有栖キャロの小学校物語
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第9話 秘密基地って男の子のロマンなのですか………?
「で、どこに連れていくの?」
「…………行けば分かる」
授業が終わった放課後、佐助に呼ばれ、一緒にある場所に移動中なんだけど………
「キャロやルー達も連れてきても良かったんじゃないの?」
「駄目、特にルーちゃんは危険…………」
何で駄目なんだろう………
僕的にはこれを利用してルーと仲直り出来ればって思ったんだけど………
「………着いた」
こうして連れてこられたのは体育館の前。
ここに何かあるのかな?
取り敢えず僕達は中に入っていった。
「怪しい………」
私は今、ルーちゃんと一緒にエリオ君と佐助君を追跡しています。
佐助君は人を見つけるのがうまいので、なるべく離れてなので結構骨が折れます。
「でもこういうのって刑事みたいで楽しいね」
「…………確かに」
前に夜美お姉ちゃんと見た一匹狼刑事がまた見たいです。
一人では無いですけど…………
「どうやら体育館に向かってる見たい………」
「体育館ですか?」
体育館に何かありましたっけ………?
「キャロ、行くよ!」
「あっ、待ってルーちゃん!」
取り敢えず私達は彼らを見失わないように後を着けました…………
「ねえ、ここで何をするの?」
連れてこられたのは体育館の裏。
一体こんな所で何をするんだろう?
「…………黙ってる」
そう言って佐助君はキョロキョロと回りを確認し始めた。
警戒してる?
「………よし、ついてきて」
そう言って、ステージ裏にあった階段で下に降りていく。
こういう所って入っちゃ駄目なんじゃないのかな?
「エリオ、早く」
急かされたので、取り敢えず僕は佐助の後に続いた。
「あれ?」
体育館に入っていったのを確認して、体育館の中を覗いてみると、既に二人の姿はありませんでした。
「どこにいったのかしら………」
「確かに入っていったんですけどね…………」
本当に何処へ行ったのでしょう?
「取り敢えず探してみましょう」
「うん!」
私達は倉庫から順番に見ていくことにしました…………
階段を降りてみるとステージ裏に来ました。
下はポールなど、運動会で使っていた物もあり、埃っぽく、結構物が置いてあるため移動しづらい………
「足元気を付けて…………」
「うん………」
言われる前から気を付けているけど、本当に歩きづらい…………
ともかく、僕達は進みました。
しばらくすると、物が高くまで積んである場所で止まりました。
「どうしたの?」
「着いた」
着いたって…………
ここに連れてくるために呼んだの?
「ちょっと待って」
そう言って、佐助君は物の横に行き、力一杯押し始めた。
「こんなに高く積んであるのに一人じゃ動かないんじゃ…………」
そう言った矢先、物は簡単に左にずれ、空いたスペースに1つのドアが現れた。
「ここ………」
そう言って佐助は中に入っていった。
「あっ、待って!?」
僕も急いで佐助を追った……………
「埃っぽい………」
「何でこんなところに…………」
体育館の倉庫を探していた私達でしたが、どこにも人の気配は無かったので、ステージまでやってきました。
そして、見つからない場所を考えると、下に行ったのではないかという結論に至り、こうしてステージの下へ来たのですが…………
「イタ!?……………もう邪魔……………燃やす?」
ルーちゃんは足を抑えて物騒な事を呟きました。
「ルーちゃん!!そんな事したら体育館全て燃えちゃうから!?」
「ちっ…………」
舌打ちしましたけど、冗談ですよね?
そんな時…………
「あれ?あそこだけ、高くまで物が積まれてる………」
私は他の場所とは違う、高く物が積まれている場所を見つけました。
と言っても、気づいていれば直ぐに見つかる位分かりやすかったのですが…………
「行ってみよう」
ルーちゃんも怪しいと思ったのか、直ぐに行こうと言ってきました。
私達は足元に気を付けて進みます。
すると…………
「これは……………」
そこには一つのドアがありました…………
「ようこそ、俺達の秘密基地へ!!」
部屋に入ると、そこは普通の部屋が…………
「ってここどこ!?」
「どこって、俺達の秘密基地だけど…………」
「いや、そういうことじゃなくて、さっきまでステージの下を歩いてたはずなんだけど………」
「それなのに、何でこんな所にこんな部屋があるかって事か?」
僕は激しく頷いた。
真ん中に先生達の会議室によくある横長の机が2列並んでいて、それを囲む様にパイプ椅子が並んでいる。一番奥にはテレビとゲーム機が置いてある。
部屋の横脇には長い棚があり、そこには漫画やゲームソフトなど、様々な物が置いてあった。
「まあ驚くのも無理ないか…………俺達もここを作るのに結構時間がかかったからな」
「テレビやゲームをここに運び込むのに苦労した……………」
「机やイスは体育館の物を失敬した。一杯あるし、行事でもない限り、こっちに来たりしないからな」
「流石にやっていいことと悪いことはあると思うんだけど………」
「いいじゃないか!秘密基地は男のロマンだぜ!!」
「そうだ…………」
まあ僕もそういうのに憧れたりするけど…………
「それに、ここは俺達しか知らない…………」
「えっ、そうなの!?」
「エリオ、その意味分かるか?」
2人だけなのに、僕に教えてくれた……………
ってことは…………
「僕を秘密を明かしても信頼出来るって評価をもらえたってこと?」
「何だ、その遠まわしな言い方……………要するに『親友』だからってことさ!!」
「親友…………」
「そう、俺も佐助もお前にだったらここの秘密を教えて上げてもいいって思ったんだ」
佐助もこくこくと頷いている。
「2人共…………」
僕は嬉しかった…………
今はキャロやルーみたいな友達はいる。親友だって思ってる。
だけど、面と向かって言われたのは初めてだ…………
「おいおい………」
「エリオ…………」
「あれ?僕…………」
泣いている…………?
「何だ?前の学校では友達いなかったのか?」
「エローシュ、直接過ぎ…………」
「いや、いいんだ。僕にとっての友達はキャロとルーしかいなかったから…………」
僕は涙を拭きながらそう言った。
「ありがとう2人共、僕、本当に嬉しいよ!」
この学校に転校してきて本当に良かった。
今度、レイ兄にもお礼を言わなきゃ……………
「それじゃあ、親友になった証として、エリオにもお宝本を教えないとな………」
「お宝本?」
「エリオもエロ紳士同盟の仲間入り…………」
「エロ紳士同盟?」
何だろう?
関わるなって体が警鐘を鳴らしてる気がする…………
そんな時…………
「「それは駄目(です)ー!!」」
二人の女の子が部屋の中へ入ってきた。
「取り敢えず、中の様子を探ってみましょう」
静かにドアノブを動かし、少し覗ける位まで開けるルーちゃん。
こうなると私の探偵心にも火が付いてきます!!
「任せて!私、一言も聞き漏らさないように聞いてるから!!」
「キャロ、うるさい!」
………………ごめんなさい。
『ようこそ、俺達の秘密基地へ!!』
エローシュ君の声が聞こえます。
ここは秘密基地だったのですか………
『ってここはどこ!?』
流石のエリオ君も動揺しているようです。
『どこって、俺達の秘密基地だけど…………』
そういうことを聞きたかったのではないと思うのですが…………
『いや、そういうことじゃなくて、さっきまでステージ下を歩いていた筈なんだけど………』
『それなのに何でこんな部屋があるってことか?』
エリオ君の口調からして、どうやらとても信じられないような光景を見ているのだと思います。
『まあ驚くのも無理ないか…………俺達もここを作るのに結構時間かかったからな…………』
『テレビやゲームをここに運び込むのに苦労した……………』
テレビやゲームもあるのですか!?
『机と椅子は体育館の物を失敬した。一杯あるし、行事でもない限り、こっちに来たりしないからな。』
『流石にやっていいことと悪いことがあると思うんだけど………』
私もそう思います。
『いいじゃないか!秘密基地も男のロマンだぜ!!』
『そうだ…………』
え〜!?お兄ちゃんを見てもそうは思えませんが…………
『それに、ここは俺達しか知らない…………』
えっ!?ってことは夏穂ちゃんも知らない?
『えっ!?そうなの?』
『エリオ、その意味分かるか?』
その意味?
『僕を秘密を明かしても信頼出来るって評価をもらえたってこと?』
『何だ、その遠まわしな言い方……………要するに『親友』だからってことさ!!』
『親友…………』
『そう、俺も佐助もお前にだったらここの秘密を教えて上げてもいいって思ったんだ。』
『2人共…………』
2人共って事は、佐助君は頷いたのですかね?
「いいですね、こういうの…………」
「うん…………」
私はお兄ちゃんからエリオ君の事を聞いています。
それを聞いても私は何も思いませんでしたけど、エリオ君はずっと悩んでいたらしいです。
それをエリオ君に言ったら泣きながらありがとうと言ってくれました。
恐らくその時と同じ気持ちなんでしょう…………
「ルーちゃん、帰りませんか?ここにいたら3人に悪いです」
「…………そうだね、今回は帰ろうか」
私達はそっと帰ろうとしたその矢先でした。
『それじゃあ、親友になった証として、エリオにもお宝本を教えないとな…………』
『お宝本?』
何だか嫌な予感がします。
ルーちゃんを見ると、どうやら同じ事を思ったらしいです。
『これでエリオもエロ紳士同盟の仲間入り…………』
これは不味いです!
エリオ君が駄目な道へと進んでしまう!!
「ルーちゃん!」
「キャロ!」
私達はアイコンタクトで次にどんな行動に移れば良いか判断して、動きました。
「「それは駄目(です)ー!!」」
「全く、油断もスキも無い…………」
いきなり現れたキャロとルー。
キャロはともかく、ルーは怒りながら「正座!!」と怒鳴って、エローシュと佐助の2人を床の上に正座させて、説教している。
「で、何で2人がここにいるの?」
そんな様子を見ながら、何故か置いてあったポットであったかいお茶を入れ、説教の様子を一緒に見ながら話していた。
「えへへ…………どうしても気になって付いて来ちゃった」
付いて来ちゃったって……………
よく佐助に気づかれなかったな。
「気づかれないように、結構離れて追跡してたの!!」
力説しながら言ってくるな……………
「それでね!ここの場所も2人で知恵を絞って見つけ出したの!!」
こんなに熱くなりながら話すキャロも珍しいと思う。
「いい?この秘密基地は俺達のじゃなくて、私達みんなの物ね!!」
どうやら説教も終わりらしい。
「で、でもルー様、ここは俺と佐助が長い年月をかけて…………」
「お宝本、夏穂に渡されたい?」
「「こちらこそよろしくお願いします!!」」
「ありがとう。あっ、それと明日には夏穂と雫にも教えとくから」
「「えっ!?」」
「それまでにお宝本もちゃんと違う場所に隠しときなさい」
そう言われると2人は慌ただしく動き出した。
しかし大きなダンボールって…………
一体何冊あるんだ?
「しかし…………」
そんなことを思ってると、不意にキャロが話しかけてきた。
「これからもっと楽しくなりそうですね」
キャロは満遍の笑みでそう言ってきた。
「そうだね」
そのためにも早くルーと仲直りしなくちゃな…………
帰り道…………
「ね、ねえエリオ…………」
ふと、ルーに声をかけられた。
場所はまだ学校。
キャロはトイレに行ってて今は2人だけだ。
「な、何?」
「あ、あの…………」
そう言って沈黙が過ぎる。
こういう時は男から話さないと…………
「エリオ!」「ルー!」
「「ごめんなさい!!」」
「「えっ!?」」
見事に被っちゃった…………
「何でエリオが謝るの?」
「だって、ルーが怒ってるのは僕のせいでしょ?」
「ううん、確かにエリオも多少は悪いけど、悪いのはこっち。エリオは謝らなくていい」
「そんなことは無いよ、僕だって悪いんだから謝る!」
「いい!」
「謝る!!」
「いい!!」
「謝る!!!」
そんなやり取りをして…………
「「アハハハハハハ!!」」
僕たちは笑い合った。
「あれ?2人共仲直り出来たのですか?」
少し2人で話していたら、キャロが帰ってきた。
僕達の様子を見て、仲直りしたと思ったみたいだ。
「うん」
「もう大丈夫だよ」
「よかった〜これで3人仲良く帰れるね」
そう言ってキャロは僕とルーの腕を掴み引っ張りながら歩きだした。
「帰るから引っ張らないで………」
「危ないよキャロ」
「大丈夫ですよ〜」
嬉しそうに言いながらキャロは歩く。
もしかして今回の事で、一番心配してくれたのはキャロかもな…………
『エリオ君はエリオ君だよ!!誰かの代わりなんかじゃない!!』
あの時に言われた事は忘れない。
フェイトさん、レイ兄、ルー、キャロ。
この人達の出会いがあってこそ、今の僕がいる。
「「エリオ(君)?」
「あっ、ごめん………」
これからも3人で仲良くやっていこう。
そんなことを思いながら、僕たちは3人で仲良く帰った…………
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