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ドリトル先生と学園の動物達

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第二幕その六

「ご心配なく」
「それでは」
 いささか不安ですがそれでもでした、先生が仰るのならです。
 ここは先生にお任せすることにしました、とはいってもいざという時は救出出来る様に手筈は整えていました。
 先生は鰐達に怯えることなく彼等の中に入りました、そうして彼等の言葉で穏やかにこう言ったのでした。
「歯を診に来たよ」
「僕達の歯を?」
「診る為に来てくれたんだ」
「そうだよ、見たところ何匹かはね」
 鰐達のうちにです。
「本当に困っているね」
「痛いんだ」
 鰐のうちの一匹が困った顔で先生に答えました。
「実際にね」
「そうだろうね、それじゃあね」
「診てくれるんだね、先生が」
「おや、僕のことを知ってるのかな」
「この学園にいる生きものは皆先生のことを知ってるよ」
 鰐はこう先生に答えました。
「誰だってね」
「そうだったんだ」
「この動物園にも何回か来てくれているしね」
 鰐達も見ていたのです、動物園を楽しく見て回っている先生を。
「先生は僕達の言葉がわかるよね」
「そうだよ、だから君達とも今こうして話が出来るんだ」
「そうした人だからね」
「僕は有名なんだ」
「そうなんだ、皆知ってるよ」
「それは有り難いね」
 皆に名前と顔を知ってもらっている、そのことがと言う先生でした。
「検診もしやすいよ」
「皆先生のことを知っていてね」
 そして、というのです。
「どんな人かも知ってるからね」
「とてもいい人だってね」
「優しくて公平でね」
「僕達のこともよく考えてくれている」
「そうした人だってね」
 先生のそうした人柄が動物の皆にも知れ渡っているというのです。
「だからね」
「先生に診てもらえるのならね」
「僕達にしても有り難いよ」
「是非診て」
「そうして僕達の虫歯を治してね」
「わかったよ、それじゃあね」 
 先生も鰐達ににこりと笑って応えます、そうしてでした。 
 先生は皆の歯を診ました、するとです。
 実際に何匹かは虫歯になっていました、中にはかなり悪化しているものもあります。それで先生はその酷い虫歯の鰐にこう言いました。
「この歯はもうね」
「もうって?」
「抜くしかないね」
 それしか方法がないというのです。
「残念だけれどね」
「そうなんだ」
「まずは麻酔を打ってね」
 お口にです。
「そうして痛まない様にしてからね」
「僕の歯を抜くんだね」
「抜いてその後はね」
 それで終わりではなく、というのです。
「代わりの歯を入れるよ」
「代わりの?」
「そう、差し歯をね」
 それを抜いた歯の代わりに入れるというのです。
「そうすれば元の通りに噛めるからね」
「そうしてくれるんだ」
「そうだよ、それにしても実際にね」
 鰐達の歯の検診を終えてあらためてです、先生は首を傾げさせながらそのうえでこう言ったのでした。
「虫歯の鰐が多いね」
「うん、最近ね」
「妙に多いよ」
「僕達もそう思ってるよ」
「実際にね」
 鰐達もこう先生に答えます。 
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