DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)
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心からの愛
我が尊敬するお父様は、杖探し(鼻歌交じりで、フィービーや兵士の人とダベってた)をしながら、冒険に役立つ情報を聞き出していた様で、シルバーオーブは『ネクロゴンドの洞窟』を抜けた先の祠に有るというナイスな情報をゲットしてくれました。
そして更にクロゴンドは、高い山々に囲まれた場所にあり、10年ほど前まで唯一通行出来た道も、火山の影響で塞がり人の進入を拒み続ける土地と言う情報…
そして、ネクロゴンド地方へ進入出来る方法…サマンオサの勇者『サイモン』が、その方法を見つけたと言う事…
サイモンは旅の途中、敵の罠に掛かり、無実であるにも拘わらず『祠の牢獄』に投獄されて、命を落としたと言われている事までも聞き出していたのだ!
ありがたい事なのだが、真面目に杖探しを行っていなかった事実にはムカつきます♥
さてさてそんなワケで、私達は一旦ジパングの北にある祠へ戻り、停泊してあった船に乗り込み、ロマリアの東…アッサラームの北の海に浮かぶ『祠の牢獄』に向かって進行中です。
ウルフも3日程安静にしてたので体調も回復しましたし、私のお陰でシルバーオーブへの手懸かりもゲット出来、良い感じになってまいりました!
「ア・ル・ル・さ・ま♥…サマンオサ行きも無駄では無かったでしょう?シルバーオーブの情報を入手出来ましたのですわよ!」
ふっふっふっ…船乗りの骨入手反対派のアルル嬢ちゃんには、今回のお得情報入手が気に入らないかもしれませんねぇ…
さぁ…私に平伏すが良い!
「マリー…アルルを苛めるのは止めなよ…誰だって分からなかったんだから!」
「でもでもウルフ!アルル様は『無駄な事』って言ってたんですわよ!世の中に無駄な事なんて無いんです!『急がば回れ』って諺もあるんですから!」
あぁん!ウルフはどっちの味方なのよ!?
「分かったわよ!サマンオサへ行った事は無駄じゃ無かったわ!サマンオサの人々を救う事も出来たし……でも私が言いたいのは、幽霊船探しが無用だと言ってるの!」
まだ言うか小娘!
「いいえ、無用な事などありませんわ!幽霊船を探索すれば、また新たな情報などが入手出来るに違い有りません!」
「憶測じゃない!」
馬鹿め!私は知っているのだよ!
「断言しますわ!幽霊船を探索した後、私とアルル様は今と同じ様な会話をする事になりますわ!」
しかし『知っている』等とは言えず、無意味に口論だけが続いて行く。
ウルフもお兄様も、「まぁまぁ」とか「落ち着いて」とか言って宥めようとしてますわ。
ここは実は年上である私が一歩引いて、状況を落ち着かせましょうかねぇ…
「分か「アルル落ち着いてよ。今回は偶然良い方向へ進んだのだから、そんなに怒らなくても良いんじゃない?大人として、お子様の我が儘に付き合ってあげようよ!」
なぬ!?
おいチェリー坊主…今なんつったコラ!
「この「はぁ?『大人』だぁ~?……童貞と処女が何大人ぶってんだ!?」
私の文句を遮って、マイダーリンが額に青筋立てて反論してくれました。
「マリーの言う通りに進路を取れば、これまでもこれからも間違うことなくバラモスの下へと近付いていくんだよ!碌に情報収集も出来ない勇者様は、黙ってエキスパートに任せておきな!」
おぉ、すごい!
これは愛のなせる業なのかしら?
私とアルル様の口喧嘩だったのが、何時の間にやら互いの彼氏同士の喧嘩に発展しました。
頑張れーウルフ!
そんな童貞野郎に負けないで!
絶倫パワーを見せてやれー!
さてさて…
気が付けば小一時間程経過し、口論から取っ組み合いに移行しそうになった頃、船倉の方からお父様とお母様が寄り添って現れ、マイダーリン達の側に近付いてきました。
そして…
「止めろ馬鹿ガキ共が!」
と、2人の頭に勢い良く拳骨を落とし、喧嘩の仲裁を始めました。
「「いってぇ~!」」
見た目も痛そうで、思わず目を背けた所、お母様が私を船室へと誘い連れて行く。
はて…一体何用でしょうか?
離婚するので、私の親権をお母様が取得し、連れて逃げようとでもしているのかしら?
う~ん…
ウルフの事も気になるし、後にしてほしいのだけど…無理そうです。
お父様とお母様が使用する船室まで連れてこられ、何やら真面目な表情で私を見つめるお母様…
なんか説教が始まりそう…
年上のアルル様に対して、失礼な物言いをした事にお怒りなのかしら?
それとも彼氏の喧嘩を止めようともしない事へのご立腹かしら?
だがしかし、私の予想は裏切られた。
「リュカから…お父さんから聞いたわ。貴女…転生者なんでしょ!?」
「!?」
突然の事で私は言葉を失った。
お父さんから聞いた!?
つまりお父さんは私が転生者である事に気が付いている!?
そんな馬鹿な!
しかもその事をお母さんに話したという事は、自分も転生者である事を告げたと言うの?
あ、ありえないわ………
「マリー…私もお父さんも、貴女が転生者だからって今までの接し方を変えるつもりはないのよ。貴女の心が以前は別人だったとしても、今の貴女は私達の娘なのだから…」
ど、どうしよう…
お母さんは間違いなく私が転生者である事を理解している。
でも普通あり得なくない?
転生という事を理解するのも、その人物を実の娘と認めるのも…
「お…お母さんは、お父さんが転生者だと知っても何とも思わないんですか?」
「………正直言えば驚いたわよ。ついさっき初めて告白されて驚いたわ…」
「さっきって…今まで騙されてきたと思わないんですか!?」
「騙された?何を言ってるの…リュカが転生者であろうと、元々あの様な人物で在ろうと、結論は同じでしょう?私が愛した男とは、あのリュカなのよ…世界最強のトラブルメーカー、リュカって男なのよ」
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