が美しく輝いていた。
ルカはその輝きに目を細めるとフェイトのマンションに向かおうとする。
ルカ「ん?」
しかしその途中で何やら声が聞こえる。
自分が寝ていた公園で屈強そうな男と子供の声。
ルカ「…喧嘩…?しかも片方は子供じゃないか」
片方の子供、何か違和感がある。
人間だが、どこか人間とは違った感覚。
どこか自分に近い何かを感じる。
気づけばルカは騒ぎが起きている方に向かっていた。
「おいおい、俺にぶつかってただですむと思ってんのか?」
スバル「ご、ごめんなさい……ちゃんと前見てなかったから……」
スバルは怯えながら、目の前の大男に謝る。
ルカ「何をしてるんです?」
スバル「あ…」
「このガキの兄貴か…?まあいい。親呼んでこいや。慰謝料払わせてやる」
ルカ「(何だこいつは…?)」
ルカが大男を見つめながら胸中で呟く。
「ほら…さっさと呼んでこい!!」
大男がルカを蹴りつけようとした瞬間。
ドゴオッ!!
鈍い音が響き、逆に男が吹き飛んでいた。
男は大の字に倒れていた。
ルカの拳には血が付着していたのを見て逆に殴り飛ばされたのだろう。
「て、てめえ…」
男は起き上がり鼻を押さえながらルカを睨む。
どうやら鼻の骨が折れたようだ。
ルカ「…死にたいのなら掛かってきても構いませんよ?あなたごとき殺すなんてたやすいですから……」
「ヒィ!!?」
間接を鳴らし、殺気を放ちながら無表情で言うルカに男は怯えながら走り去った。
ルカ「……」
ルカは走り去った男の背中を見つめていた。
服が引っ張られる感覚に後ろを向く。
スバル「助けてくれてありがとう」
ルカ「怪我はありませんか?」
スバル「ない」
クイント「スバルー!!」
ルカとスバルの元にクイントがやって来た。
スバル「お母さん!!」
クイント「もう、どこ行ってたの?探したんだから」
スバル「ごめんなさい…」
クイント「その子は?」
ルカの存在に気づいたクイントは、ルカを見て尋ねる。
スバル「えっと…私が男の人にぶつかっちゃって、それで蹴られそうになったところをお兄ちゃんが助けてくれたの!!」
クイント「そうなの!?……うちの娘が迷惑をかけたわね」
ルカ「別に気にしていません。何故か放っておけなかったんです。」
クイント「そ、そう……えっと、私はこの子の母親のクイント・ナカジマよ」
スバル「スバル・ナカジマだよ!!」
ルカ「……僕はルカといいます」
そう言うとルカはD-3で時間を見ると、今7時48分。
完全に大輔達に怒られる。
するとスバルがルカに話し掛ける。
スバル「ねぇ、お兄ちゃん」
ルカ「…え?何でしょう?」
スバル「お兄ちゃん帰るお家ないの?」
あまりにも率直過ぎる質問に、クイントは焦る。
クイント「スバル!!失礼でしょ!?」
スバル「…ごめんなさい」
怒られたことにシュンとなりながら謝る。
ルカ「帰る家ですか…無い…ですね、僕には」
クイント「え?」
ルカ「だから僕には帰る家はないんです。」
ルカは普通に答えただけなのだが、クイントがかなり驚いていることに少し疑問をもった。
クイント「じ、じゃあ、ご飯は?」
ルカ「ご飯…木の実とか焼いた魚…とかですね…更に前は栄養剤みたいな物でしたし。昔に比べれば遥かにマシですよ」
クイントはルカの服装を見る。
ルカの服装はまず、普通の子供が着るような服ではない。
病院に入院している患者が着る病院服に近い物だ。
クイント「お父さんとお母さんは…?」
ルカ「お父さんとお母さん…?えっと、何ですかそれ…?」
ルカが初めて聞く単語に困ったように首を傾げる。
クイントはルカがそれを知らないことに絶句すると同時にルカが孤児であることを理解する。
スバル「お兄ちゃんを産んだ人だよ。お兄ちゃん、お父さんとお母さんいないの…?」
ルカ「お父さん…お母さん…いませんね。強いて言うなら僕を造った研究者がそうなるのかもしれません」
スバルの問いにもしばらく考えた後、首を横に振りながら言う。
クイント「造った研究者……?まさか…」
クイントは目を閉じ、数秒間考えるとしゃがんでルカと目線を合わせる。
クイント「ねえ、君。この後予定とかある?」
ルカ「え?予定はありません。そもそもここがどういうことなのかさっぱりですし」
もうかなり遅い時間で、仲間を探すのは無理だ。
クイント「じゃあうちに来ない?」
ルカ「え?」
クイント「スバルを助けてくれたお礼したいし…どうかしら?」
ルカ「……」
スバル「行こうよ。お兄ちゃん」
ルカ「えっと……大輔さんに連絡して…いいって言われたら…でいいですか?」
ルカはD-ターミナルを取り出すと大輔にメールを出す。
ルカ<子供を助けたら子供のお母さんのクイントさんっていう人にお礼に家に来ないかって言われたんですけど、どうすればいいんでしょうか?>
メールを出してしばらくすると返信された。
大輔<その人の好意に甘えとけ、もし泊まるなら泊まるとメールを送るように。追記 明日の午後1時、お前に会わせたい人がいる。必ず帰ってこい。>
ルカ「…いいとありました」
ルカはメールを読み終えるとクイントとスバルに頷いた。
クイント「そう!!それじゃあ行きましょうルカ君。家は此処から近いから」
スバル「こっちだよ」
ルカ「は、はあ…」
ルカはスバルと手を繋いでナカジマ家へと向かったのだった。
ルカ「(あ、フレイモンを紹介するのを忘れてましたね)」
ルカがD-3の中にいるフレイモンを思い出した。
フレイモン『おいおい…』
ナカジマ家へと来たルカ。
現在は居間で、クイントが出したお茶を飲んでいる。
目の前には1人の男性がいる。
?「お前さんがスバルを助けたのか。本当にありがとうな」
ルカ「えっと…」
?「おっと、申し遅れたな。俺はゲンヤ・ナカジマだ。スバルとギンガの父親だ。」
ルカ「えっと…ルカ…です」
フレイモン[俺はフレイモンだ]
挨拶はしっかりするようにと、はやてに言われたルカはペコリと頭を下げた。
D-3から出たフレイモンもペコリと頭を下げた。
スバル「~♪」
ルカの隣ではスバルが満面の笑みを浮かべていた。
ゲンヤ「ははっ、随分とスバルに懐かれてるな」
ルカ「…えっと、そうなんですか?」
ゲンヤ「ああ、スバルは人見知りでな。他人にここまで懐くなんて滅多に無いんだ。」
ルカ「…は、はあ……」
ギンガ「……」
そんなルカの様子をギンガはじっと見る。
クイント「お待たせ~♪」
クイントがキッチンから出て来た。
手に持つ大皿には山のような量が盛られている。
所謂特盛である。
フレイモン[…凄い量だな……]
皿は大皿7枚と普通の皿が1枚。
大皿の料理がルカ、フレイモン、ギンガ、スバル、クイントに。
そして普通の皿がゲンヤに。
ゲンヤ「お、今日も美味そうだな」
クイント「でしょ~♪ルカ君、フレイモン君。おかわりは沢山あるから遠慮せずに食べてね」
フレイモン[(まだあんのかよ…)]
フレイモンは顔を引き攣らせながら胸中でぼやいた。
ルカ「皿が2つ多くありませんか…?」
クイント「ああ、そうそう。アグモン君、クロアグモン君。ご飯よ~」
ルカ、フレイモン「[え?]」
すると二体の黄色と黒のアグモンが現れた。
クイントはルカ、フレイモン、ゲンヤ、スバル、ギンガ、アグモンX、クロアグモンに箸を手渡す。
日本人の先祖を持つナカジマ家は和食が中心のようだ。
ゲンヤ「それじゃ、食うか」
クイント、スバル、ギンガ、アグモンX、クロアグモン「「「[[頂きます]]」」」
ルカ、フレイモン「[い、頂きます…]」
ルカは卵焼きを口にする。
甘い卵の風味が口の中に広がる。
ルカはいつもの勢いで料理を頬張り始めた。
フレイモンはクイント達がルカの食欲にドン引きしてないか見てみたが…。
クイントもスバルもギンガもルカと同等の勢いで料理を口にしていく。
フレイモン「女版ルカだ…女版ルカが3人も…」
ゲンヤ「まさか、クイント達とタメを張れるとはなあ」
ゲンヤが苦笑しながら料理を口にする。
フレイモンも慌てて料理を口にするのだった。
しばらくして、食事を終えて風呂から上がるとルカはナカジマ姉妹の部屋に布団を敷いて寝ることになった。
ルカ「…あの」
スバル「何?」
ルカに話し掛けられ、スバルがルカの方を向く。
ルカ「アグモンとクロアグモンはいつから此処に?」
スバル「えっとね、公園で遊んでたらね、アグモンもクロアグモンもお空から降ってきたの!!」
ルカ「空から…あの、スバルとギンガでしたね?これを持ってないですか…?」
ルカがスバルとギンガにD-3を見せる。
ギンガ「持ってるよ。はい」
スバル「私も持ってるよ」
ギンガとスバルが出したのはギンガは白と藍紫を基調としたD-3。
スバルは白と空色を基調としたD-3だった。
ルカ「…見つけた…仲間」
ルカがボソリと呟いた。
スバル、ギンガ「「?」」
ルカはポケットから自由と正義の紋章を出すと、ギンガのD-3に正義の紋章、スバルのD-3に自由の紋章がそれぞれのD-3のディスプレイに吸い込まれるように入っていく。
アグモンX[あ、入ってった…]
クロアグモン[これは一体何だと言うのだ…?]
アグモンXとクロアグモンが首を傾げる。
ルカはスバル達にデジタルワールドの話をするべく深呼吸をした。
ルカがスバル達の部屋でデジタルワールドの話をしている最中、フレイモンはクイントとゲンヤと話していた。
クイント「フレイモン君。ルカ君のことでいくつか聞きたいことがあるんだけどいいかしら?」
フレイモン[いいけど…前もって言っとくけど俺、あんまり難しいことは分かんねえよ?]
クイント「フフッ、正直ね。でも別にいいの。とりあえず答えられる質問にだけ答えてくれればいいから」
フレイモン[あ、うん]
クイント「まず…ルカ君の出身は?」
フレイモン[えっと…人造生命体を造っていた研究施設…]
クイント「確実に違法ね…つまり…ルカ君は誰かのクローンということ?」
フレイモン[うん。確かクロノ・ハラオウンって奴がオリジナルだって…]
ゲンヤ「ハラオウン提督の息子のクローンか…」
ゲンヤはルカのオリジナルのことを知っていたようだ。
クイント「じゃあルカ君は何歳なの?」
フレイモン[データにあったのを見たら7歳だって]
クイント「じゃあギンガと同い年なのね…じゃあ最後の質問。私にはどこかルカ君が不安定に見えるの。何か大事なものが欠落しているように見える…」
フレイモン[ルカは…ルカが不安定なのは生まれた時から人を殺すことしか教えられなかったからなんだと思う]
ゲンヤ「何だと?」
穏やかではない発言にゲンヤが眉間に皴を寄せる。
フレイモン[ルカは生まれた頃から毎日毎日訓練させられて…施設の子供達と殺し合わされて、殺すことと殺されることしか教えられなくて…]
ゲンヤ「チッ…胸糞悪い話だ…ルカくらいの歳ならまだ親に甘えていたい年頃だろうに…どうやら神経まで腐っていたようだなその連中は」
フレイモン[ああ…連中が生きていたら今すぐにでも燃やしてやりてえ…!!]
クイント「ごめんなさい。辛いことを言わせてしまって……ゲンヤさん。もしルカ君が受け入れてくれたらの話なんだけど」
ゲンヤ「何だ?」
クイント「ルカ君をうちで引き取りたいの」
フレイモン[クイント…さん?]
クイントの言葉にフレイモンは顔を上げる。
クイント「あなたはルカ君は人を殺すことしか教えられなかったって言ってたわよね?つまり殺すこと以外何も知らないんでしょう?」
フレイモン[まあ…うん。仲間が言うには世間の一般常識すら欠落してるらしいし…]
クイント「そんなの可哀想よ!!私がルカ君に常識とか色々と教えてあげる。子供は沢山遊んで、沢山ご飯を食べて、沢山寝るのが仕事なんだから!!」
ゲンヤ「相変わらずお前は勝手に話を進めていくな……まあ、別に俺は構いはしねぇ。スバルも随分とルカに懐いちまってるし、ギンガもそこそこ興味もってるし……いいんじゃないか?」
クイント「そう!!なら…」
フレイモン[ストップ!!]
クイント、ゲンヤ「「?」」
フレイモン[気持ちは嬉しいんだけどさ。明日の午後に仲間がルカに会わせようとしてる人がいるんだ。もしかしたら、そっちに引き取られるかもしれない…]
クイント「あ、そうなの…」
クイントはガッカリしたように肩を落とした。
フレイモン[ありがとな。ルカのことを思ってくれて。まあ、養子に関してはルカに明日話しとくよ。結局は本人が決めることだしな]
クイント「お願いねフレイモン君。」
フレイモン[おう、お休みクイントさん]
フレイモンはスバル達の部屋に行く。
こうしてミッドチルダでの1日が過ぎていく。
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