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大陸の妖精

作者:sinの妖精
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・番外編・ X778 アルトとリサーナ2

 
前書き
書いてて初めて気付きました

これ、ナツが不憫な小説だ・・・(泣)

 

 


東の森の中にあるちょっとした草むらに卵を運んだナツたち



ナツ「オラァ!!オラオラオラァ!!」


ナツは自分の身体に不釣り合いなほどデカい岩を積み上げて、家を建てようとしていた



アルト「危なっかしいなぁ、ナツは・・・」


リサーナ「これ・・すぐに崩れちゃわないかな?」


ナツ「よし!出来たぞお前らー!!」


今にも崩れてきそうな岩の家を自慢げに指さすナツ


それを見たアルトたちはどこか不安げな表情を浮かべていた



ナツ「どうだー!かっこいいだろ!?」


アルト「うん・・・かっこいい・・・のかな?」


リサーナ「かっこいいって必要なのかしら・・・」



ナツ「何ひそひそ話してんだ、早く入ってみろよ!」


アルト「じゃあ俺から入ってみる」


アルトが岩の家に入ろうとしたその時


天井が崩れ、やがて岩の家全体が無残に崩壊した



ナツ「ありゃ?」


リサーナ「危なっ!!」


アルト「は・・入る前でよかったぁー・・・」


崩れた家のガレキを見ながら安堵するアルト



ナツ「家造んのって、難しいのなぁ」


アルト「よし・・・今度は俺が造ってみるよ!」


アルトは崩れたガレキをかき集め始める



ナツ「そ・・そっか・・・じゃあ俺は腹減った時の為に、何か食いモン取ってくる!」


リサーナ「じゃあ私はアルトを手伝うよ!ちゃんと家造れるか不安だし」


アルト「微妙に傷つくよ、リサーナ」


そう言った三人はそれぞれ各自の仕事に取り掛かる




それからしばらくして・・・


岩と木材で造られた家は崩れることもなく、ほぼ完成していた



アルト「うーん・・・もう少し岩を削った方がいいかな・・・」


家の中に入り、でっぱった岩を撫でながら呟くアルト



リサーナ「アルトー!!藁を持ってきたよ!!」


アルト「ありがとう、そこに敷き詰めといてー」


地面いっぱいに藁を敷くリサーナ


そのあと、数秒間アルトを見つめた後、クスッと笑う



岩を削るのに真剣だったアルトはリサーナの笑顔に気づかないままだった



アルト「それにしても、ナツ遅いね」


リサーナ「うん・・卵ほったらかして、どこまで行っちゃったんだろ?」


すると次の瞬間、岩と藁で造った家の前に大きな足音が響く



アルト「あ、ナツが帰ってきたのかな?」


リサーナ「そうかもね、ちょっと見てくる!」


そう言ったリサーナがゆっくりと家の外へと出ていった



しかし、そのあとすぐに、リサーナの悲鳴が響いた



アルト「えっ、リサーナ!!?」


悲鳴を聞いたアルトが急いで家を飛び出す



アルト「どうしたの、リサーナ!!?」


リサーナ「アルト!!」


見ると、リサーナの目の前には巨大な森バルカンが立っていた



森バルカン「うほっ!!」


森バルカンは、家の中にある卵を見て興奮している様子だった



アルト「こいつ、卵を狙ってるのか!!」


森バルカン「卵ぉー!オレ様の好物だ、よこせぇ」


アルト「誰がお前なんかにあげるか!これはナツの大切な卵なんだ!!」


森バルカン「なら奪っていくまでだァ」


そう言った森バルカンがアルトたちに襲いかかる



アルト「リサーナ、下がってて!」


リサーナ「で・・でも!」


アルト「大丈夫、俺を信じろ!!」


リサーナ「!!」


ニヤリと笑いながら言うアルトに対し、力強くうなづくリサーナ



森バルカン「うほぉぉ!!」


アルト「危なっ・・!!」


森バルカンの拳をかろうじて避けるアルト



アルト「くそぉー、これでもくらえっ!!」


攻撃を避けたアルトはそのままパンチで反撃するが、森バルカンには効いてないないようだ



森バルカン「うほほ、かゆいかゆい♪」


アルト「こんにゃろーっ!!」


その後も、ポカポカと殴り続けるアルトだったが、森バルカンに傷一つ負わすことが出来ない



森バルカン「邪魔だァ!!」


アルト「ぐはっっ!!!」



リサーナ「アルトー!!」


森バルカンの拳をくらい、吹き飛ばされるアルト


それを見たリサーナは倒れているアルトの元に駆け寄る



リサーナ「大丈夫、アルト!?」


アルト「へ、平気だよ・・・それより・・・早く下がって・・・」



森バルカン「うほほ、今度は女か?」


リサーナ「!!」


笑みを浮かべながらリサーナに近づく森バルカン



リサーナ「あ・・あぁ・・・」


リサーナは震えてその場を動けず、表情は青ざめていた



森バルカン「さぁて、早いトコぶっ飛ばして卵食べよ♪」


アルト「!!」


そう言った森バルカンは拳を振りかぶり、リサーナに向けて振りおろした



リサーナ「きゃあああ!!」


リサーナの大きな悲鳴が響く中、アルトは即座に立ち上がり、森バルカンの拳を受け止めた



森バルカン「うっ・・!!?」


リサーナ「ア・・アルト・・・!?」


森バルカンの拳をかなりの力で握りしめ、睨みつけながらアルトは言った



アルト「ねぇ・・・今、リサーナを殴ろうとしたよね?」


バルカン「!!!」


アルトの鋭い眼孔に一瞬ひるむ森バルカン



次の瞬間、アルトがバルカンの顔面と同じ高さまで飛び上がる



アルト「リサーナに手ぇ出すなっ!!!」


憤然と叫んだアルトは、バルカンを森の奥深くまで殴り飛ばした



リサーナ「やったぁ!!やった、やった!!」


地面を飛びはね、アルトの勝利に大喜びするリサーナだった





それから少し時が経ち


自分で造った家の中で、卵を見守りながらナツの帰りを待つアルトとリサーナ



リサーナ「ねぇアルト、今なんか音がしなかった?」


アルト「ご、ごめん・・・たぶん、俺のお腹の音・・・」


申し訳なさそうに呟くと同時に、アルトの腹の虫の音が鳴る



リサーナ「そーいえばアルトって一人暮らしでしょ?」


アルト「うん」


リサーナ「ごはんとかどうしてるの?」


アルト「ギルドで食べてるよ」


リサーナ「お金払って!?」


アルト「うん・・・そりゃまぁ・・・」


アルトの話を聞き、複雑な表情を浮かべるリサーナ



リサーナ「なんか、かわいそー」


アルト「そ、そう・・・?ナツも同じようなモンだけど・・・」


するとリサーナがアルトに近づいて言う



リサーナ「今度あたしが何か作ってあげようか?料理」


アルト「えっ!リサーナって料理出来るんだ!!」


リサーナ「うん、ミラ姉には負けるけどねー」


アルト「あー・・ミラさん・・」


以前、ミラに無理やり手作り料理を食わされた事を思い出すアルト


味は確かに絶品だったが、何よりも包丁を持ったミラに未だかつてない恐怖を覚えたことがアルトの中では一番印象に残っていた



リサーナ「エルフ兄ちゃんもやるよ」


アルト「エルフマンも!?・・・でも、なんとなく想像出来るよ」


アルトの脳裏にはやさしい笑顔で料理を作るエルフマンが浮かび上がった



リサーナ「それにしても・・・本当にその傷、大丈夫?」


リサーナはアルトの腕に刻まれた打撲跡と擦り傷に視線を向けて言う


先ほどの森バルカンとの戦いでついた傷だ



アルト「大丈夫だよ!2、3日すれば治ると思う」


元気そうに肩を回すアルト


それを見たリサーナは優しげな笑顔を浮かべる



リサーナ「ふふっ・・・さっきのアルト、すごくカッコよかったよ!」


アルト「えっ・・!?」


リサーナ「〝リサーナに手ぇ出すなっ!!!〟って叫んでくれた時とか・・・」


アルト「!!/////」


先ほど、カッとなって叫んだ言葉を覚えられてしまった気恥ずかしさで顔が真っ赤になるアルト



リサーナ「あと〝大丈夫、俺を信じろ!!〟って言った時とか!!」


アルト「も、もうやめて・・・/////」


リサーナ「アルトって普段は可愛かったり、優しいイメージあるけど・・・カッコいい時もあったり・・・なんかそういう男の子って素敵だなー」


アルト「はぁっ!!?/////」


リサーナは更にアルトと距離をつめ、笑顔で言った



リサーナ「大きくなったらあたし・・・アルトのお嫁さんになってあげようか」


アルト「な・・・なっ・・・!!/////」


頬を紅潮させ、口をパクパクさせるアルト



リサーナ「アルトって子供とか大切にしそうだし、頼れるしぃ・・・さっきだってあたしと卵を守ってくれたし」


アルト「なな何言ってんのさ、リサーナ!!/////」


リサーナ「そんなに大声出さなくても、冗談に決まってるじゃない」


アルト「!!!/////」


からかわれた恥ずかしさで更に顔を赤めるアルト



そんな時、家の表からナツの声がした


ナツ「おーい!!三人分の飯とってきたぞー!!」



リサーナ「あ、ナツが帰ってきたみたい」


ナツが完成された家を見て、感心しながら中へ入ってくる



リサーナ「卵はあたためておいたよ!」


ナツ「おっ サンキュー、リサーナ!」


取ってきた食糧を地面に置いたナツはアルトの方に視線を移す



ナツ「アルト、顔赤くしてどうしたんだ?」


アルト「何でもないっ!!/////」


そう言ったアルトはもの言いたげな視線をリサーナに向ける


アルトの視線に気づいたリサーナが勝ち誇ったような笑顔で応える



その時、卵から〝ごろごろ〟という音がした



ナツたち「「「!!!」」」


ナツたちが一斉に卵の方に視線を向ける



ナツ「なんか音がした!!」


アルト「うん、もうすぐ生まれるんじゃないかなぁ」


リサーナ「楽しみだね」


その夜は卵を見守る為、三人は岩と木材で造られた家で泊まったそうだ





ナツは一晩中、卵に寄り添って寝ていた














翌日


小鳥のさえずりが聞こえる朝


ナツたちが気づいた頃には、あったはずの卵が姿を消していた



それを見て怒ったナツはフェアリーテイルに戻り、犯人捜しを試みた


ナツ「誰だー!!盗んだのーっ!!!」


グレイ「卵が消えたって?」


カナ「私は知らないよ」



ナツ「ラクサスおまえかーっ!!」


ラクサス「興味ねえ」




アルト「エルザ、お願いだから吐きだしてよー!」


エルザ「オイ・・・少し飛んでないか?話が」




リサーナ「ミラ姉、卵知らない?」


ミラ「知らないわよ・・・ナツが自分で食ったんじゃないの?」


ミラの一言に怒ったナツが暴れだす


グレイやエルザも巻き込み、そのまま乱闘になってしまった



アルト「でも・・本当、卵どこ行っちゃったんだろう・・」


リサーナ「卵・・・」


喧嘩に参戦しなかったアルトたちが卵の行方を心配する



エルフマン「ナツ、アルト、リサーナ・・・ごめん!盗んだ訳じゃねーんだ」


するとそこに、卵を抱えたエルフマンが現れる



ナツ「あ、卵!!」


アルト「エルフマンが見つけてくれたのか!?」


エルフマン「いや 三人だけじゃ、あたためるの大変かなって思って・・・夜、冷えるし・・・でもオレ、魔法うまく使えねーから恥ずかしくて一人でこっそりやってたんだ」


ナツ「そうだったのかー!!」


リサーナ「ありがとう、エルフ兄ちゃん!!」


卵が見つかって喜ぶナツたち


そして、エルフマンからナツが卵を受け取った瞬間、卵に大きなヒビが入った



ナツ「ヒビが入った・・・!!」


アルト「ついに生まれるのかー!!」


「おおっ!!」


「おいっ、どけよ!!」


「バカッ、あまり押すなっ!!」


他のギルドメンバーも卵の前に集まる



少しずつ殻が割れ、中から出てきたのは羽の生えた青い猫だった



ナツ「おおっー!!」


アルト「猫!?」


リサーナ「わあっ!!」


青い猫はよろよろと飛びながら、ナツの頭の上に乗る



リサーナ「かわいー!!」


「あい」


元気な声でそう言った猫は、ナツに抱きかかえられ、ギルドメンバーたちの注目の的となった



リサーナ「見て・・・アルト」


アルト「?」


リサーナがギルドの皆を指さす



リサーナ「ナツもエルザも皆さっきまでカリカリしてたのに・・・あんなに嬉しそう、なんか幸せを呼ぶ青い鳥みたい」


アルト「うん、そうだね・・・みんな笑ってる!!」



ナツ「よーし、こいつは幸せを呼びそうだから・・・名前は『ハッピー』だ」


ハッピー「あい」


ナツ「ドラゴンのハッピーだ」


ハッピー「あい」



アルト「ドラゴンなのか・・・!?」


リーダス「えへへ・・・ドラゴンの絵にしちゃえ」


そう呟いたリーダスがナツとハッピーを中心に皆が笑っている絵を描いた











ミラ「・・・って事があったのよねぇ」


ルーシィ「へぇ・・・ハッピーって卵から生まれたんですか・・・」


ハッピーの誕生が卵からと聞いて驚いたルーシィ



ミラ「じゃあ私、あっちの書類整理してくるわね」


ルーシィ「あ、はーい!分かりました」


ミラが遠くにある山積みの書類を整理しようと歩き出した



ルーシィ「(ていうか・・・話に出てきたリサーナって誰なんだろ・・・??)」


かすかに残る疑問を持ちながらも、ルーシィは再び書類整理を開始した






その夜、アルトは東の森からギルドに帰還する


アルト「・・・・・」


うかない顔で歩くアルト



ルーシィ「おかえり、アルト!今日の昼間はギルドに顔出さなかったね・・・どこいってたの?」


何も知らないルーシィがいつもの調子でアルトに問う



アルト「・・・東の森だ」


アルトがルーシィを見据える



すると年が近いせいか、雰囲気が似ていたのか分からないが、ルーシィの姿がかつてのリサーナと重なって見えた



アルト「ルーシィ・・・」


ルーシィ「えっ・・あ、アルト!?/////」


気がつくとアルトは、ルーシィの頭に手を置いていた



アルト「お前は必ず俺が守るよ・・・いや、お前だけじゃない・・・ナツもグレイもエルザも・・・ギルドの仲間は全員守る」


ルーシィ「!!?/////」


いつもとは違う雰囲気のアルトに、頬を赤めるルーシィ



アルトはそのままルーシィの頭を2、3回撫でるといつも通り、ナツたちが座っている席に向かった



ルーシィ「な、何今の!?なんかいつもと雰囲気違う・・・!?/////」


アルト「(フェアリーテイルの仲間は全員守る・・・リサーナの時のような思いをしないためにも・・・!!)」


そう思ったアルトの瞳には確かな決意が宿っていた


 
 

 
後書き

一応番外編終了です

なんか後半グダグダになってしまった感がありますが・・・(汗)

 
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