FAIRY TAIL 天使の軌道
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第2話――恐怖は突然に
数週間のうちに新たに3人コハク達に仲間ができた。
玉ねぎのような髪型をしたショウにおかっぱヘアーのミリアーナに体が大きく前髪を中央で分けているシモン。
そして今日その3人を含めたコハク達7人は、島からの脱出を試み――――
――――捕まった。
所詮子供が考え、実行した脱出劇を大人に看破されないわけもなく、あっさりと捕まってしまった。
逃げるために作っておいた横穴を抜けた先に現れたのは下種びた笑みを浮かべながら立ち塞がる十数人の大人達。
そのなかでも位が高いのか、尊大な態度をとっている細身の男と肥満体型の男。
その二人のうち怒りっぽいのか、肥満体型の男が地面に鞭をうちつけ、怒鳴った。
「そう簡単に逃げ出せると思ったか!!!
ガキどもがあ!!!」
「ひっ、ひぃい」
ショウが悲鳴をあげ
「くっ」
ウォーリーが悔しげに呻き
「うう」
エルザは恐怖で目を瞑り、両手で耳を覆った。
ミリアーナはただ大人達を見据え、コハクは目に涙を溜めた。
ジェラールとショウは大人達を睨み付ける。
「一刻も早くRシステムを完成させなきゃならねえこの時に!!」
苛立ちをぶつけるが如く再び地面に鞭をうちつけた。
「まぁ、待て……
これ以上の建立の遅れはマズイ。
本来なら全員懲罰房送りなんだがな。今回に限り一人だけとする。
脱走計画の立案者はだれだ。
懲罰房へはそいつに行ってもらう。
やさしいだろ?オレたちは。
ひひひ……」
下種びた笑みを浮かべ今度は細身の大人が話しかけてくる。
懲罰房。
つまりは脱走の罰として拷問を受けるところ。
その恐怖は体験者から痛いほど語られる。
その体で。
細身の大人の話を聞いて涙を流し、鼻水を流し、ただガクガクと震える子供が一人。
それは立案者のショウだった。
全員が押し黙るその中でジェラールが
「オレだ」
と言い、スッと立ち上がりそう告げた。
「オレが計画を立案し指揮し――」「ちっ、違う!」
ただ淡々と言うジェラールの言葉を遮ったのはコハクだった。
泣いてしまうほど恐かった。
けれどジェラールが、仲間が連れていかれる方がもっと恐ろしく怖い。
だから、コハクは立ち上がった。
「ぼ、僕が考えました。
ジェラールは僕を庇っただけです」
「コハク!オレは庇ってない。オレがやったんだ!」
コハクに批難の声をあげ、ズッと一歩前に踏み出した。
「ほう」
ジロリと二人をみて、そして
「この女だな」
エルザの前にしゃがみそう言いはなった。
「な!!!」
まさかのことに驚愕に顔を染めるエルザ、コハク、ジェラール、シモンの四人。
何かの間違いである、と四人は思ったが
「つれてけ」
男は無情にも言いはなった。
「僕が!僕がやったんだ!エルザは違うよ!!」
「オレだ!オレが立案者だ!!!エルザは違う!!!」
コハクとジェラールは叫ぶがエルザは引っ張られて行く。
「わ……私は……大丈夫…………ぜんぜん平気」
エルザは気丈にもそう言って皆を安心させようと、心配させまいと自分は大丈夫であると伝えようとしたが、体が恐怖で震えていることが誰から見ても明らかだった。
「ジェラールが言ってくれたもん。
ぜんぜんこわくないんだよ。
それにコハクがいってくれたとおり笑顔が一番だもん」
無理矢理、恐怖に歪む顔を笑みに変えた。
その笑みは子供がするには歪で異様だった。
『笑顔が一番』
これはエルザがコハクにどうしてそんなにも笑っていられるのか、と問うた時に聞いた言葉だ。
それを訊かれた時コハクはポカンとした顔をした。
まるで質問の意図がわからなかったかのように。
そしてう~んと唸ってから言った。
「だって、笑顔が一番だから。
皆の笑顔が大好きだから。
ジェラールの笑顔も、ロブおじいちゃんの笑顔もウォーリーやショウやシモンやミリアーナ」
そこで一度言葉を切り
「それにエルザの笑顔も」
だから、僕は笑うんだと。
皆に笑顔になってもらうために。
その言葉にエルザは少し顔を染めた。。
だから今も笑った。
皆を明るくさせようと。
皆に笑顔になってもらうために。
しかし、コハクは違うと思った。
今は笑わないでくれと。
ただ怖いと言って助けてと言って欲しかった。
だってコハクが好きな笑顔はこんなにも辛そうな笑顔ではないのだから。
コハクが見たい笑顔は嬉しい時や楽しい時に見せる笑顔なのだから。
だから、コハクは拳を握り締めた。
「うああああぁぁぁぁぁ!!!」
「「コハク!?」」
叫び声をあげ、コハクは全力で細身の男へと殴りかかった。
その行為にジェラールとエルザは驚きの声をあげた。
まさかあの優しいコハクがここまでするとは思わなかったのだ。
コハクの思いの籠った拳は
振るわれた拳は
空を切った。
「うおっと、危ねぇ。
こいつもつれてけ。
いや、こいつは特別懲罰房送りだ」
あっさりと避けられ大人達に取り押さえられてしまう。
「はなして!はなして!!はなしてええぇぇ!!!」
腹の底から叫び、持てる力の限り必死に抵抗するも、大人と子供の体格差のまえに、縄で縛られ、身動きすらとれなくされてしまった。
「手間かけさせんじゃねぇよ!」
ドカッと細身の男に顔面を思いっきり殴られ、縛られた体では踏ん張ることすらできず、鼻や口から血を撒き散らしながら吹き飛ばされ、地面に頭をうちつけ、意識を失ってしまった。
「「コハク―――!!!」」
ジェラールとエルザの悲痛な悲鳴を最後に聞いて
後書き
初めまして。
南の星です!
さて、今回というか前回からヒロイン候補の一人が分かったのではと思います。
まぁ、何を隠そうエルザさんです!!
まぁ、第1話からあと数話はエルザをヒロインにするための章ですからね。
エルザ様をヒロインにするには奴隷時代(?)も書かねばならぬ、と思いまして。
じゃなければジェラールさんから寝とれませんヨ。
でも、エルザ様って意外に掴みづらいんですよね。
キャラが。
恥ずかしげもなくナツ達と風呂に入ろうとする、一種の男らしさがあったかと思えば、ジェラールとの絡みでは乙女らしさもあったりと。
むむむ。さじ加減が難しい……
まぁ、それでも好きなキャラですので。
それよりもー
さぁてもう一人のヒロイン候補は誰かなぁ?
というか、どっち√にするか迷ってます。
もういっそのことハーレム√という暴挙に出てしまおうかと悩む今日この頃。
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