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Fate/magic girl-錬鉄の弓兵と魔法少女-

作者:セリカ
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無印編
  第三十九話 新たな一歩   ★

 アリシアの葬儀が終わった次の日からフェイトとプレシア、アルフは護送室に隔離されることになった。

 今回の事件の首謀者として護送室に入れないというのは裁判にも影響しかねないというリンディさんの判断からだ。

 フェイト達もそれには何ら異論はなく静かに受け入れている。
 リンディさんの話ではそれなりに仲良くやっているらしい。

 さらに次の日には

「今回の事件解決について、大きな功績があった者としてここに略式ではありますが、その功績を称え表彰いたします。
 衛宮士郎君、高町なのはさん、ユーノ・スクライア君、ありがとう」

 管理局から感謝状をいただいたりした。
 なのはは緊張のあまりガチガチになっていたが……

 そういえばと改めて俺の人生を振り返るとこのような組織から感謝状のような類を貰うのは初めての経験である。
 封印指定としての出頭命令書や犯罪者としての指名手配なら何度か経験はあるのだが。

 ……自分の事ながらとんでもない経験だな。
 感謝状を貰った後にリンディさんに改めてお礼を言われた。
 というのも

「三人共、今日まで調書に協力してくれてありがとう。
 事件が終わってから今日まで付き合わせてごめんなさいね」

 本日までかかっていた質問と証言についてである。
 それも終わったという事は俺となのはが海鳴に帰れるという事でもある。

 この調書についてはプレシアの住居である庭園の戦いに関する事は当然のこと、管理局が来るまでの間の事件の流れに関する事まであったので本日までかかったのである。 
 これだけの事件なのだから仕方がないのだが、時間がかかった大きな理由として俺の存在もあった。
 いや、正しく言えば時間がかかった責任は俺にある。
 なにせ魔術に関してもそのまま報告するのはまずいという事でリンディさん達と話し合い、報告用に使用する魔術の話などをまとめていたのだ。

 さすがにあまり学校を休みすぎるのは問題なので、これで一安心だ。

「ただミッドチルダ方面はまだ次元震の余波で安全な航行には時間がかかるみたいなのよ」
「そうですか。
 まあうちの部族は遺跡を探して流浪しているので急いで帰る必要もないですが、その間ずっとここにお世話になるというのも」

 俺達とは違いユーノの方はまだ帰る事すら難しいらしい。

「じゃあ家にいればいいよ。今まで通りに」

 とここで予想外の援護。
 いや、なのはの性格なら予想通りか

「なのは、いいの?」
「うん。ユーノ君が良ければ」
「じゃあ、そのお世話になります」

 和やかな二人に顔を見合わせて笑う俺とリンディさん。

 しかし今まで通りという事はユーノはまたフェレットになるという事だよな……
 正体がわかっても小動物扱いされるというのも少し不憫な気がするが、まあそこら辺はユーノ次第か

 そんな事を話している俺達の方に歩いて来るクロノとエイミィさん。

「今大丈夫?」
「ええ、話は終わりましたし」
「話というと、君達が帰る件か?」

 さすがクロノ、なかなか察しがいいな。

「ああ、明日にでも帰る事になると思う」
「……そうか」

 少し残念そうなクロノ。
 そしてにやりと笑うエイミィさん。
 ああ、このパターンは

「もう、なのはちゃんが帰るのが寂しいなら寂しいって素直にそう言えばいいのに
クロノ君の照れ屋さん」
「なっ」
「なのはちゃん、アースラにはいつでも遊びに来ていいからね」
「はいっ!」

 エイミィさんに文句を言うクロノに「諦めろ」と内心つぶやく。
 アースラで二人を見ていてわかった事だが、エイミィさんはクロノの補佐で役職ではクロノの部下という事になるのだが、実際はエイミィさんの方が上だ。
 たぶん……いや、確実にクロノがエイミィさんに敵う事は一生ないだろう。

 クロノ、いい加減諦めて受け入れる事も大切だぞ。

 それにしても、なのはもそんなにはっきりと遊びに来る宣言をしなくてもと思うのだが。

「まあまあ、いいじゃない。
 どうせ巡航任務中は暇を持て余してるんだし」

 リンディさん、その発言はいいのですか?

 そんな呑気な事を話した後、エイミィさんとクロノと共に本局に報告する俺に関するデータの最終確認を行ったりと少々慌ただしいながらも帰る朝を迎えた。

 ちなみに本局報告用の俺のデータでは
 ・管理外世界の代々続く魔術師の家系の末裔
 ・武器庫からの転送、魔術術式の白兵戦武器の鍛冶を扱う魔術師
 ・武器庫の中にはジュエルシードを破壊するレベルの武器も少数ながら存在する
 
 というものだった。
 ジュエルシード8つと次元震が止まったのはジュエルシードの発動で計測器が使用不可能のため原因不明とする。
 だがゲイ・ボルクで破壊した1つのジュエルシードに関しては隠蔽が難しいという事があった。
 他にも管理局に俺と敵対することが不利益に繋がるとの認識をさせるために隠蔽しない方向で進める予定だそうだ。

「協力に感謝する。
 それと預かっていたモノを返すよ。
 ケースも持ち帰ってくれて構わない」

 クロノが差し出したのは管理局に預けた拳銃を入れた封印ケース。
 封印が外れている様子もないし、ここであけて確認する必要はないだろう。

「ああ、確かに」

 クロノからケースを受け取り、握手を交わす。

「私からも改めてお礼を言わせてもらうわ。
 本当にありがとう」
「また手伝えることがあれば、お手伝いしますよ」

 リンディさんとも握手を交わす。

「士郎とユーノには証言してもらう事があるからその時は頼む。
 フェイトとプレシアの処遇は決まり次第連絡するから」
「了解した」
「うん。ありがとう」

 リンディさんがユーノに近寄って少し小声で

「ユーノ君も帰りたくなったら連絡してね。ゲートを使わせてあげる」
「ありがとうございます」

 そんな会話をしていた。
 それにしても何度見ても人語を話すフェレットって結構違和感がある光景だな。

「それじゃ、そろそろいいかな」

 エイミィさんの言葉でクロノ達が一歩下がる。

「またね」
「またな」

 三人に見送られ、俺達は海鳴公園に戻ってきた。

「「「う~んっ!」」」

 アースラの中とは違う。
 大地を踏みしめ、風を感じ、あまり好きではないが懐かしい太陽に光を浴び、身体を伸ばす。

「帰ろっか」
「ああ、送るよ」

 三人、いや二人と一匹で高町家に向かう。
 なのはも久々の家が恋しいのかその足取りは早い。

 高町家の門のところで分かれ、なのはが高町家の中に入るまでしっかりと見届ける。

「ただいま~」
「なのはっ!」

 なのはの声と美由紀さんの驚きの声を聞きながら俺は踵を返し、我が家に帰る。

 我が家の敷地に足を踏み入れ最初に向かうのは、家の裏手にあるアリシアの墓。
 そしてアリシアの墓の前で帰りがけに買ってきた線香をたてる。

 アリシアの葬儀の後、アリシアは灰すら残すことなくその身体を失った。
 俺は魔法陣を描いてあった辺りの土を骨壷に入れ、月村に頼んで用意してもらった墓石に骨の代わりに納めたのだ。

「ただいま、アリシア」

 墓の前で手を合わせ、家の中に入った。

 この世界に来て住み始めたとはいえ懐かしの我が家の空気に肩の力が抜ける。

 だがあまりゆっくりも出来ない。
 やらないとならない事がいくつかある。
 一つはアリシアの墓の周りへ結界を敷く事である。
 もう一つが次元震やなのはとフェイトの戦いなどで何らかの影響を受けているであろう霊脈の状態を確認する必要もある。

 そして、なにをするよりも一番重要な問題なのが

「資金不足だな」

 この件の前にこの世界に来て日が浅かった事もあり鍛冶場も含めあらゆるものを用意し資金に余裕がない状態。
 さらに魔力の籠った宝石はアルトと遠坂から貰った二つを除いて純度の高いのは残っていない。
 一応、リンディさんから協力時における出費の宝石代としていくらか貰っているが正直宝石を補充するほどの余力はない。

 つまりはアレに手を出すしかないようだ。

 まあ、なにはともあれ明日から学校なのだからとりあえず家を掃除しよう。
 アースラにいる間に溜まったほこりを払うために俺は掃除道具を手に取った。




 それから平穏な生活に戻った俺達。

 まあ、俺個人は高町家と月村家に帰ってきたのでまたバイトのお願いをしに行き、忍さんにはさらに奥の手である金の延べ棒の換金を依頼したりと少々慌ただしいものだった。

 そんなこんなで数日たった早朝、俺は工房である鍛冶場から出てきて身体を伸ばす。

 いつフェイト達が裁判やら何やらでアースラから離れるかは分からないが、決まり次第クロノから連絡があるはずなのであるものを用意していたのだ。
 また必ず会えるようにという願いを込めて

 鍛冶仕事で汗だくなったのでシャワーでも浴びて学校の準備をしようと思ったら

「ん? 誰だ?」

 結界内に誰かが入ってきた。
 海鳴公園の辺りなのだが、正確な位置が分からない。
 あそこもなのはとフェイトの戦いのせいで霊脈が多少なりとも乱れているので細かい情報を得ることが出来ないのだ。
 なのはがスターライトブレイカーを叩きこんだのだから当然といえば当然だが
 そして、もう一つが家に敷地に入ってきた子供と小動物がそれぞれ一。

 子供と小動物という事は

「なのはとユーノか」

 玄関の方に向かうと案の定二人がいた。

「士郎君、グットタイミング!」
「結界があるんだから気がついただけだよ」
「あ、そっか」

 俺の言葉に納得顔のなのは

「で、こんな朝早くにどうした?」
「そうそう、フェイトちゃんが本局に移動になるんだって。
 で少しだけど会えるんだって」
「なら急ぐか、なのは悪いんだが俺の部屋に行って制服を脱衣所にもって来てくれ。
 少し用意する物がある」
「わかった」

 なのはと別れ、俺は先ほどまで作っていたモノを取りに鍛冶場に向かう。

 その後、汗を流し制服に着替える。

「じゃあ、行くから掴まれ」
「ふぇっ! にゃああああ!!」

 着替えなど急いだが少しでも時間が惜しいので、なのはを抱きかかえ、一気に跳躍する。

 なのはの叫び声で誰かに見られる可能性が若干あるが、今回は……無視することにした。




side フェイト

 母さんとアルフと一緒にのんびりと海を眺める。
 母さんと一緒に静かな時を過ごす、そんな願いが叶ったことがただうれしかった。

 でも我が儘を言うならアリシアも一緒がよかったな。

 言葉を直接交わす事もなかった私のお姉ちゃん。
 会う事はもう出来ない。
 でも願うぐらいはいいよね。

 そして、本局に行く前に話をしたかった。
 この海で正面から向かい合ってくれた子。
 私を支えてくれた強くて優しい男の子。

「母さん」
「なに?」
「その……戻ってくるんだよね」
「ええ、表向きは彼の秘術を漏らさないためだけどね。
 あの子も彼も大切なんでしょう」

 考える必要もないくらい大切な人。

「ならちゃんと戻ってこないとね。
 それに彼には特に色々お世話になったからそのお礼もね」
「はい」

 頬を優しく撫でる母さんの手のぬくもりを感じながらしっかりと頷いた。

 海を眺め、なのは達を待つ。
 そんな時

「………ゃ~…………」

 耳に聞き覚えのある声が聞こえた。
 辺りを見渡すけどその声の主はいない。

「どうかしたのか?」
「えっと……なのはの声が聞こえたような」

 きょろきょろする私にクロノが不思議そうに尋ねてきたのでありのまま答える。
 クロノも耳を澄ますけど

「僕には聞こえないが」
「そう? アルフは?」
「う~ん。ちょっと待って」

 アルフなら私達よりも耳がいいし聞こえるかも

「……にゃ~~~~~…………」
「ほらっ!」
「確かになのはの声だね」
「ああ、今のは僕にも聞こえた。だが……」

 声がだんだんと大きくなる。
 それはつまり近づいてきているという事なんだけど
 わからない事が一つ。

「一体どこにいるんだ?」

 クロノの言うとおりで、それがわからない。
 少なくとも私の眼の届く範囲にはいないみたいだけど

「アレかしら?」

 そんな時母さんが指差した方から、跳んでくる白い物体。
 アレは空を飛んでいるんじゃなくて、文字通りピョンピョンと跳んでいる。

 ただ一回の飛距離がとんでもないけど

 私達の姿を見つけたのか白い物体はさらに大きく跳躍し

「うにゃ~~~~~~~~!!!!!」
「数日ぶりだな」

 なんて軽い口調で降り立った白い物体、もとい白い制服を着た士郎と士郎に抱きかかえられたなのは。

「し、士郎君、アレはないの。揺れすぎなの」
「悪かったな。だがアレが一番早かったんだ」

 そんなやり取りをしながら士郎から下ろされたなのはは少しフラフラしてる。
 勿論、なのはの肩に掴まっていたユーノもフラフラだ。
 だけど当の士郎は平然としてる。

 あんなふうに上下に揺られるのは嫌だけど、士郎に抱えられるのは羨ましいと内心思っていたり。

 ……士郎、お願いしたらしてくれるかな?

 そんな関係ない事を思いつつ、半ば呆然としながら士郎となのはを見ていた。

「うん。復活、フェイトちゃん」
「え、うん。久しぶり、なのは」

 なのはの言葉に正気を取り戻す。
 ほんの数日なのにすごく久しぶりな気がする。
 でもこうして改めて正面から向かい合うのは少し恥ずかしい。
 お互いにすこしはにかむ。

 だけどこうしてなのはと士郎が来てくれたのがうれしかった。

「時間はあまりないけど少し話をするといい」
「俺も外すよ。二人だけでな」

 ユーノはなのはの肩からアルフの肩に移り、私となのはを残して皆は少し離れたところに向かう。

「「ありがとう」」

 クロノや士郎の心遣いが嬉しい。

 そして、なにより大切な人がこうして傍にいてくれるそれだけでうれしい。
 でも一緒にいられるのは少しの時間だけ

「その……これからしばらくお別れなんだよね?」
「うん。少し長くなるかもしれない」

 私がやった事の責任もあるからすぐには難しいかもしれない。
 それでも

「必ず帰ってくるから、なのはと士郎がいるここに」

 私の言葉に一瞬目を丸くするけど

「うん。待ってる」

 なのはは満面の笑顔で頷いてくれた。
 あと……アレだけは絶対に返事をしないと

「あとなのはが言ってくれた事、友達になりたいって」
「うん」
「私なんかでよかったら……その、なのはの友達になりたい。
 でも私、どうしていいのかわからなくて」
「……友達だよ」

 なのはの言葉に一瞬キョトンとしてしまう。

「なのはの名前を呼んでくれて、なのはの友達になりたいって思ってくれるんなら友達。
 もう私達友達なんだよ」

 なのはが私の手を握ってくれる。
 その手はとても暖かくて、なのはがここにいる証。

「だから、待ってる。
 待ってるからフェイトちゃんが帰ってくるの」
「うん。約束する。
 大切な友達との約束だから、必ず戻ってくるから」
「うんうん」

 ああ、駄目だ。
 我慢できない。
 泣いたりしないで笑って行こうと思ったのに我慢できない。
 なのはも顔を歪ませて私の胸に飛び込んでくる。

 そんななのはを力一杯抱きしめて、その温もりを感じる。
 大切な友達。
 その温もりがうれしくて笑みがこぼれて、離れてしまうのが悲しくて涙が止まらないまま、なのはを抱きしめ続けていた。




side 士郎

 抱きしめ合うなのはとフェイト。
 そんなフェイトの姿を見てうれし泣きするアルフとアルフを慰めるユーノ。
 プレシアの眼にも涙が浮かんでいた。

 そんな中立ち上がるクロノ

「……時間か?」
「ああ、残念だけど」
「確かに残念だが一時の別れだ。テスタロッサ家はここに戻ってくるからな」
「ええ」
「もちろんだよ」

 俺の言葉に笑って頷くプレシアとアルフ。

「そろそろいいか?」
「うん」

 クロノの問いかけに頷くフェイト。

「士郎もありがとう」
「私からも改めてお礼を言うわ」
「何かあったら連絡しろ。時空管理局を相手にしても手を貸す」
「そんな事にならないようにするから安心してくれ」

 軽口を叩き合う俺とクロノに皆が笑う。

 そんな中おもむろになのはがリボンを解く

「思い出に出来るのこんなのしかないけど」
「じゃあ、私も」

 それに応えるようにフェイトもリボンを解く。

「きっとまた」
「うん。きっとまた」

 リボンを交換する二人。
 それは誓い。
 再び会うための誓いにして二人の絆。

「フェイト、俺からもな」
「え?」

 俺から差し出されたものにフェイトが目を丸くする。
 俺の手にあるのは白と黒の剣、干将・莫耶をモチーフにしたのペンダントだ。
 ただ干将・莫耶と違う所は鍔の所が太極図ではなく金色の宝石が輝いている。

「これって」
「なのはとフェイトがまた会えるようにって片方ずつ渡すつもりだったんだけどな、二人にはそのリボンがあるけどよかったら貰ってくれ」

 フェイトが手を伸ばし、白い剣を取る。
 そして

「片方は士郎にもっててほしい。
 なのはだけじゃない。士郎にもまた会えるように」

 俺の手にフェイトが手を重ねる。

「ああ、また会おう。約束だ」
「うん。約束」

 フェイトと誓いをかわす。

 アルフがユーノをなのはの肩に移す。

「色々ありがとね、なのは、ユーノ」
「ありがとう。なのはちゃん、ユーノ君」

 涙を浮かべながらも笑顔で礼を言うアルフと初めてなのはとユーノの名を呼び、握手を交わすプレシア。

「じゃあ、僕も」
「クロノ君もまたね」
「ああ」
「クロノ、最長で一年で片をつけろよ。じゃないと乗り込むからな」
「ふん、すぐに終わらせてみせるさ」

 クロノと握手を交わし、お互いが一時の別れの言葉をかわしあった。

 そして、フェイトとアルフ、プレシア、クロノの足元に浮かぶ魔法陣。
 そんな中

「フェイトちゃん。ちゃんと帰ってきてね!!
 じゃないと取っちゃうんだから!!」



 なのはの顔を赤くした言葉にフェイトが驚くが

「すぐ帰ってくるからね!
 私も負けないから!!」



 顔を赤くしながらもしっかりと返事をするフェイト。

 二人が何の事を言っているのかはいまいちわからないが二人には通じ合っているようなので良しとしよう。



 一時の別れ、涙はある。
 だが必ず会えると約束した。

 そして、魔法陣の光が収まった時そこにフェイト達の姿はない。

 それでも

「なのは、行こうか」
「うん」

 交わした約束を胸に笑顔で俺達は新たな一歩を踏み出した。








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 別れを済ませた後、涙を拭った。
 そして、学校に向かう途中で

「士郎君、私もその……ほしいな」

 なのはの視線は俺の首に掛けられた金色の宝石が輝く黒き剣に向けられていた。

「これか?」
「それじゃなくて、それとは別にその私と士郎君の絆というか……」

 顔を赤くして恥ずかしそうにそんなお願いを口にするなのは。
 なのはがこんなお願いをするのは珍しい。
 なので

「ああ、近いうちに必ず用意するよ」

 頭を撫でつつ、頷くとなのはは満面の笑顔が浮かべる。

 それを渡すのはもう少しあとになり、それが元でひと騒動あるのだがそれはまた別の話。 
 

 
後書き
年末の忘年会が入ったせいで一日遅れしましました。
ごめんなさい。

そして、無印は無事完結です!!

次回は幕間のアリサの話を一話。
それからA's編に入ります。

こうしてここ、暁でも無印編を完結出来、A's編にいけるのは応援して、読んでくださる皆様のおかげです。

来週は、アリサの幕間で今年最後の更新として締めくくりたいと思います。

では
 
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