DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)
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探してまぁ~す!
「英雄リュカとその一行よ…此度の事、誠に感謝する!」
サマンオサの国中に、悪政を行っていたのは偽者モンスターで、その偽者を倒しちゃったと言う事が瞬時に広まった翌日…
通常時であれば、謁見の間としては使用しないであろう兵士達の食堂を、仮の謁見の間としているお城で、本物のサマンオサ王に謝意の言葉を述べられる。
「やめろ!『英雄』とか呼ぶな気色悪い!それに勘違いするなよ…別にお前の為にサマンオサを救ったわけでは無いからな!フィービー達を助けたかったんだ…王族というのは、皆が自分の事を全力で救うと勝手に信じていやがる!」
でも全力で不敬罪を犯すのは私のお父様…
だが、誰も不敬罪と唱える者は居ないし、青筋を立てて怒る家臣も存在しない。
ビックリな事に私のお父様は、この国では神様と並ぶ程の存在へとのし上がっているのだ。
「うむ、リュカ殿…それは重々承知している…だが、この国がリュカ殿のお陰で救われた事実に変わりなかろう?ワシはその事に感謝をしているのだ」
むぅ…ボストロールにトドメを刺したのは私なのに…でも、お城を半分フッ飛ばしちゃったのも私だから、あまり大声で自慢できない…
「う~ん…まぁ分かったけど…でも僕に感謝するよりも、虐げられてきた国民の為に、全力を尽くしてほしい!…城を壊しておいて言うのも何だけど…修理する金があるなら、国民に回してよ!」
ぐっ…お城を壊した事は話題にしないでほしい…
「あぁ、勿論そうするつもりじゃ!…とは言え、ワシからリュカ殿に、何かお礼をしたのだが…何かあるかな?」
うんうん…当然よね!
お城を壊したのは不可抗力なのだから…
それに本来の目的は『変化の杖』であって、この国の救済力には関係ないしね。
「えー!?別に無いなぁ…」
無くねぇーよ!
「お父様…」
ダメダメ…
杖がないとイベントが進まなくなる!!
私はお父様のマントを引っ張り、力の限り可愛く縋った。
「何、マリー?…お前、お城壊しといて何かお強請りするつもり?」
うぅ…一緒にフッ飛ばしかけた事を根に持っているのかしら…
「う゛…お、お父様はサマンオサに来た目的をお忘れですの!?」
普段だったら流石に遠慮しちゃいますけど、今回は退く訳にはまいりませんのよ!
「何じゃ?何かあるのなら言うてくれ!…城の事を気にしてるのは、お主等だけだぞ!」
違うわ…私は大して気にしてない!
「は~い!変化の杖をくださいな!」
「あぁ!そう言えば、そんな当初の目的もあったねぇ……この国酷すぎて、キレイに忘れてたよ!」
このヤロウ、忘れてただけかよ!
「い、言い返せんが酷い言われ様じゃのう…」
確かに…
「しかし困ったのぉ…」
「何だ!?『それはダメー!』とか言うのか、この野郎!?」
そうよ。
『ソレはダメー!』とか抜かしたら、ぶっ飛ばすわよ!
「いやいや…そんな事は言わんよ…譲れる物があるのなら、何だって譲りたい気持ちなんじゃから…」
「じゃぁ何だよぉ!」
そうよ、何よ!
「うむ…変化の杖はな…ワシの偽者が携帯しておったのだ…」
「………え?」
えっと………つまり?
「つまりな…城と一緒に吹っ飛んだと言う事じゃよ!………まぁマジックアイテムじゃし、壊れてはおらんと思うが…何処に吹っ飛んだのやら………?」
お父様以下、皆さんの視線が私に集中する…
晴れ渡る青空の下、お父様の美しい歌声が響き渡る。
曲目は『夢の中へ』…
“捜し物は何?”的な歌詞が特徴の歌だ。
はい。捜し物は『変化の杖』…
“見つけにくい物?”と聞かれれば…
はい。私の所為で見つけにくくなってしまいました!!
はい。“夢の中へ…”というか、現実逃避をしたい気持ちでいっぱいです!
「おい、歌ってねーで旦那も探すの手伝えよ!」
「そうだよ!アンタの娘が元凶だろ!」
カンダタさんとモニカさんが、汗だくになりながら歌っている最年長者にクレームを付ける。
「うぅ…ごめんなさい…私の所為で本当にごめんなさい…」
私は茂みなどを探しながら、マジ泣きで皆さんに謝罪する。
まだフラつくウルフを宿屋に残し、ハツキさんを看病に付けているので、『変化の杖』探しは7人で行っている…その内の2人から、探し始めて3時間でクレーム発生しました。
「ふざけんなコラー!僕の娘を泣かせるんじゃねー!謝れバカップル!」
いえ…謝罪の必要はございません。
お二人は一生懸命に探していただいております。
むしろ歌う事しかしていない貴方にこそ、文句を言っていただいても良いですから、探すのを手伝ってほしいです。
「あ~…見つかんね!もう諦めようよ」
探し始めて3時間で、同じ台詞を7回も言ってくる我が父…
「うぅ……私一人でさがしますぅ~…皆さんは宿屋に戻ってくつろいでいてください…」
こんな針のむしろ状態で捜し物をするくらいなら、何日かかろうとも一人きりで探した方が気分的に楽だ!
「マリー…私達は大丈夫だから、一緒に探しましょ。…ね、リュカも探してくれるでしょう?」
「モチロンサ!ビアンカに言われるまでもなく、可愛い娘の為ならばドンナコトデモ!」
最初の5分くらいだけ、真面目に探していたお父様が、お母様に言われ嘘くさい台詞で探すのを再開する…そして5分くらい経つと、また歌い始めるのだ。
それから直ぐに、お城の兵士(善良なる方々)や、フィービー達(今回お世話になった孤児達)が杖探しに加わってくれ、3日後に発見する事が出来た。
因みに見つけたのは鼻歌交じりのお父様です…
後書き
美味しい所は総取りの男…
ずるいよね。
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