有栖キャロの小学校物語
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第8話 エリオ君が学校に転校してきました!けれどルーちゃんが何だが不機嫌です………
運動会から1週間が経ちました。
あの後からの学校は至って平和でした。
ただ、昨日行った中学の体育祭はとても面白かったです。
お兄ちゃんが犬さんになったり、ライお姉ちゃんが猫さんになったりしてとても盛り上がってました。
こっちに来てから楽しい事ばかりです。
「今日は転校生を紹介するわね」
朝の会、細野先生が言いました。
みんなの目がキラキラしています。
前みたいに佐助くんの隠しカメラは細野先生の手により、完全に撤去されており、クラスの人達は誰が転校するか分かってません。
知っているのは私とルーちゃんだけです。
「先生、MAN?WOMAN?」
「何でわざわざ英語で聞いてくるのか不思議だけど、男の子よ」
エローシュ君はそう聞くと、チッと舌打ちをして静かになりました。
キラキラ目を光らせていた男子の目が一気に冷めてます。
「あなたたちは……………その反応は流石に彼に響くわよ…………彼はあなたたちと会うのを楽しみにしてたんだから」
「彼?俺達の知ってる奴か?」
「そうよ、あれだけ彼に手伝ってもらったのに忘れちゃうの?」
それを聞いて、エローシュ君は誰が転校するのか分かったみたい。
他のクラスメイトも、もしかしてとヒソヒソ話し始めた。
「それじゃあ入っていいわよ」
先生がそう言うと扉が開き、ランドセルを背負ったエリオ君が入ってくる。
「みんな久しぶり………」
「「「「「「「「「「エリオ君!!」」」」」」」」」」
クラスのみんなが驚いた声をあげました。
「こら!朝の会なんだから静かになさい!!それじゃあ、みんな知ってると思うけど、自己紹介お願いね」
「はい、エリオ・モンディアルです!みんな、これからよろしくお願いします!!」
そう言ってエリオ君は深々と頭を下げました。
「モンデヤ………ぐふっ!?」
「変態!!」
夏穂ちゃんの投げた筆箱がエローシュ君の頭を直撃。
っていうか夏穂ちゃん、筆箱は流石に投げちゃ駄目ですよ………
「…………俺、いつか夏穂に殺されるのでは無いのだろうか?」
「…………今更そんなことに気づくエローシュに敬意を称する」
「よせや、照れるやないか」
エローシュ君、佐助君は誉めてないです。
「それじゃあ恒例の質問タイムといきましょう」
先生がそう言うとクラスメイト(特に女子)が一斉に手を上げました。
「それじゃあ…………木原さん」
「はい!あの………「ちょっと待った!!」」
木原さんが何か質問しようとした時、エローシュ君が割って入りました。
「ハァ………もういい加減静かにしてほしいんだけど………」
「くっ、冷たい…………だが、これは聞かなくてはならない!!」
そう言って一旦言葉を切り…………
「あの金髪お姉さんの胸のサイズは………げフッ!?」
そう聞く前にエローシュ君の所に行った夏穂ちゃんのグーパンが脇腹に直撃しました。
エローシュ君が悶絶しています……………
「あの…………大丈夫なんですか?」
「ああ、あれがいつも通りだから気にしないで」
「はぁ……………」
その気持ち分かりますよ、エリオ君。
そんな感じで、エローシュ君の所為で自己紹介は締まらず終わりました。
「学校って面白いね」
ただいま昼休みです。
いつもの様に円を作ってお弁当を食べています。
ただ、そこにはエリオ君も混ざっています。
「変なクラスだけど、馴染んでくれて助かるわ」
夏穂ちゃんは苦笑いしながら言います。
「だけど凄い人気だね………」
「確かにそうですね………」
真白ちゃんがそう言って校舎の方を見ました。
校舎の方にはエリオ君を見に来た別のクラスの女の子が物陰から覗いてます。
「このリア充…………」
「えっ!?なんでルー怒ってるの?」
ルーちゃんは今日はずっと不機嫌です。
エリオ君に話しかけようとして、何度も取り巻きの女の子に邪魔されたのが原因だと思います。
「フン」
ルーちゃんはそっぽを向いて、エローシュ君の弁当からおかずを取って食べました。
「あの…………ルー様?何故にわたくしめのオカズを食べているのでしょうか……………?」
「うるさい、エローシュは黙ってお弁当差し出せばいい」
「ノオオオオオオオ!!」
エローシュ君、八つ当たりされてます…………
こういうときは…………
「ドントマインド」
「キャロちゃんその言葉好きだね!?」
何かカッコいいと思います。
初めての学校、結構緊張して登校したんだけどな…………
「モンデヤ………ぐふっ!?」
エローシュが筆箱投げられてた…………
その後もエローシュ君は冷たい目で見られてたり、筆箱投げた女の子にパンチされたりと散々な扱いだった。
皆に嫌われてる………?
「あの…………大丈夫なんですか?」
「ああ、あれがいつも通りだから気にしないで」
「はぁ………………」
先生にそう言われて、僕は空返事を返す事しか出来なかった。
「ねえ、エリオ君ってどこから引越して来たの?」
「好きな食べ物何?好きなアニメとかある?」
「何かスポーツとかやってる?」
ただいま休み時間何ですが、女の子から質問攻めにあっています。
「「「ねえねえ…………」」」
もう勘弁してほしいなぁ…………
僕は助けを求めるように回りを見た。
するとルーがこっちの様子を見ていた。
「ルー助け………」
助けを求めようとしたらそっぽを向かれた。
僕、何かしたっけ…………?
それからずっとルーの機嫌は悪いままだった……………
「はい、それでは帰りの会を終わります。皆さん気を付けて帰ってください」
エリオ君が転校してきて慌ただしかった学校も終わりです。
エリオ君人気は相変わらず高く、未だにエリオ君に声をかけようと廊下に待ち構えてる位です。
「リア充は死ねばいいんだ…………」
「ちょっと、ルーちゃん!?」
ルーちゃんも終始不機嫌でした、まあ八つ当たりは全部エローシュ君だったので、問題無かったのですが…………
「ルーちゃん、今日ちょっとおかしいよ、エリオ君にも冷たいし…………」
「……………そんなことない」
「ルーちゃん…………」
その後もルーちゃんはずっと不機嫌そうでした…………
どうしたらいいのかな………?
「仕方ないな……………」
「エローシュ?」
今日はエリオが転校してくる日。
結構楽しみにしてた…………
夏になって初めて出来たキャロ以外の友達で、初めての男の子の友達。
優しくて気が利くとても良い子だ。
別荘の時もとても楽しかったし、次に会える日もとても楽しみだった。
なのに……………
「ねえ、エリオ君ってどこから引っ越してきたの?」
エリオは終始女の子に声をかけられていた。
それを見て、困ってる様にも見えたけど、満更でもなさそう。
………………女好き。
「ルーちゃん、今日ちょっとおかしいよ、エリオ君にも冷たいし…………」
それは…………
でも……………
「……………………そんなことない」
「ルーちゃん…………」
そんな目で見ないで欲しい。
私だって普通でいたいんだけど……………
何故かエリオを見てるとイライラする。
「ちょっといいか?」
そんな時、アホエローシュが私達に話しかけてきた。
「何?今エローシュの相手をする暇が無………」
そこまで言いかけて、私は黙った。
エローシュが普段見せない真面目な顔だったからだ。
「キャロちゃん、ちょっとルーちゃんを借りるな」
「えっ!?エローシュ君!?」
「悪いけど待ってて」
私はルーにそう言ってエローシュについて行った。
「この辺りで良いか」
エローシュに連れられてきたのは、音楽室などがある校舎の方の階段。
確かにここなら滅多に人が来ない。
「で、話って何?」
「ルーちゃんが何でそんなにエリオを見てイライラするのか教えてあげようか?」
「なっ!?別に私はイライラなんて………」
「何だ?気づいてると思ったけど、気づいてなかったのか?」
「私は別にエリオが原因ってわけじゃ!!」
「取り敢えず、俺から一つだけ忠告しとくぞ」
エローシュは私の意見など聞く耳を持たず、話を続けた。
「エリオはモテるぞ……………今のままだったらエリオはルーちゃんからドンドン離れていくだろうな…………」
「そんな事!!」
「おっと」
殴りかかったが、エローシュに簡単に止められてしまった。
「何だ、怒るところからすると、やっぱりエリオの事が………」
「違う!!ただエリオは大事な友達で…………」
回想…………
別荘の海でエリオと2人で遊んでいた時の話だ。
私達は砂でお城を作っていた。
「ルー、これ見てみなよ!」
エリオが見せてきたのは貝殻だった。
「これは?」
「そこで綺麗な貝殻見つけちゃった」
「本当だ……………」
エリオが見せてくれた貝殻は虹色にキラキラ光ってて、とても綺麗だった。
「…………ちょっと待ってて」
私が貝殻をじぃっと見ていたのを見て、そう言った。
そして、エリオは走って別荘の方へ向かっていった。
一体どうしたのだろう……………
20分後……………
「ルー!!」
「遅い…………」
私は既にお城を作り終わっていて、ぼーっと海を見ていた。
「ごめんってお城凄!?」
頑張って私は前に見た姫路城?を真似てみた。
我ながらいい出来だ。
「ってそうじゃない、ルー!」
少し強めに名前を呼ばれて私は強ばった。
私、何か怒られる事したっけ…………?
「はい!」
そんな不安をよそにエリオは私に何かをくれました。
「これって!?」
「そう、さっきの貝殻」
渡されたのはさっきの貝殻。
だけど、貝殻には長い紐が付いていて首にかけられるようになっていた。
「ルーにプレゼント」
「私に…………?」
「うん。はやてさんに作って貰ったんだ。しかも『壊れないようにコーティングもしといたる!!』って気合入ちゃって…………ちょっと時間経っちゃった………」
私はそんな話なんて耳に入らず、ずっと貝殻を見ていた。
さっきよりも光っててとても綺麗だからだ。
「……………ねえルー」
「えっ?何?」
「付けてみてよ」
「えっ!?うん…………」
ちょっと恥ずかしい思いはあったけど、言われた通り付けてみた。
「…………どう?」
「似合ってる、可愛いよ」
「ルーちゃん、どうしたの?顔が赤いけど…………」
「な、なんでもない!!」
私ったら何であの時の事を…………
「ともかく、俺が言いたい事は、そんな冷たい態度ばかりとってると、エリオはお前からドンドン離れていくぞ」
離れていく……………
「それは嫌だ…………」
女の子にヘラヘラしてるエリオも嫌だけど、私から離れていくのはもっと嫌だ………
「そうか、なら謝るんだな。今日の態度じゃエリオは嫌われてると思ってるぞ」
そうだ、先ずは謝ろう。
全てはそこからだ。
「分かった、そうする。ありがとうエローシュ」
「どういたしまして。俺もこれで弁当の被害も収まるし、大助かりだ」
「それは無い」
「少しは自重してくれよ!!」
その後2人で笑い合った。
今度、また何か相談事があったらエローシュに相談しよう。
「キャロ、ごめん!」
「あっ、ルーちゃんおかえり!」
私が教室に戻ってくると、机に座って本を読んでいるキャロがいた。
そして……………
「ルー」
エリオもいた。
「エ、エリオ…………」
何してるんだ私………
エリオに謝らなくちゃいけないのに…………
「あのね………」
「「「「「「「「「「エリオ君!!」」」」」」」」」」
そんな時、廊下からエリオを呼ぶ女子たちがやって来た。
「な、何………?」
「「「「「「「「「「一緒に帰りましょ!!」」」」」」」」」」
「で、でも僕は………」
「キャロ、エリオを置いて帰ろう。エリオは女の子の相手で忙しいみたいだから」
「えっ!?でも…………」
「いいから行きましょ」
そう言って私はキャロを無理やり引っ張っていった。
「ちょ!?ま、待って2人共〜!!」
「じゃあまた明日ね」
私はそう言って、エリオを置いて教室を出た。
「いいのかな………?」
「良いんじゃない。リア充なんてほっとけば」
「でも困ってるよ」
そう言われてエリオを見てみると、エリオが助けを求める小動物みたいで少し可愛かった…………
「まあ大丈夫でしょ。それより今日、キャロの家に行っていい?」
「うん、いいよ!」
こうして私達はエリオを置いて帰った……………
ページ上へ戻る