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剣の世界で拳を振るう

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GGO
  俺、同類と出会います

さて、ALOの事件から半年ほど経過した。
SAOから考えればもうすぐ一年である今日この頃。

「はい、あーん」「あーん」

「何が楽しくて貴様らのいちゃラブを見つめていなくてはならん!」

キリト宅。
そこには俺、和人、明日菜がおり、俺がいるのにも関わらず、目の前でいちゃいちゃし始めやがったでござりますよ………。

「そう言うのは公園とかの独り身どもに見せつけてくれませんかねぇ!?」

「そ、そんなこと……」

「恥ずかしくて出来るわけないだろ」

「俺の前なら良いって言うのかこらぁ!」

明日菜はモジモジと、和人はキリッと発言。
俺は空気に溶け込まされていた様子。正にいないもの扱いである。
俺一応客なんだけどね……。

「んで?今日呼んだのは何なんだよ?」

「あぁ…実は……」

和人は急に深刻そうな顔になる。
この顔は相当大変な事柄を抱えているに違いないと俺は一人思った。

「実は、直葉に男が出来たみたいなんだ!」

「……………」

「……………」

「……………」

「「「…………………………」」」

静寂。
今更過ぎる和人の言葉に俺は唖然としてしまった。
俺が何も言わないためなのか、和人と明日菜も黙ったままである。

「………は?」

「だから、直葉に男が……」

「そうじゃない!そうじゃなくて!
え?何が、は?今更?」

「今更……って、どう言うことだよ?」

「いやいや、直葉に彼氏ってもう半年ほど前の話だろ。
つーか何?知らなかったわけ?一緒にいたのに?全く?」

だとしたら神経を疑うぞ。
俺だってそれを知ったのは偶然みたいな物だったけど、それでも半年も一緒に居れば普通気づくだろ。

「だ、誰だ!誰なんだその男は!レコンか!そうなのか拳士!」

和人は俺の胸ぐらを掴んで揺すってくる。
こいつ……目が据わってやがる………。

「お、ち、つけ!」

俺は胸ぐらの手を引き剥がし、和人を元の位置へと押し戻した。

「それで、直葉に男が出来たからと言って何かあるのか?」

「それが……今日会わなきゃいけなくなったんだ」

「そりゃまた直球だな。結婚の挨拶か?」

「馬鹿を言うなっ!スグが結婚!?まだ早い!少なくとも二十歳になるまではお兄ちゃん許さないぞ!」

何なのこのシスコンぶりは…。俺、軽く引くよ?

「キリト君落ち着いて…ね?
それでね、ケン君。直葉ちゃんがもうすぐここに来るんだけど…私たちじゃ何したら良いか分からないの…。
だから何か良い案はないかなぁって」

「そもそも何で明日菜まで出迎えするんだよ。
ぶっちゃけて言えば関係なくないか?」

「それが…キリト君に頼まれちゃって………」

もうホント爆発しろよこの野郎…。
はぁ…えーっと?直葉が彼氏連れて帰ってくるからそれの出迎えを手伝えって事で良いんだよな?
でも待てよ?直葉の彼氏って確かイレギュラーな分類に入る人物だよな…。
となればもてなしはともかくとして会話事態は進められるんじゃないのか?

――――ぞ、入って。

――――まします…。

「嘘!もうこんな時間?!キリト君どうしよ!」

「くっ!まずはソードスキルで……!」

「お前は何をしでかすつもりだ馬鹿野郎」

「何でお前は冷静なんだ!もっと焦れよ!」

「ばっか、焦ったら出来るものも出来なくなるだろ。
まずはタイムマシンを探すんだ」

「ケン君も落ち着いて!」

玄関口から直葉と男の声が聞こえ、それを耳にした俺達が慌てふためくように動き出した。
座蒲団OK!テーブル綺麗!室内温度完璧!
おい明日菜!お茶の用意だ!
キリトは寝癖を直せ!俺は時間を稼いでおく!

「ただい「やーぁ直葉ぁ!」っひ!?ど、どうしたんですか拳士さん!?」

「突然で悪いんだが彼氏君を借りても良いかな?良いよね答えは聞いてない!」

俺は扉を開けた直葉を素通りし、真っ先にその後ろの男の腕を掴んで裏庭へと連れていった。
あとに残された直葉はただ、ポカンとしているだけであった。










「さ、さて。取り合えず俺の名前は片桐拳士。
此処、桐ヶ谷家のお隣さんで今日は長男の和人にお呼ばれしていた」

「あ、俺は天海優一って言います。
一応スグの彼氏やってます」

桐ヶ谷家の裏庭にて、直葉の彼氏、天海優一と対面していた。
身長は俺とあまり変わらない所から175㎝辺りと推測。
髪はブラウンでやや長め。所々跳ねており、遠目に見れば和人に似てなくもない。

「急で悪いが、聞きたいことがある」

俺は天海を睨み付ける形で言った。
天海は若干ながら警戒する。バレないようにゆっくりと腰を落としている。

「お前は神を信じるか?」

「――――yes」

まずひとつ目の質問はyesだった。
これは転生者であるかどうかの質問である。
しかし、この一問だけでは判断は付けられない。
なので次の質問へと移すことにする。

「ならば、次の俺の言葉に正しい言葉を繋げてみてくれ」

「…わかった」

よし……では………っ!

「おいあんた!ふざけたこと言ってんじゃ……!」

「やめろ真ッちゃん!!」

「そんな装備で大丈夫か?」

「一番良い装備で頼む」

「撃って良いのは?」

「撃たれる覚悟のある奴だけだ」

「カレーとは、リンゴとハチミツが恋をして出来たらしい」

「マジでっ!?」

これはもう確定ではないだろうか?
いや!もう少し続けて見よう…。

「俺を愛していると…言ってみろ!」

「愛します!一生何処までも!ついて行……き……ま………」

ん?何故止める?何処向いてんだよお前……え?後ろ?
何なんだよいった………い?

「アイエエエ!?スグハサン!スグハサンナンデ!?」

天海の言葉が止まり、更には俺の後ろに目線を送っている。
俺か振り返るとそこには真っ黒なオーラを放出した直葉が立っていた。

「優一君……今、愛しますって……」

「ち、違っ!これは…」

ヤバい。これは修羅場と言うやつに違いない。
たが、相手は俺、男だ。
このままでは良からぬ誤解が生まれ俺はゲイのレッテルを張られること間違いない。
そんなの嫌すぎる!

「これはネタなんだ!最近流行りの『僕と賃拳の伝承』って言うアニメのネタでだなぁ!」

「そうそう!これは仲間が出来た事の喜びが大きくて生まれてしまった誤解なんだよ!」

「ふぅん々…そのアニメ……何時やってるの?」

「「え……」」

ヤバい……このアニメは前世の世界で放送されていたもの……。
この世界では見たことすらない!

「じ、実はもう完結しちゃって見れないんだよ!」

「あーうん!そうなんだ!いやぁ、残念だなぁ!」

「動画投稿に出されてるよね?後で調べて見よう…」

「「嘘つきましたぁ!」」

もうダメだ。打つ手がない!
最悪の場合はあの禁じ手、”忘振破衝撃”を使うしか……!

「……そうだよね。
うん、分かってた……。私に彼氏が出来るなんて上手く行きすぎてるって、そう思ってた……」

「いや、だからこれは…」

「いいの!そう言う趣味を持った人が居るってことは知ってるんだから!
お母さんに教えてもらったし!」

何教えてんだよ桐ヶ谷母ぁ!?
教育上よろしくない展開を産み出しているんだぞぉ!?

「だがらもういいの!さよ「忘振破衝撃ぃ!」――――」

「直葉ぁぁぁぁぁ!!」

――――ああ、なんと非常な世の中なのだろうか。
そう思わずにはいられない俺だった…。

「直葉ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 
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