美しき異形達
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第三十六話 古都においてその十三
だからだ、その既に進学が決まっていてもその入試テストについてもなのだ。
「名前書けばいいっていうのはね」
「嫌いだからか」
「今も勉強されてるの」
「だから旅行もか」
「行かれないでね」
それで、というのだ。
「勉強されてるのよ」
「そういうことか、先輩はずっと神戸か」
「今もお屋敷か図書館でお勉強か」
「塾だよな」
この場所も挙げられるのだった。
「予備校とか」
「うちの町にも塾とか予備校あるから」
「駅前とかにな」
「そう、そういうものがあるから」
それでだ、智和もそうした場所に行くというのだ。
「だからね」
「勉強ばかりってな」
薊は決して学校の成績は悪くない、だがそれでも彼女の性格からこう言うのだった。
「あたしの柄じゃないな」
「薊ちゃん身体を動かしてよね」
「それでストレス解消してな」
「それからよね」
「ああ、勉強するタイプなんだよあたし」
そうだとだ、裕香に話すのだった。
「だから拳法もモトクロスもな」
「してるのね」
「毎日走ったりしないとな」
薊の場合はなのだ、常に身体を動かさないとだ。
「勉強もはかどらないんだよ」
「文武両道タイプ?」
「いや、武の方が比重大きいよ」
文武両道かというとだ、薊は笑ってこう答えた。
「あたしはさ」
「武なのね」
「文、勉強はしないとだからな」
そう思っているからだというのだ。
「してるからな」
「義務だから」
「嫌いでもないけれど楽しんではないよ」
そうだというのだ。
「勉強の方は」
「拳法とモトクロスが第一なのね」
「そうだよ、それでな」
「それで?」
「こうして楽しく旅をしててもな」
薊は急にやれやれという顔になった、そして。
それからだ、前にある川のその向こうの山の方を見た。山のその木々をだ。
そのうえでだ、こう言ったのだった。
「ここでやるつもりかよ」
「そちらが望むのならな」
「そうするか」
「折角の嵐山なのにな」
風光明媚なその場所で、というのだ。
「来るのかよ」
「俺達は場所を選ばない」
「そんなことはどうでもいい」
だからだというのだ。
「ここでもだ」
「やらせてもらう」
「仕方ねえな、それじゃあな」
薊は溜息も出した、しかしその溜息は一瞬でだった。
その山の方にだ、こう言ったのだった。
「出て来いよ、はじめようか」
「そうね」
菫もだ、薊の横で言った。
「今度は私がね」
「菫ちゃんがかよ」
「行かせてもらうわ」
戦いに、とだ。菫は薊に答えた。
「今回は」
「そうか、じゃあな」
「薊ちゃんも?」
「やらせてもらうな」
戦いに加わるというのだ。
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