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美しき異形達

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第三十六話 古都においてその十四

「これからな」
「そう、じゃあ今回は私達ね」
 菫と薊、この二人だというのだ。
「そうなるわね」
「こっちは決まったぜ」
 薊はまだ姿を見せない怪人達に告げた。
「そっちはどうなんだよ」
「そっちが決まったんならな」
「こっちも出るぜ」
 こう言ってだ、怪人達は姿を現した。今度の怪人達はというと。
 黒に近いダークブラウンの毛に全身を覆われた巨躯を持つ怪人にだ、もう一人は完全に、闇の様に黒い精悍な身体つきで鋭い牙を持つ怪人だった。薊はその怪人達を見てすぐにその目を鋭くさせて言った。
「熊と狼かよ」
「そうだ」 
 その熊の怪人が巨体を起こしながら答えてきた。
「わしが熊でだ」
「わしが狼だ」
 そうだとだ、怪人達は自分達で名乗った。
「熊と狼」
「最強の獣と言っておこう」
「最強かどうかわからないけれどな」
 冷静にだ、薊はその強さを言葉で出す怪人達に返した。
「どっちもよく知ってるぜ」
「そうね、熊も狼も有名だから」
 菫も怪人達に告げる。
「知っているわ」
「そうか、わし等のことは知っているか」
「それもよく」
「その強さを」
「なら話は早い」
「おいおい、敵を知りっていうだろ」
 薊はあくまで自分達の強さから言う怪人達にだ、余裕のある笑顔で返した。
「そして己を知ればな」
「百戦危うからずか」
「そう言うのか」
「そうだよ、あたし達はあんた達のことをよく知っててな」
「自分自身のことを知っている」
「そうも言うのか」
「そうさ、だからな」 
 それで、というのだ。
「勝つぜ」
「そう言うのか」
「わし等に」
「じゃあはじめるか」
 今度は何でもない風に言う薊だった、そして。
 その右手に七節棍を出した、その棒をすぐに両手に持ち替えて怪人達に告げた。
「これからな」
「よし、それではな」
「わし等の強さを見せよう」
「そしてそのうえで」
「楽に死なせてやる」
「準備は出来たわね」
 菫も言う、こうしてだった。
 二人と怪人達は川の中に入った、そこで足首まで水の中に入ってだ。その上で自分達も川の中に入った怪人達にだった。
 向かいだ、そして戦いに入るのだった。


第三十六話   完


                          2014・10・18 
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