遊戯王デュエルモンスターズ ~風神竜の輝き~
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第1章 夢への第1歩
第3話 激闘!入部試験! 中編
果敢な猛攻を悉くかわされてしまった遊雅のフィールド上には、モンスターはおろか、伏せカードすら存在していなかった。
既に召喚権も使ってしまっており、壁となるモンスターを召喚する事もできず、フィールドがガラ空きのまま竜兵にターンを回す事になってしまった遊雅。
果たして、彼に勝機はあるのだろうか。
「俺のターン、ドロー!」
竜兵のドローカードは《切り込み隊長》。
元々の手札2枚にそれを加え、少し考えた上で初動を起こす。
「まずは魔法カード、《戦士の生還》を発動!」
ボロボロになった甲冑を身にまとい、満身創痍となった《切り込み隊長》が、剣を支えにして何とか生還した様子が描かれたカードがその場に姿を現す。
《戦士の生還》
魔法カード
自分の墓地の戦士族モンスター1体を対象として発動できる。
その戦士族モンスターを手札に加える。
「俺はこの効果で、墓地にある《コマンド・ナイト》を手札に戻し、《切り込み隊長》を召喚!」
《戦士の生還》に描かれていたような姿ではなく、まだ綺麗な甲冑に身を包み、戦意も高揚している状態の《切り込み隊長》が現れた。
《切り込み隊長》
☆☆☆ 地属性
ATK/1200 DEF/400
【戦士族・効果】
このカードが召喚に成功した時に発動できる。
手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。
このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない。
「《切り込み隊長》の召喚に成功した時、手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚できる!この効果で、俺は《コマンド・ナイト》を特殊召喚!」
《切り込み隊長》の隣に、再び《コマンド・ナイト》が姿を現した。
更に、《コマンド・ナイト》の効果により、2体の戦士族モンスターの攻撃力がそれぞれ400ポイントずつ上昇する。
《切り込み隊長》
ATK/1200→ATK/1600
《コマンド・ナイト》
ATK/1200→ATK/1600
「バトルだ!2体のモンスターでダイレクトアタック!」
怒号を放ちながら、2体の戦士族モンスター達が、遊雅に突進する。
為す術のない遊雅は、左右から襲い来る凶刃を甘んじて受け止めるしかなかった。
「ぐぁっ!!」
南雲 遊雅
LP/3900→LP/700
「俺もこれ以上はできる事がない。これでターンエンドだ」
「まずいよ……遊雅のライフポイントはあと700しかない……」
「それに比べて、鬼島先輩のライフポイントはまだ4000……どうするの、遊雅……」
遊雅は、自分のデッキに視線を向ける。
ここで起死回生のカードをドローできなければ、遊雅は間違いなく負けてしまう。
残った1枚の手札は《九蛇孔雀》。攻撃力は1200と低く、《切り込み隊長》を戦闘破壊する事はできない。
(このドローが、俺の勝敗を分けるデスティニードローになる。デッキよ……俺に応えてくれ!!)
「俺のターン、ドロー!!」
遊雅がドローしたのは、魔法カードだった。
「俺は、《九蛇孔雀》を攻撃表示で召喚!」
美しい尾羽に、9つの蛇の形をした模様が浮かび上がっている孔雀のモンスターが現れる。
《九蛇孔雀》
☆☆☆ 風属性
ATK/1200 DEF/900
【鳥獣族・効果】
フィールド上のこのカードがリリースされ墓地へ送られた場合、自分のデッキ・墓地から《九蛇孔雀》以外のレベル4以下の風属性モンスター1体を選んで手札に加える事ができる。
《九蛇孔雀》の効果は1ターンに1度しか使用できない。
「《九蛇孔雀》か。だが、攻撃力はたった1200。《切り込み隊長》には届かないぜ」
「その通り。だから俺は、こいつをリリースして魔法カードを発動します!」
「なにっ?」
「俺は《九蛇孔雀》をリリースして、《風神竜の復活》を発動!」
吹き荒れる風の中で、風神竜が空へ舞い上がる様子が描かれたカードが実体化した。
それと同時に、《九蛇孔雀》を激しい旋風が包み込む。
《風神竜の復活》
魔法カード
自分フィールド上に存在する風属性モンスター1体をリリースして発動できる。
自分の墓地に存在する《フレスヴェルク・ドラゴン》1体を自分フィールド上に特殊召喚する。
この効果で特殊召喚に成功した《フレスヴェルク・ドラゴン》は、このターンのエンドフェイズ時まで攻撃力が500ポイントアップし、このターンのバトルフェイズ時、2回まで攻撃する事ができる。
「風神の加護を受けし青き竜よ、再びその雄々しき翼で蒼空を駆けよ!舞い戻れ!《フレスヴェルク・ドラゴン》!!」
《九蛇孔雀》を包み込んだ旋風が巨大化し、その中から再び、あの美しき竜、《フレスヴェルク・ドラゴン》が姿を現し、高く咆哮する。
「馬鹿な……《フレスヴェルク・ドラゴン》が、復活しただと……!?」
「更に、《風神竜の復活》の効果でリリースし墓地に送られた《九蛇孔雀》の効果を発動!デッキか墓地から、レベル4以下の風属性モンスター1体を手札に加える事ができる!俺はこの効果で、墓地から《ハンター・アウル》を手札に加えます!」
「でも、いくら手札に加えても、このターンは召喚権を使っちゃってるから……」
「違うよ亜璃沙。遊雅のフィールドには、あれがある!」
「えっ?……あっ!」
亜璃沙がすっかりその存在を忘れていたカード。それが、遊雅の勝利を切り開くためのキーカードとなった。
「更に、今手札に加えた《ハンター・アウル》を、《鳥兵令》の効果で特殊召喚!」
「なにっ!?手札に加えるのは、デッキからじゃなくてもいいのか!?」
「その通りですよ!」
鋭い鎌を持ち胸当てを装備した、手足が異様に発達した鳥のような姿のモンスターが、《フレスヴェルク・ドラゴン》の背中に乗るようにして現れた。
フィールド上の風属性モンスターは2体。《ハンター・アウル》の攻撃力は2000ポイントとなる。
《ハンター・アウル》
ATK/1000→ATK/2000
「《フレスヴェルク・ドラゴン》は《風神竜の復活》の効果で攻撃力3000になり、2回攻撃ができる……これなら!」
「さぁ、行きますよ先輩!俺は、《フレスヴェルク・ドラゴン》と《ハンター・アウル》で攻撃!!」
《ハンター・アウル》を背中に乗せたままの《フレスヴェルク・ドラゴン》が、2体の戦士族モンスターに向かって突進する。
《切り込み隊長》と《コマンド・ナイト》は自らの剣で必死に防ごうとするが、風神の加護を受けた竜を受け止めるにはかなわず、そのまま吹き飛ばされて消滅してしまう。
そして、2体の盾を失ってしまった竜兵に向かって、《フレスヴェルク・ドラゴン》の背中から飛び降りた《ハンター・アウル》が鎌を振り下ろした。
「ぐわぁっ!!」
鬼島 竜兵
LP/4000→LP/0
最後にもう一度咆哮した《フレスヴェルク・ドラゴン》は、《ハンター・アウル》と共に光になって遊雅のデッキへ戻って行った。
張り詰めていた緊張を解くために一息ついた遊雅の元に、亜璃沙と秋弥が駆け寄って来る。
「やったね、遊雅!」
「もう、ひやひやさせないでよね!」
「ははは、悪い悪い」
そして更に3人の元に、竜兵、楠田、海堂の3人も歩み寄って来た。
「いやぁ、南雲君、実に見事な逆転劇だったよ!やはり俺の見る目は間違っていなかったようだ!」
「完敗だぜ、南雲。まさかあの状況をひっくり返されるとはな。なぁ、海堂。今の見てたろ?南雲は合格だよな?」
「そうッスね。ただ、他の2人に関してはまだ分からないッスよ。そっちのひ弱そうなの!俺が相手してやるよ!」
「よ、よろしくお願いします!」
「よし、次は秋弥の番だな!頑張れよ!」
「ファイトよ、秋弥!」
「う、うん、頑張るよ!」
秋弥と海堂の2人をデュエルスペースに残して、残りの4人は2人と距離を取る。
「海堂 宗司だ。お前は?」
「て、天藤 秋弥です!よ、よろしくお願いします!」
「ああ、よろしく頼む。行くぜ!」
お互いに向かい合った2人のデュエリストは、デュエルディスクを起動させ、そして。
「「デュエル!!」」
デュエル開始の意思表示をした。
「先攻は俺がもらうぜ!俺は手札から、《アトランティスの戦士》を墓地に捨てて、効果を発動する!」
《アトランティスの戦士》
☆☆☆☆ 水属性
ATK/1900 DEF/1200
【水族・効果】
このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。
デッキから《伝説の都 アトランティス》1枚を手札に加える。
「効果により、デッキから《伝説の都 アトランティス》を手札に加え、それをそのまま発動!」
フィールド魔法が発動された事によって、周囲の様子が一変する。
《伝説の都 アトランティス》は、海底に眠る遺跡のフィールド魔法カード。
辺りは海水で満たされ、すぐ近くに巨大な遺跡群が立ち並んだ。
もちろんこれもソリッドビジョンによる立体映像のため、水中だからと言って息が出来なかったりと言う事はあり得ない。
《伝説の都 アトランティス》
フィールド魔法カード
このカードのカード名は《海》として扱う。
このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上の水属性モンスターの攻撃力・守備力は200ポイントアップする。
また、お互いの手札・フィールド上の水属性モンスターのレベルは1つ下がる。
「わぁ~、きれ~い……!」
「おい亜璃沙、のんきな事言ってる場合じゃないだろ」
「あっ、そ、そうだった、つい……」
「こいつは結構厄介なカードだぞ……秋弥、気をつけろよ……」
「更に俺は、永続魔法、《ウォーターハザード》を発動!」
《ウォーターハザード》
永続魔法カード
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札からレベル4以下の水属性モンスター1体を特殊召喚できる。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
「こいつの効果で、俺は手札から《海竜番兵》を特殊召喚!」
《海竜番兵》
☆☆☆☆ 水属性
ATK/500 DEF/1800
【海竜族・効果】
墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする事ができる。
「そしてこいつをリリースし、アトランティスの効果によってレベルが1つ下がり6となった《海竜-ダイダロス》をアドバンス召喚!」
海堂の頭上に、刺々しいヒレや鱗、そして鋭利な爪を持つ巨大な海竜が姿を現した。
《海竜-ダイダロス》
☆☆☆☆☆☆☆ 水属性
ATK/2600 DEF/1500
【海竜族・効果】
自分フィールド上に存在する《海》を墓地に送る事で、このカード以外のフィールド上のカードを全て破壊する。
「ダイダロスの攻撃力と守備力は、アトランティスの効果によって200ポイントずつアップするぜ!」
《海竜-ダイダロス》
ATK/2600→ATK/2800 DEF/1500→DEF/1700
「1ターン目から、攻撃力2800の上級モンスターが……!?」
「これがアトランティスの厄介な効果だ。レベル5や7のモンスターなら、アドバンス召喚のリリースを1体分減らす事ができるんだからな」
「さて、俺はこれでターンエンドだ」
「僕のターン、ドロー!」
全部で6枚の手札を確認してから、秋弥も初動を起こす。
「僕は、《俊足のギラザウルス》を特殊召喚!」
遊雅とのデュエルでも召喚された二足歩行の恐竜が、再び秋弥の隣に現れる。
「ギラザウルスを特殊召喚した場合、相手は墓地からモンスターを特殊召喚する事ができます」
「なるほど、そいつはありがたいな。俺は墓地から、《アトランティスの戦士》を特殊召喚するぜ!」
更にダイダロスの隣に、全身真っ青の、いかにも魚人と言ったような風貌のモンスターが現れた。
《アトランティスの戦士》
ATK/1900→ATK/2100 DEF/1200→DEF/1400
「更に僕は、《俊足のギラザウルス》をリリースして、魔法カード《大進化薬》を発動!」
《大進化薬》
魔法カード
自分フィールド上に存在する恐竜族モンスター1体をリリースして発動する。
このカードは発動後、相手のターンで数えて3ターンの間フィールド上に残り続ける。
このカードがフィールド上に存在する限り、レベル5以上の恐竜族モンスターをリリースなしで召喚する事ができる。
「なにっ、レベル5以上のモンスターをリリースなしで召喚、だと?」
「その効果により、僕は《ジュラック・タイタン》をリリースなしで召喚!」
水中だと言うのにも関わらず、秋弥の背後で突如として大爆発が起こる。
そしてその爆炎の中から、真っ赤な鱗に覆われた巨大な恐竜モンスターが姿を現した。
《ジュラック・タイタン》
☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 炎属性
ATK/3000 DEF/2800
【恐竜族・効果】
このカードは特殊召喚できない。
このカードはフィールド上に表側表示で存在する限り、罠・効果モンスターの効果の対象にならない。
また、1ターンに1度、自分の墓地の攻撃力1700以下の「ジュラック」と名のついたモンスター1体をゲームから除外して発動できる。
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで1000ポイントアップする。
「こ、これは何と……天藤君も負けじと上級モンスターを出して来たか……!」
「すっげぇ……秋弥の奴、こんな強ぇモンスター持ってたのかよ……」
「バトル!僕は《ジュラック・タイタン》で、《海竜-ダイダロス》を攻撃!タイタニア・バースト!!」
《ジュラック・タイタン》が、《海竜-ダイダロス》に向けて凄まじい勢いの炎を吹き付ける。
炎に焼かれて、ダイダロスは消滅するかのように思われた、が。
「甘いぜ、墓地の《海竜番兵》の効果を発動!自身を除外する事で、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする!」
ダイダロスを守るように、《海竜番兵》が姿を現し、両手に装備した巨大な盾で炎を防ぐ。
しかし、その炎に巻かれて、《海竜番兵》はそのまま消滅してしまった。
「くっ、墓地から発動する効果……!」
「惜しかったなぁ、そこまで無策じゃあないんだよ!」
「……僕はリバースカードを1枚セットして、ターンエンドです」
お互いに最初のターンから最上級モンスターを揃えた激しいデュエル。
果たして、この激戦において勝利を掴むのは、秋弥か、海堂か、一体どちらなのだろうか。
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