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フリージング 新訳

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第9話 Accelerating Turn 4

 
前書き
あらやだ、最新話ですよ奥さん!
はい、つまらないですね。ですね。
今回、やっとカズトvsカンナヅキを書けました。最初の頃はもうフルボッコにする気だったんですけどね、読者の方からカンナヅキの過去を知り、そこまでフルボッコにはしませんでした。
それでは、どうぞ。 

 
カンナヅキ・ミヤビには、理解ができなかった。
どうして、この少年はフリージングを解除できた?
どうして、ボルトウェポンを使用している?
どうして……どうして、自分はあの少年に恐怖を抱いている⁉︎

「どうした?三下。」

ガシャリと、籠手が現れた右腕でグラディウスを構える。
両脚に力を込め、ドンッ!と言う音と共に走り出す!
その目には、何の躊躇いも写っていない。ただ単に、目の前の敵を排除する。
それしか見えていない。

だから、カンナヅキが、

ー殺らなきゃ、殺られる!

そう思っても、仕方ないだろう。

ダガーを何本も精製し、その剣先をカズトに向けて、全て発射する。
ズガガガガン!と、ダガーが何かとぶつかる音が響き渡り、土埃が舞う。
普通の人間が食らったら、重症どころの騒ぎでは済まない。当たりどころが悪ければ、即死だろう。

誰かが立っているはずがない。

だが、彼は立っていた。

平然と、何事もなかったかのように。

ダラりと、白銀の長剣を持ちながら、首をゴキリと鳴らす。

その足元には、発射したダガーの残骸が山のように落ちていた。

「終わりか?」

それじゃぁ、と言いながら、カズトは昨日と同じように右手に持ったグラディウスを左手のこうでなぞる。
その構えには、一切の無駄は無く、ただ敵を倒す為に、特化した剣の構えであった。

「俺の番だ。」

先ほど以上の速度で走り出す。カンナヅキも、ダガーを倍以上作り上げて応戦するが、そんなものは足止めにもなりはしない。

グラディウスで、一本残らず叩き落す。
右から来ようが、左から来ようが、後ろから、真上から、真正面から来ようが、負けない、負けるはずがない。姉からもらったこの剣技が、“たかがパンドラの武器程度”に敗れるわけがないのだ。

カンナヅキには、逃げ場などない。ここから逃げ出したとしても、リミッター共は信用できない。

ならば、戦うしかないのだ。

そうこう考えている内に、カズトはカンナヅキの眼前にまで、迫っている。

「ボウっとすんなよ。」

グラディウスを肩に担ぎ、まさに速度を乗せるように構え、横一文字に振り抜いた。

「ハァッ!」

パンドラモードになった、あのガネッサ・ローランドをも膝を吐かせた一撃だ。直撃すれば、タダでは済まないだろう。それはわかりきっている。

が、その一撃は空を斬った。

さて、ガネッサ・ローランドと、カンナヅキ・ミヤビの違いだが、学年と、ボルトウェポン、経験の他にだが、それはただ一つ。

「加速か…………」

アクセル。それがあるかないかでは、大きな差がある。
剣が届かない、という訳ではないが、届きにくい。

「面倒くさい…な!」

文句を言いながら、もう一度カズトは走り出す。今度は直線的なものではなく、ジグザグと捉える事が難しい動き。

しかも、速さは先ほどよりも上がっているようだった。
その証拠に、走っていった足元には、所々陥没しており、カズトの速度と破壊力を表しているようだった。

カンナヅキも、アクセルをできる限り使い、カズトから逃げようとする。
単純な速度なら、彼女の方が上だろう。
だが、速度だけではカズトから逃げ切ることはできない。

今の二人の関係性は、追う側と追われる側という物だ。当然、追う側に位置するのはカズトの方だ。
速度で少し劣るなら、五感を研ぎ澄ませ、敵の動きを予想していけばいい。
カズトには、カズハとの特訓によって、その技術が身についていた。

「捕まえたぞ。」

故に、カンナヅキが捕まるのは、もはや必然だった。彼女の右手首を、折れんばかりの握力の左手で掴む。
右手に握りしめたグラディウスは、バチリと、唸るように光る。

「死ぬな、よ!」

その一閃は、まるで夜空に光る雷光の様に、カンナヅキの体を横に切り裂いた!

ギャリリリリリリリン‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎

何かが割れる音と共に、カンナヅキはゴロゴロと転がりながら吹き飛ばされた。

だが、その体に傷は一つもない。
その代わりに、カズトからカンナヅキにかけての地面の彼方此方に金属破片が数多く散らばっている。

「へぇ、あんた凄いな。」

おそらく、カンナヅキはカズトの斬撃を無数のダガーを重ね合わせる事により、威力を軽減、さらに後方に加速することでダメージを限りなくゼロにしたのだろう。そんな技は、相当の実力ではないとできないはずだ。

右手でグラディウスを握り直し、切っ先をカンナヅキへと向けた。
それは、行くぞという合図。カズトの口元は、まるで野生の狼のように、獰猛な笑みを浮かべていた。

「あんた達、いつまでボサッとしてるの!早くフリージングをかけなさい‼︎」

彼女も、その笑みに危機感を感じたのか、取り巻きのリミッターに命令を出す。だが、フリージングどころか、返事すらも帰ってこない。

それに苛立ち、振り向いた。

「何をやってるの!はやく……!」

振り向かなければよかった。
気づくべきだったのだ。
カズトのフリージングが解けた時に。
もしかしたら、もう一人のフリージングも解けているのではないかと。

「……………」

無言の圧力、どころのものではない。
振り向いた先にいたのは、自分のリミッター達。だけではない。
そのリミッターは、カズトに投げ飛ばされた一人を除いて、彼女に叩き潰されていたのだから。

「サテライザー……先輩……」

カズトは、彼女の様子に唖然とする。
その美しい顔は、怒りにまみれ、殺気を纏っている。一瞬でも、彼はその姿に恐怖を覚えてしまった。

これが、接触禁止の女王なのだと。

そして、一方的な蹂躙が始まる。
カンナヅキの首を掴み、そのまま地面に押し倒す。抵抗をするが、そんなものは女王に通用しない。

拳を握り締め、それを叩きつける。ドゴンッ‼︎と鈍い音が響く。何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。

そして、トドメと言わんばかりに、サテライザーはノヴァブラッドを振り上げた。このままでは、彼女はカンナヅキを殺してしまうだろう。

だから、カズトは声を張り上げる。

「先輩、もう十分だ‼︎」

その声に反応したように、サテライザーの刃は止まった。
彼女の目が、カズトを捉える。
普通の人ならば、その眼光にたじろいでいただろうが、カズトはまっすぐサテライザーを見つめている。

「貴方のその力は、怒りに任せて使うものじゃないはずだ。」
「……………………」

二人の視線が交錯する。すると、だんだんサテライザーの眼光は薄らいでいき、優しそうな目になっていた。
きっと、分かり合えたのだろう。

「サテライザーさん、やめなさい!」

横槍が入らなければ。の話だが。

「っ……!」

サテライザーの眼光が復活し、カズトの背後にいる二人に向けられた。
カズトも、そちらを向くと、会長と副会長が立っていた。

サテライザーはカンナヅキの上から退き、此方に向かってくる。

「ま、待て‼︎」

カズトはグラディウスを消し、双方の間に入るが、サテライザーは止まる気配がない。
こういう時、頼りになるのが学園最強のシフォンなのだが………

「そ、その、校則で生徒同士の私闘は禁じられているので、できればやめていただけると……」

案の定、シフォンは副会長のティシーの後ろに隠れている。こう言っては何だが、情けない姿だ。




結局、この後、サテライザーは前回のように元ナンバーズに連れて行かれ、カズトは手当のため、ティシーとシフォンに連れて行かれた、

「はい、軽い打撲程度ですので、明日には治ったますよ。」
「そうですか…なんか、いつものすいません、ティシー先輩。」
「い、いえ!ほら、私副会長ですから!これくらいなら全然…」
「いや、でもここに来てから先輩にお礼とか言ってなかったし、なんだかんだで世話になってますから。」

カズトがそう言うと、ティシーはもじもじと人差し指を合わせ、目線をそらしていた。

「そ、そんなことは……」
「なにしてるんですか、ティシー?」

背後からの声に、二人はびくりと跳ね上がる。当然、後ろにいたのはシフォン生徒会長だった。
怖がりながらも、カズトは愛想笑いをする。

「ど、どうもです、会長。」
「ええ。ふふ。お邪魔でしたか?」

シフォンが、ニコニコ顏でからかってくるのを否定しようとしたが、カズトよりも先に否定したのはティシーだった。

「か、からかわないで下さい会長‼︎」
「あらあら、顔が赤いわよティシー?」

まるで漫才のようなやり取りだが、そこにこの二人の仲の良さが出ているのだろう。

「あ、あの……」

カズトがおずおずと、二人の間に入る。

「あらあら?どうしました、アオイ君」
「いえ、どうしたではなく、サテライザー先輩は?」

そう言うと、シフォンの顔が少し険しいものになる。

「彼女は、今独房で謹慎処分になっています。」
「な、なんで⁉︎」
「アオイ君。いい機会ですので説明しておきます。」

そして、シフォンは何時もの優しい声ではなく、厳しい、上官の声で言った。

「ゼネティックスの学年は、軍の階級と同等なんです。ここまで言えば、いみがはわかりますね?」

ゾクリと背筋に悪寒が走った。
ならば、サテライザーはどうなってしまうのだろう?
今のカズトには、それしか考えられなかった。

 
 

 
後書き
嘘はついてません。あくまでカズトにはです。
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新アンケート。パンドラモードは使うか否か。また、パンドラモードのアイディアを、どうか、想像力に乏しい作者に、どうかお力を‼︎ 
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