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双子星

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第二章

「対する我等は二十万」
「とてもですね」
「数では敵いませんね」
「そうだ、だからだ」
 それで、というのだった。王もまた。
「そなた達二人に命じる」
「戦いそして勝てと」
「その様に」
「そうだ、ソドム将軍はだ」
 まず兄である彼に言った。
「その二十万の軍を率いてだ」
「そうしてですね」
「迎え撃て」
 その百万の大軍をというのだ。
「そして防ぐのだ」
「わかりました」
「勝つことが最善だが」
 しかし、というのだった。王は。
「五倍の相手だ、勝つことは容易ではない」
「だからですか」
「領内に攻め込まれずな」
 そして、というのだ。
「自国に戻ってもらえばいい」
「つまり国土、国民を守ることを念頭に置けと」
「その通りだ、頼めるか」
「ではその様に」
 ソドムは謹厳な物腰で王に応えた、そして王はその彼と話した後で今度はゴモラに対しても言った。
「そしてだ」
「はい、私もですね」
「そなたにも働いてもらう」
「その敵軍の後方の攪乱にですね」
「そして敵将や参謀の暗殺をだ」
 それをして、というのだ。
「行ってくれるか」
「そうして敵軍を混乱させて」
「弱体化させるのだ」
「幾ら大軍でも優れた将帥がいなければ烏合の衆だ」
 王はこのこともゴモラに対して言った。
「だからだ」
「はい、それでは」
「そなた達はそれぞれの務めで戦ってもらう」
 そして侵攻を防いでもらうというのだった、兄弟は王のその言葉に応え。
 ソドムは二十万の軍を率いて出陣し敵軍の前に地の利を生かした布陣を行ったうえで対峙した、しかし彼はそれ以上は動かなかった。
 そして幕僚達にだ、確かな声で言った。
「敵は多い、だからだ」
「ここは攻めずにですね」
「守りに専念するのですね」
「補給路は確保し武器もある」
 こうしたことは念頭に置き万全にしているのだ。
「そしてここにいればな」
「百万の軍勢でもですな」
「対することが出来る」
「だからこそ今は」
「迂闊に攻めないのですね」
「隙を見せれば攻めるがな」 
 しかしというのだ、それでも。
「全軍に命じる、守れ」
「攻めずに」
「そうして」
「私の命に従わない者は死罪だ」
 軍規軍律も徹底させるのだった。
「だからだ」
「はい、それでは」
「ここで守りに徹し」
「敵を防ぐのですね」
「今は」
「そういうことだ、陣も固めた」
 敵に対して万全の防御を敷いている、だから敵も五倍の兵を擁しながらも攻めては来なかった。挑発はするがそれに乗るソドムではない。 
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