美しき異形達
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第三十四話 湖のほとりでその十
「飲むお酒はね」
「ビールが一番多いんだな」
「そうなの、他にも色々飲むけれど」
それでもメインで飲む酒はというのだ。
「ビールが一番よ」
「そうなんだな」
「とはいってもビールと一口に言っても」
ここでこうも言った向日葵だった。
「一杯種類があるのよね」
「ああ、そういえばお店言ったら何種類もあるよな」
「麒麟も何でもね」
「幾つもあるよな」
「だからそれぞれ飲み比べることもね」
それもというのだ。
「面白いわよ」
「根っからのビール好きなんだな」
「うん、そうなの」
実際にというのだ。
「とにかくビール好きなのよ」
「だから今もか」
「飲んでるのよ」
「成程な、あたしもビール好きだしな」
実際によく飲んでいる、今は焼酎だが。
「いいよな、そっちも」
「そうよね」
「けれど今はな」
「焼酎なのね」
「これ飲んでおくよ」
こう言いながらだった、薊は上機嫌で焼酎を飲みすき焼きを食べていく。そしてその楽しい時間が終わってからだった。
薊はメンバーにだ、こう言ったのだった。
「ちょっと外出ないか?」
「お外に?」
「夜の琵琶湖見ようぜ」
こう提案するのだった。
「これからな」
「夜の琵琶湖ね」
「何かさ」
ここでだ、窓の方を見てだった。薊は裕香に言うのだった。
「お月さんが奇麗だしさ」
「それで琵琶湖も見て」
「そう、お月さんも見たいって思ってさ」
それでだというのだ。
「誘いかけたんだけれどな」
「そうね、じゃあね」
裕香は薊の問いに少し考えてから述べた。
「今から行く?」
「それじゃあ」
「私達も」
菖蒲達も賛成する、こうしてだった。
七人は旅館を出て昼間に遊んだ琵琶湖のほとりを歩いた、今は水着ではないので泳がない。そのことについては。
菖蒲は冷静にだ、こう一同に言った。
「夜は泳がない方がいいわ」
「危ないからな」
「プールならいいけれど」
それでもだというのだ。
「海や湖で泳ぐことはね」
「何がいるか、あるか見えないからな」
「特に海はそうよ」
海で泳ぐことはというのだ。
「エイやゴンズイがいたら大変よ」
「そうそう、ゴンズイな」
ゴンズイと聞いてだ、薊は気付いた感じの顔になって言った。
「あれ滅茶苦茶危ないんだよ」
「お口のところに毒針があるのよね」
「あれ毒髭っていうのかな」
薊は少し首を傾げさせたうえで向日葵に話した。
「とにかくそこに当たったらな」
「痛いのよね」
「よく釣りしてる人が刺されるんだよ」
「ううん、ゴンズイって危ないのね」
「食っても美味くないらしいしさ」
薊はこのことも言うのだった。
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