遊戯王デュエルモンスターズ ~風神竜の輝き~
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第1章 夢への第1歩
第4話 激闘!入部試験! 後編
デュエル部への入部試験第2試合。秋弥VS海堂のデュエルは、1ターン目から激戦と化していた。
《伝説の都 アトランティス》と《ウォーターハザード》のコンボで、強力な最上級モンスターである《海竜-ダイダロス》を1ターン目から召喚した海堂。
それに対して秋弥も、《俊足のギラザウルス》と《大進化薬》のコンボにより、恐竜族の中でも最強格の座に君臨する《ジュラック・タイタン》の召喚に成功する。
お互いに最上級モンスターを揃えた状態で、デュエルは2ターン目に突入する。
「俺のターンだ、ドロー!」
海堂の手札は今のドローカードを含めて2枚。
しかし、考える間もなく海堂は動いた。
「俺は、ダイダロスの効果を発動するぜ!自分フィールド上の《海》を墓地に送る事で、ダイダロス以外のフィールド上のカードを全て破壊する!」
「《海》を……?けど、先輩のフィールドにあるのは……あっ!?」
「ようやく分かったみたいだな。《伝説の都 アトランティス》は、カード名を《海》として扱うんだよ!俺はアトランティスを墓地に送り、ダイダロスの効果を発動!」
《海竜-ダイダロス》が雄叫びを上げると同時に、海底遺跡が崩壊を始める。
「くっ、リバースカード発動!《輪廻の理》!」
《輪廻の理》
速攻魔法カード
自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースして発動する事ができる。
デッキからカードを1枚ドローし、リリースしたモンスターと同じ種族のレベル4以下のモンスター1体をデッキから特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは、このターンのエンドフェイズ時に破壊される。
「ごめんよ、タイタン……僕は、《ジュラック・タイタン》をリリースして、カードを1枚ドローし、デッキから《ジュラック・グアイバ》を特殊召喚!」
《ジュラック・タイタン》は巨大な炎となって消滅し、その炎の中から、《ジュラック・タイタン》よりも小柄な、しかし同じ様に炎を身にまとった恐竜が姿を現す。
《ジュラック・グアイバ》
☆☆☆☆ 炎属性
ATK/1700 DEF/400
【恐竜族・効果】
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、デッキから攻撃力1700以下の『ジュラック』と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚したモンスターは、このターン攻撃宣言できない。
「へっ、折角出てきたのに悪いが、そいつにも潰れてもらうぜ!」
今現れたばかりの《ジュラック・グアイバ》は、海堂の《アトランティスの戦士》と共に、アトランティスの瓦礫に飲み込まれて消滅してしまった。
「秋弥、どうしてわざわざモンスターを破壊されるような事を……」
「《ジュラック・タイタン》を破壊されるぐらいなら、《輪廻の理》のコストにしてカードを1枚ドローした方がいい。それに《ジュラック・グアイバ》も無駄じゃない。墓地のモンスターが増えれば増えるほど、墓地からの特殊召喚もしやすいからな」
「そっか……じゃあ、まだ勝ち目はあるのね?」
「いや……海堂先輩も言ってる通り、秋弥のフィールドはガラ空きだ。手札から発動できるカードでもない限り、ダイダロスのダイレクトアタックが直撃してしまう」
「そんな……それじゃっ……!」
「残念だがアトランティスが崩壊した事で、ダイダロスの攻撃力は元に戻る。だが、それでもお前に大ダメージを与えられるには変わりないぜ!」
《海竜-ダイダロス》
ATK/2800→ATK/2600 DEF/1700→DEF/1500
「バトルだ!《海竜-ダイダロス》でダイレクトアタック!リヴァイア・ストリーム!!」
《海竜-ダイダロス》が、秋弥に向けて強力な水流を吐き出す。
壁となるモンスターもリバースカードも存在しない秋弥は、その水流を受けるしかなかった。
「うわぁっ!!」
天藤 秋弥
LP/4000→LP/1400
「さて、俺はこれでターンを終了するぜ」
「僕のターン、ドロー!」
秋弥がドローしたのは、《ジュラック・ティラヌス》。レベル7の最上級モンスターだ。
しかし、今の秋弥の手札には、能動的に《ジュラック・ティラヌス》を召喚するためのカードがなかった。
「……僕は、モンスターを1体守備表示で召喚。更にリバースカードを2枚セットして、ターンエンドです」
「俺のターンだな、ドロー!……俺は、《深海王デビルシャーク》を召喚!」
《海竜-ダイダロス》の隣に、骸骨のような頭部を持つ不気味な鮫が姿を現す。
《深海王デビルシャーク》
☆☆☆☆ 水属性
ATK/1700 DEF/600
【魚族・効果】
このカードは1ターンに1度だけ、対象を指定しないカードの効果では破壊されない。
「ダイダロスの効果を発動した時にこいつがいれば、もう勝負はついてたんだがな……だが、ここで終わりだ!デビルシャークで守備モンスターを攻撃!」
(来たっ……!)
デビルシャークのまるで槍のような顎が、裏側表示のカードを突き刺す。
突き刺された箇所から《ジュラック・ガリム》が姿を現し、そのまま消滅する。
「あれっ?《ジュラック・ガリム》の効果は発動しないの?」
「って事は多分、ガリムの効果は対象をとらない効果なんだろう。それならデビルシャークは破壊されないからな」
「そんな……」
「さて、とどめだ。俺は《海竜-ダイダロス》でダイレクトアタック!リヴァイア・ストリーム!!」
再び、《海竜-ダイダロス》が秋弥に向けて水流を放つ。
そのタイミングで、秋弥は動いた。
「リバースカード発動!《生存本能》!」
《生存本能》
罠カード
自分の墓地に存在する恐竜族モンスターを任意の枚数選択しゲームから除外する。
除外した恐竜族モンスター1枚につき、自分は400ライフポイント回復する。
「僕は墓地から《俊足のギラザウルス》、《ジュラック・タイタン》、《ジュラック・グアイバ》、《ジュラック・ガリム》の4体を除外して、1600のライフポイントを回復します!」
秋弥のデュエル・ディスクの墓地から、4つの光の玉が溢れ出る。
それらの玉は秋弥のライフカウンターに吸い込まれていき、それと同時に、ライフの値が変動した。
天藤 秋弥
LP/1400→LP/3000
「ちっ、だが攻撃は受けてもらうぜ!」
「ぐぅっ!!」
ダイダロスの吐き出した水流が、再び秋弥に直撃する。
天藤 秋弥
LP/3000→LP/400
「首の皮1枚で繋がったようだが、それも次のターンまでにしてやるよ」
「残念ですが、次のターンからは僕も反撃しますよ」
「なにっ?」
「戦闘ダメージを受けた事で、僕はリバースカード、《竜の抵抗》を発動します!」
《竜の抵抗》
罠カード
相手モンスターの直接攻撃によって自分が戦闘ダメージを受けた時に発動できる。
手札から、その時に受けた戦闘ダメージ以下の攻撃力を持つ恐竜族もしくはドラゴン族のモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。
「この効果で、僕は手札から《ジュラック・ティラヌス》を攻撃表示で特殊召喚!」
再び巻き起こる爆炎と共に、《ジュラック・タイタン》よりも少し小柄な恐竜が姿を現し、咆哮した。
《ジュラック・ティラヌス》
☆☆☆☆☆☆☆ 炎属性
ATK/2500 DEF/1400
【恐竜族・効果】
自分のメインフェイズ時に、このカード以外の自分フィールド上の恐竜族モンスター1体をリリースして発動できる。
このカードの攻撃力は500ポイントアップする。
また、このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、このカードの攻撃力は300ポイントアップする。
「何だと……まさかそんな方法で最上級モンスターを召喚するとは……くそっ、ターンエンドだ!」
「僕のターン!ドロー!」
ドローしたカードを確認し、秋弥はすぐにそれを発動した。
「僕はフィールド魔法、《弱肉強食の世界》を発動!」
周囲の景色が、鬱蒼と茂るジャングルに変化する。
恐竜達の時代の風景をイメージしたフィールドなのだと、その場にいる全員がすぐに理解した。
《弱肉強食の世界》
フィールド魔法カード
このカードのカード名は《ジュラシックワールド》として扱う。
このカードがフィールド上に存在する限り、恐竜族のモンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地に送った場合、もう1度続けて攻撃する事ができる。
「このフィールド魔法がある限り、恐竜族のモンスターは相手モンスターを戦闘破壊する度に、追加攻撃する事ができます!」
「なんだとっ!?そんなインチキ効果、あってたまるか!」
「バトル!《ジュラック・ティラヌス》で、《深海王デビルシャーク》を攻撃!怒涛のフレイム・バースト!!」
秋弥の指示に従って、《ジュラック・ティラヌス》はその巨大な口の中に蓄えていた赤々とした炎を、デビルシャークに向けて放出する。
激しい業火に焼き尽くされ、深海王はたちまちに灰燼と化してしまった。
海堂 宗司
LP/4000→LP/3200
「ここでティラヌスの効果発動!モンスターを戦闘破壊した時、自身の攻撃力を300ポイントアップする!」
「なにっ!?そ、それじゃあ……!」
「その通り、攻撃力は2800になり、ダイダロスを上回ります!」
《ジュラック・ティラヌス》
ATK/2500→ATK/2800
「そして、《弱肉強食の世界》の効果によりバトル続行!ダイダロスへ攻撃だ!怒涛のフレイム・バースト!!」
更に続けて、巨大な海竜へ向けて炎を吐き出す《ジュラック・ティラヌス》。
これまで猛威を振るっていた海堂の切り札、《海竜-ダイダロス》は、灼熱の炎によって真っ黒に焼かれてしまった。
海堂 宗司
LP/3200→LP/3000
「く、くそっ、俺のダイダロスが……!」
「そして再びティラヌスの効果を発動!攻撃力を300ポイントアップします!」
《海竜-ダイダロス》に歩み寄った《ジュラック・ティラヌス》は、黒々と焦げてしまったダイダロスを貪った。
そして、ダイダロスが消滅すると同時に、ティラヌスは高く咆哮する。
《ジュラック・ティラヌス》
ATK/2800→3100
「更に、モンスターを戦闘破壊した事でティラヌスは3度目の攻撃が可能です!」
「嘘、だろ……?」
「残念ながら、本当です」
絶望する海堂に対して、秋弥はにへっと笑いながら無慈悲にも事実を告げる。
穏やかな物腰でありながら中々に残酷な男だ、と言う思考を、観戦中の4人は不本意ながら共有する事となる。
「じゃあ行きますよ!《ジュラック・ティラヌス》の最後の攻撃!怒涛のフレイム・バースト!!」
2体のモンスターの力を吸収し、更に激しく沸き起こった炎を、《ジュラック・ティラヌス》は容赦なく海堂に向けて放った。
灼熱の炎は、海堂の周りの木々をも瞬く間に燃やして行った。
海堂 宗司
LP/3000→0
「のわぁっ!!あちっ、あちちっ!!」
「やったぁ!僕達の勝ちだぁっ!!」
一通り燃やし尽くされたジャングルは、デュエルの終了と共にその姿を消した。
それと同時に、観戦していた4人が2人の元へ歩み寄る。
「凄かったぜ、秋弥!またお前とデュエルがしたくなったぜ!」
「そうかな?ありがとう、遊雅!」
「次デュエルしたら負けちゃうかもね、遊雅?」
「馬鹿、俺はどんなに強い奴だって勝つっての!」
盛り上がる3人をよそに、残りの2人も海堂に声をかけていた。
「完敗だったな、海堂。途中までは優勢だったんだがな」
「はい……まさかあんな所で、あんな強力なカードを引かれるとは……」
「お前も言っていた通り、デビルシャークがもっと早く出せていれば勝てたんだ。今回は運がなかった、って事さ」
「そうッスね。ありがとうございます、先輩」
「さて、次は俺だな。神原、早速始めようと思うんだが、大丈夫か?」
「あっ、は、はい!大丈夫です!」
「よっしゃ、頑張れよ亜璃沙!」
「頑張って!応援してるよ!」
「う、うん……できるだけ頑張るね」
自信はなさそうに、楠田と対峙する亜璃沙。
その2人を残して、激闘を繰り広げた4人のデュエリスト達は、デュエルスペースの脇へ移動する。
向かい合う2人はそれぞれのデュエル・ディスクを起動し、自分が信じるデッキをセットする。
ライフカウンターに4000と表示されたと同時に。
「「デュエル!!」」
2人のデュエリストは、声を揃えてそう叫んだ。
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