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双子星

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第三章

「斥候は常に八方に出して警戒を怠るな」
「奇襲ですか」
「それも考えられるからこそ」
「堅固な城や陣には奇襲だ」
 つまり相手の意表を衝くことが重要だというのだ。
「それを防ぐ為にな」
「全ては国の為」
「そういうことだ」
 彼はあくまで守りに徹し動かなかった、そうして百万の敵の足止めをしていた。そしてその大軍に対しては。
 ゴモラは特殊部隊を率いてだった、敵の後方に潜入し。
 補給路を進む補給部隊を襲った、それに。
 補給基地も襲いだ、次々と破壊し燃やしていった。その中でだ。
 ゴモラは部下達にだ、燃え盛る補給基地を見つつ言った。
「こうしてだ」
「敵の補給基地を襲いですね」
「一つずつ潰していくのですね」
「軍は補給なくして戦えない」
 このことを言うのだった。
「だからだ」
「こうしてですね」
「敵の補給路も補給基地も壊し」
「敵の補給を脅かしてですね」
「敵を弱らせますか」
「そしてだ」
 ただ補給路の破壊を行うだけではなかった、さらにだった。
「敵の士気が補給を脅かし弱まったところでな」
「敵将を襲いますか」
「そして参謀を」
「士気が弱まれば警戒も弱まる」
 必然的にだ、そうなるからだというのだ。
「だからだ」
「その時にですね」
「敵陣に潜入し」
「そのうえで敵将の命を奪う」
「参謀達も」
「そうだ、敵の頭を潰すのだ」
 まさにだ、上層部をというのだ。
「それが無理なら敵の本国に潜入し敵将や参謀の悪評を流し」
「それにより更迭させてですね」
「無能な人物を送り込ませるのですね」
「今の敵軍の将帥はあの国の中でも名将知将揃いだ」
 伊達に百万の大軍を率い敵国に攻め込んでいる訳ではない、それなり以上の将帥達なのだ。84
「彼等に率いさせては危うい」
「だから暗殺が出来ぬのなら」
「その時はですか」
「彼等の悪評を流し更迭させ」
「そしてですね」
「無能な将帥のよい評判を流させる」
 そうしてというのだ。
「彼等に軍を率いてもらう」
「そうすればですね」
「我等は勝てますね」
「無能な者が率いてくれれば」
「その時は」
「そうだ、まずはその状況にする」
 補給を脅かすだけでなく、というのだ。
「いいな」
「はい、わかりました」
「それでは敵の本国にも工作員を送りましょう」
「そして情報工作も行い」
「そのうえで」
「敵の侵攻を防ぐ」
 そして実際にだった、ゴモラは暗殺の隙を伺いつつだった。
 敵将、参謀達の悪評を流していった、すると。
 敵の本国はその噂を信じ指揮官や参謀達を交代させた、王は宮殿においてその情報を聞いて周りの者達に確かな声で言った。
「勝ったぞ、この戦い」
「これで、ですか」
「我等は救われたのですか」
「今度来た敵将も参謀達も無能者ばかりだ」
 このことをだ、王も知っているのだ。
「それに補給路が破壊されているからな」
「敵の補給は弱まっている」
「食料も武器もですか」
「餓えてはいない様だが満足ではない」
 それで、というのだ。 
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