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ドリトル先生と学園の動物達

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第二幕その五

「スポーツ以外でも汗をかくね」
「王子としては変わってるっていうのかな」
「うん、頭脳労働だけじゃないんだね」
「僕はそうだよ」
 にこりと笑ってです、王子は先生にこう答えました。
「僕の国は小さいしね」
「そのこともあってだね」
「王子でも自分から動かないと」
 身体を動かして働いて汗をかかないと、というのです。
「やっていけないからね」
「王子は先生に会われて変わられましたが」
 執事さんも先生に温厚な笑顔でお話します。
「日本に来られてです」
「さらに変わりましたね」
「左様です、そうなられました」
「日本にそうなる要素があるんだね」
「日本では会社の社長さんも掃除するじゃない」
 このことも言う王子でした。
「自分の靴は自分で磨いてね」
「そうそう、そこが違うね」
 先生も王子のそのお話に応えます。
「日本はね」
「立場のある人も自分でそうしたことをするから」
「王子もなんだ」
「自分で進んでする様になったんだ」
「お屋敷のお掃除もされています」
 自分からそうしているというのです。
「ご自身のお部屋も」
「気付いたらそうしているよ」
「お屋敷に使用人の人達がいてもだね」
「うん、出来る限りね」
「自分のことは自分でだね」
「しているよ」
 先生ににこりとしてお話するのでした。
「そうしてるよ」
「そこが本当に変わったね」
「自分のことは自分で」
 王子は笑顔で言いました。
「そうしているからね、だからね」
「今回のこともなんだ」
「うん、手伝わせてね」
 身体を動かすからというのです。
「出来ることなら何でもするから」
「わかったよ、じゃあ頼むよ」
「そういうことでね」
 こう笑顔でお話するのでした。
 そしてまず講義に出てでした、先生はその足で動物園に向かいました。すると日笠さんが出迎えてくれました。
「それでは」
「はい、今からですね」
「宜しくお願いします」
 先生に深々と頭を下げて言うのでした。
「動物達の検診を」
「歯をですね」
「そうです、昨日お話した通りに」
「わかりました、それでは」
 先生も頭を下げて応えます、そうしてでした。 
 先生はまずは爬虫類のコーナーに案内してもらいました、そうして鰐を見ました。鰐はナイルワニでした。
 鰐は一匹ではなく何匹も鰐のコーナーである濠の中にいます、先生はそこの中に入ろうとしますが日笠さんは驚いて先生に言いました。
「あの、濠の中は」
「入るとですね」
「危ないですよ」 
 鰐だからです、言うまでもなく。
「襲われでもしたら」
「いえ、大丈夫です」
 先生はその日笠さんに笑顔で応えます。
「僕は彼等の言葉がわかりますので」
「何を考えているかわかるからですか」
「今の彼等は多くは落ち着いていて」
 そして、というのです。
「何匹かは困っています」
「虫歯で、ですね」
「はい、ですから今の彼等はです」
「近寄ってもですか」
「大丈夫ですよ」
 穏やかな微笑みで日笠さんに言うのでした。 
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