ひねくれヒーロー
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過去にも未来にも苦しむ必要はない
われわれは現在だけを耐え忍べばよい。過去にも未来にも苦しむ必要はない。
過去はもう存在しないし、未来はまだ存在していないのだから。
—アラン—
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過去にも未来にも苦しむ必要はない
◇◆◇コン◇◆◇
痛々しい通り名とやらがついていたのが発覚
そんなの嫌だと泣き叫べば、安心したかのように皆元気になったんだなと言って退室して行った
最後の最後まで砂忍たちにはその噂を否定してくれと頼み込んだ
・・・カンクロウあたりは分かってくれたみたいだが、実際に火を使うところを見ている我愛羅は、とてつもなく不満そうだった
だって・・・地獄って・・・業火って・・・
皆が退室して、オレ1人になった病室を眺める
恐らく大蛇丸はサスケではない、別の人間を器として転生したはずだ
病身の君麻呂がわざわざ、器であるサスケを迎えに来たのがその証拠
原作通り、次の転生まで三年程猶予がある
きっと、ナルトは自来也に弟子入りして、力をつけることになる
自来也も、ペインと組み稽古させるぐらい本気で修行を見ていた
暁がどう動くかは、まだ分からない
原作通り人柱力を集めるのか、集める時期は原作と同じなのか
情報があまりにも少なすぎる
また、暁だけではなく、他里の暗部への対抗策を練らなければならない
オレ1人でどうこう出来る問題か・・・
絶対に無理だ
早いとこ根の研修、修行を受けて暗殺対策をしなきゃならない
ねたみコンは修行のために里外に出たと、噂を流そうか
そうして”鶸茶”としてずっと裏で修行を続ける
噂が信じ込まれれば、多少暗部の襲来は少なくなるのではないか
どうすればいいんだろう
どうやればいいんだろう
思考の渦に巻き込まれて頭を抱える
「随分と悩んでいるな」
「・・・シナイ、先生」
缶のお茶を片手に、窓から入ってきた先生
扉から入ってきてください
「恐らく暁は三年程動かないな」
腕を組み、ベッドの隅に腰を下ろす
「・・・断言、できるんですか」
「うん、今のリーダーたる飛段と遭遇してな
そいつ自身が言ってたから大丈夫だろう」
・・・は?
いや・・・何で・・・?
「言っただろ、お前が他里から命を狙われているということを・・・
暁の奴らは、お前を狙った暗部を始末していた」
・・・暁にとって、オレは今すぐ死なれちゃ困る存在なわけか・・・
「木の葉周辺に侵入してきた暗部と交戦していた飛段と任務帰りに遭遇してな
・・・他のメンバーなら、偽情報かと思うんだが・・・
相手が飛段だからなぁ・・・」
オレも飛段の言葉ならすぐ信じるかも・・・
あいつ嘘とかつけなさそうだ
暁・・・原作と違って、シアワセな世界とやらを作るために活動してる邪神がいる
イタチと鬼鮫がナルトに接触したことから、尾獣集めは行われるのだろう
原作通りなところもあるし、違う部分も多い・・・
ペインが味方であることが、これからどう影響してくるのやら・・・
「二年で、暗部になれ
暗部になったら、また私の元へ戻ってこい」
唐突に呟かれた言葉
頭を両手で固定され、真っ直ぐ眼を合わす
「え・・・」
戸惑うオレを無視して告げる言葉達
「その時は、私の使える技術を全部教える
体術も、剣術も、雷遁も
お前は立派な下忍になった
次の中忍試験も、お前を推薦しておく
・・・待っている
お前が立派になって、六班に戻ってくる日を」
◇◆◇シナイ◆◇◆
病室を後にして、もう一度1人、呟く
「待っている」
待っている
そうして何時の日か、一緒に戦う日をいつまでも待っている
だから私を追いぬいて
お前たちの背中を見守らせてくれ
それが私の夢だから
もう一度だけ、夢を叶えさせて
それまで邪魔をするものはすべて排除しよう
火影岩を一望できる建物の屋上へ上がる
目をつむると今でも鮮明に思い出せる
まじらず一族棟梁として、千手一族の子供たちと会った時を
いつの間にか弟子になっていた初代の小さな手を
気がつけば追い越された背丈、大きな背中を
幼い二代目までもが弟子入りすると駄々をこねて、困らされたあの日のことを
直に滅びゆく一族、最後の棟梁として戦い続けたあの時代
いつの日か、木の葉へ根を下ろしてくれと乞われた日
私を除いた一族最後の老人の死を見届けて、独りぼっちになった
木の葉という家族になろうと、誘ってくれたのに
私は結局、独りを選んでしまった
まじらず一族
他の部族とは一切婚姻せず、近親同士でその血を保ってきた希有な一族
その代償は大きく、当時若者と呼べるのは私一人だった
もう一度転生して、”まじらず一族”ではない”まじらず”の家に生まれたけれど
今でも一族の掟を優先してしまう
あの子たちが遺した、木の葉の行く末が見たい
木の葉の忍になろうとする、あの子たちの将来が見たい
「だから——無粋な輩は消えてもらう」
背中に背負った竹刀に手をかける
どこの暗部だろうか
木々に隠れていた男を一閃、気絶させた
「———ッ!」
仲間が倒れたことで動揺が走る
すかさず追撃し、捕縛した
・・・イビキの所へ持っていかないとな
こんな所まで入り込んで来るとは・・・誰かの手引きがあったか
もう一度火影の顔岩を眺めた
「・・・大きく、なったね・・・」
里全体を見回すと、確かに命の息吹を感じた
守るべき、いや、守りたいと思う
そんな、里だ
・・・いつか、この景色も六班で見れるようになれば良い
成長した、六班で———
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それではこれから数話、閑話を入れつつ暗部見習い編に入ります
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