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双子星

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第四章

「士気にも影響が出ている」
「そして率いるのは無能な将帥達ですか」
「これだけの条件が揃えば」
「勝てる、ソドム将軍ならな」
 まさにだ、彼ならというのだ。
「敗れる筈がない」
「では後は、ですね」
「将軍のご活躍ですね」
「余はここで待つ」
 王は悠然と座って言った。
「吉報をな」
「我が軍が勝つという報を」
「ソドム将軍の勝利をですね」
「そうだ、待つ」
 こう言ってだった、王はそれを待つのだった。そして戦場では。
 ソドムは部下達から敵将及び参謀達の交代とそれで来た者達のことを聞いてそのうえでこう言ったのだった。
「勝てるな」
「敵軍にですか」
「勝てますか」
「敵は補給路を傷つけられ食料も武器も不足している」
 餓えてはいないにしてもだ。
「それで士気が落ちている」
「それに加えて、ですね」
「今度来た将と参謀達は」
「無能な者達ばかりだ、既に警戒も緩んでいる」 
 その士気の低下によってだ。
「だからだ、ここはだ」
「どうされますか、それで」
「ここは」
「夜だ」 
 ソドムは部下達に言った。
「夜に奇襲を仕掛ける、全軍でな」
「そして、ですね」
「勝つのですね」
「そして特殊部隊の方にも使者を送る」
 ゴモラと彼が率いる部隊にもというのだ。
「我々が攻撃を仕掛けそして撤退する敵軍にさらにだ」
「奇襲をですね」
「仕掛けてもらいたいと」
「罠なりも置いてな」
 そうしたこともして、というのだ。
「徹底的に打ち破ってもらう」
「百万の大軍を」
「ここで」
「そうだ、徹底的に叩きのめす」 
 そうする為にというのだ。
「ここはだ」
「特殊部隊にも連絡を取り」
「歩調を合わせて攻めるのですね」
「そうだ、まだ攻める」
 こう言ってだ、そのうえでだった。
 ソドムはゴモラとも連絡を取り合いそうしてだった、敵軍の士気がさらに緩んだその夜にだった。全軍を挙げて。
 一気に攻めた、それも大きな音を立ててだ。
 その音を聞いてだ、腹が減り疲れも感じうとうととしていた敵軍の将兵達は慌てて飛び起きた、そして口々に言った。
「敵襲か!?」
「夜襲か」
「武器を取れ、武器を」
「そして戦わねば」
 こう言って起きるがだ、腹が減りしかもその武器も足りない。尚且つ彼等にはもうやる気がなかった。それでだった。
 ソドムが率いる軍勢に攻められるがままだった、その中で敵将もだった。
 慌てて起きたが報告を聞いてだ、こう言うだけだった。
「馬鹿な、攻めて来る筈がない」
「し、しかしです」
「敵軍は来ました」
 参謀達が「彼に言う。
「二十万の軍勢ですが」
「今まさに」
「こちらの兵は百万だぞ」
 敵将は寝ている時に脱いでいた服を何とか着てそのうえで言った。 
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